今日もカズさん(103才 女性)がお出迎えをしてくれました。
お元気そうで、私を見て破顔一笑しました。
私はフロアーに集まっている皆さんに一通りご挨拶し、カズさんのお部屋へ三度目の訪問をいたしました。銀杯との再会も三度目です!
今回はカズさんのお許しを得て、甘酒を入れ青濁色に変色した「100歳の長寿祝い」の「銀杯」を写真(下記)に収めさせて頂きました。(このブログの 7) と 8) に掲載)
そして皆さんがいらっしゃるフロアーに戻ると、キクさん(98才 女性)がしきりに『わたし、近頃、頭が変なの。』と仰っておりました。
『なにがなんだか、わからないの・・・。』と。
「頭が変」に関連し、また新たなキクさん語録が生まれました!
キクさん曰く『(人に)‘バカ!’ 等と言われたら、(あなたは)‘ 頭がよくて良いですね。’ と言ましょう。それで相手が喜ぶのなら、それで良いじゃないの。』と。
『人に嫌な事を言われても、良いほうに(解釈し)善意にとればうまくいくわよ。』とも仰いました。
そして ひとしきり話を終えると、キクさんは先程の 「何が何だかわからないのよ」に節をつけて歌いだしました。驚きました! 歌になっていたのです。
つられてトシコさん(92才 女性)も、ニコニコしながら一緒に歌いだしました。相変わらず歌が大好きですね、お年寄り達は。
この日も他に『東京行進曲』や『籠の鳥』(大正時代のデュエット曲)等を熱唱されました。
因みに、先程のキクさんの口癖 「何が何だか わからないのよ」 は 『*愛して頂戴ね』と言うれっきとした歌でした。 (そんな歌が本当にあったのです!)
と言うのは、その日の夕方 この話を「蓄音機の会」のメンバーにした際、『何が何だか わからないのよ~・・・、愛して頂戴ね!』を基に、T氏がネット検索をしてわかりました。
*作詞:西條八十
作曲:中山晋平
【歌詞】
ひと目見たとき 好きになったのよ
何が何だか わからないのよ
日暮れになると 涙が出るのよ
知らず知らずに 泣けてくるのよ
ねえ ねえ 愛して頂戴ね
ねえ ねえ 愛して頂戴ね
キクさんはどうもこの ‘恋の歌’ をご自分の最近の状態「何が何だかわからない」 (もの忘れ、少々の痴呆)と混乱しているようでした。
複雑な心境です、実に!
その後もお年寄りたちは、次々に『ふるさと』や『四季の歌』などを披露し始めました。
ついに私も一緒に交ざって、合唱に参加してしまいました!
私の敬聴も終了時間となりましたが、皆さん 興奮冷めやらぬといった雰囲気でしたので、私が『宴もたけなわではございますが、今日はこれにて失礼させて頂きます。』とおどけてご挨拶すると、皆さま大笑いし大爆笑の渦に包まれました!
( 実施日:2017年7月22日(土) 14:00~15:00 )
2017年11月25日土曜日
2017年11月15日水曜日
35) 『100年もの』
カズさん(103才女性)は私の6Fフロアー到着を ‘ 満面の笑み ’ で迎えてくれました。
そして私の手を取り、(この日は月一回の回診日だったようで)施設の代表理事長でもあるドクターY先生と看護師さんに ‘ 再度 ’ 私を紹介して下さいました。
先生達は苦笑いし困惑しておりましたが、カズさんはとても満足そうでした。
その後 カズさんは6Fフロアーの近況を話して下さり、新しく入所されたお二方のお名前も教えてくれました。
あまりにも正確に新しい入所者の名前を覚えていらっしゃるのには、ビックリでした。
私が思わず 『すごいですね! 何でもよく覚えていらして。』 と褒めると、カズさんは自慢げに 『だって、わたしは100年ものよ!』 と仰いました。
お見事! 何ともユーモアのある103才です!
一方、ヨウジさん(91才男性)の所には一人息子さんがお出でになっておりました。
私がお会いするのは初めてでした。それから色々なお話を伺いました・・・。
娘さん(ヨウジさんにとってはお孫さん)はB医大出身のドクターだそうです。
そして、そのご主人も同大出身で現在はリトアニアに派遣されているそうです。
非常に危ない所ですよね。
ヨウジさんは私が施設に訪問するようになって以来、一番嬉しそうにみえました。
でも・・ひたすら『(千葉県佐倉市の)第64連隊は(*佐倉と言えば歩兵第57連隊の筈ですが)たいへんだった(辛かった)大変だった。』と繰り返しておられました。
『若くなくちゃ出来ないよ、あんなこと。若かったからできたんだ!』 とも。
私には何のことかはっきりとは分りませんでしたが、嫌な思いをたくさんされたのでしょう・・。
それにしても、青春の絶頂期に ‘ 軍隊 ’ に余儀なく入隊させられ、思い出したくないほど辛く、『たいへんだった!』を連呼するヨウジさんのお孫さんが、B医大を出てアメリカに留学中で、またそのお婿さん(義理のお孫さん)がリトアニアに派遣されているとは・・・。
なんとも皮肉な話です。何の因果でしょうか。私はとても複雑な気持ちになりました。
そんな時、介護士さんに車イスを押され、トモコさん(普段は殆ど声を出さず、目を瞑っている92才の女性)がフロアーにいらっしゃいました。
(身体が不自由な辛さからか)泣きべそをかいておられましたが、私が声をかけると微笑んでくれました。嬉です・・。
敬聴の終了後には、フロアーにいらした皆さまから『 ご苦労さま! 』と労われました。
そして、その中でひときわ大きな声で『 ご苦労さん! 』と労って下さったのは、あの ‘ ヨウジさん ’ でした。
(実施日:2017年4月23日(日)14:00~15:00)
そして私の手を取り、(この日は月一回の回診日だったようで)施設の代表理事長でもあるドクターY先生と看護師さんに ‘ 再度 ’ 私を紹介して下さいました。
先生達は苦笑いし困惑しておりましたが、カズさんはとても満足そうでした。
その後 カズさんは6Fフロアーの近況を話して下さり、新しく入所されたお二方のお名前も教えてくれました。
あまりにも正確に新しい入所者の名前を覚えていらっしゃるのには、ビックリでした。
私が思わず 『すごいですね! 何でもよく覚えていらして。』 と褒めると、カズさんは自慢げに 『だって、わたしは100年ものよ!』 と仰いました。
お見事! 何ともユーモアのある103才です!
一方、ヨウジさん(91才男性)の所には一人息子さんがお出でになっておりました。
私がお会いするのは初めてでした。それから色々なお話を伺いました・・・。
娘さん(ヨウジさんにとってはお孫さん)はB医大出身のドクターだそうです。
そして、そのご主人も同大出身で現在はリトアニアに派遣されているそうです。
非常に危ない所ですよね。
ヨウジさんは私が施設に訪問するようになって以来、一番嬉しそうにみえました。
でも・・ひたすら『(千葉県佐倉市の)第64連隊は(*佐倉と言えば歩兵第57連隊の筈ですが)たいへんだった(辛かった)大変だった。』と繰り返しておられました。
『若くなくちゃ出来ないよ、あんなこと。若かったからできたんだ!』 とも。
私には何のことかはっきりとは分りませんでしたが、嫌な思いをたくさんされたのでしょう・・。
それにしても、青春の絶頂期に ‘ 軍隊 ’ に余儀なく入隊させられ、思い出したくないほど辛く、『たいへんだった!』を連呼するヨウジさんのお孫さんが、B医大を出てアメリカに留学中で、またそのお婿さん(義理のお孫さん)がリトアニアに派遣されているとは・・・。
なんとも皮肉な話です。何の因果でしょうか。私はとても複雑な気持ちになりました。
そんな時、介護士さんに車イスを押され、トモコさん(普段は殆ど声を出さず、目を瞑っている92才の女性)がフロアーにいらっしゃいました。
(身体が不自由な辛さからか)泣きべそをかいておられましたが、私が声をかけると微笑んでくれました。嬉です・・。
敬聴の終了後には、フロアーにいらした皆さまから『 ご苦労さま! 』と労われました。
そして、その中でひときわ大きな声で『 ご苦労さん! 』と労って下さったのは、あの ‘ ヨウジさん ’ でした。
(実施日:2017年4月23日(日)14:00~15:00)
| ナスカの地上絵 はちどり |
2017年11月5日日曜日
34)【番外編】 傾聴講習会 2017年3月21日(火)
「色カルタ(※クオリア・ゲーム)体験」 ~相手の話を色でイメージしてみよう~ に参加してきました。
一般的に認知症の方は、症状の進行と共におしゃれ心がなくなり、外出せずに薄暗い部屋でぼんやりとする時間が次第に増え、服装を気にすることなく過ごすようになりがちとのこと。
そして全体的に暮らしの中で‘色’に対する興味も薄くなるようである。更に高齢者施設等では環境の変化が乏しく、自分で服などの「色」を選ぶことが無くなっているようである。
しかし眼から入る刺激が低下すると、脳の活性も落ち、認知機能にも悪影響が及んでしまうとの事。「色」を意識することは、気持ちにも彩りが出てくるようである。
今回の講習は「色」を見て選ぶことにより、視覚を刺激しイメージを膨らませ 「思い出」やその時の 「気持ち」 を蘇らせて 「話をする」 きっかけ作りをすると言う内容であった。
※クオリア(qualia)とは、個人の感覚的、主観的な経験に基づく独特の質感のこと。
例えば 「‘青空’のような清々しい感じ」 とか 「‘フルートの音色’のような高く澄んだ感じ」 等など。
然しながら自分がリンゴを見た時に感じる 「赤」 (その人の感じる‘赤’がクオリア)の感覚は、他の人が感じる 「赤み」 とは限らない。あくまでも個人の主観と感覚なのである。
実践方法:
①色カルタをテーブルに並べる。
参加者のお年寄りたちに、色カルタ(色の種類は少なくとも100色以上が望ましい)を広げる。 (お年寄りたちに色カルタを広げるのを手伝って貰ってもよい。)
②リーダーが読み札 ( 読み札には 『初恋を色に例えると?』 等とテーマが記載 ) を読む。あるいは単純に 『赤いカルタを取って下さい!』 とか 『黒を取ってください!』 等と言っても良い。
③参加者はその言葉から連想した色を取る。 ( 「赤色」 でも様々な 「赤色」 を用意しておく。 )
④何故その色を選んだか、色のイメージについて会話をする。
※②~④を繰り返して参加者との会話を続けていく。
大切なのは参加者との会話を楽しむことで、相手の話をよく聴き、よく話をさせてあげる事。そして参加者の様子に気を配り、話は一人ひとり丁寧に聴くこと。
またその際、必ず一人ひとりの名前を呼んでから話しかけるようにする。
このゲームは早さを競う必要がないので、ゆっくり考えてのびのび話して頂く事。
具体的には、ゲームの参加者にテーマ毎に100色位ある色カルタ(カード)から一枚選んで頂き、その方の「状況」や「気持ち」を想像しながら選んだ理由を聴いていくのである。
この講習を通して勉強になった事は、私が今まで 「 ‘色’ は共有できるもの」 と思っていたことが、色の見え方や感じ方には個人差があり、また 「色」 にまつわる様々な経験によっても大きく異なる事を知ったことです。
例えば 『青春時代』 というテーマでも、楽しい思い出がある人は 「明るくキレイな色」 を選び、イジメや嫌な思い出ばかりだと 「暗く濁った色」 を選ぶ傾向があるという事でした。
つまり、その時の状況により 「色」 に対する認識やイメージは千差万別で、かなり異なってくるという事です。
たしかに 『青春時代』 を 「黒」 と例えた方もお出ででしたが、その理由を尋ねると 『学ランの 「黒」 です。』 というお答えでした。
「黒」 は暗くて悪いイメージというのは、余りにもステレオタイプ過ぎますね。 (反省です!)
主な効果:
①忘れていた記憶を取り戻すことがある。
②認知症の方の表情がイキイキとしてくる。
③認知症の方の状態も安定してくる。
④参加者の 「人生ものがたり」 を知ることにより、介護者のケアの質も変わってくる。
以上でした。
一般的に認知症の方は、症状の進行と共におしゃれ心がなくなり、外出せずに薄暗い部屋でぼんやりとする時間が次第に増え、服装を気にすることなく過ごすようになりがちとのこと。
そして全体的に暮らしの中で‘色’に対する興味も薄くなるようである。更に高齢者施設等では環境の変化が乏しく、自分で服などの「色」を選ぶことが無くなっているようである。
しかし眼から入る刺激が低下すると、脳の活性も落ち、認知機能にも悪影響が及んでしまうとの事。「色」を意識することは、気持ちにも彩りが出てくるようである。
今回の講習は「色」を見て選ぶことにより、視覚を刺激しイメージを膨らませ 「思い出」やその時の 「気持ち」 を蘇らせて 「話をする」 きっかけ作りをすると言う内容であった。
※クオリア(qualia)とは、個人の感覚的、主観的な経験に基づく独特の質感のこと。
例えば 「‘青空’のような清々しい感じ」 とか 「‘フルートの音色’のような高く澄んだ感じ」 等など。
然しながら自分がリンゴを見た時に感じる 「赤」 (その人の感じる‘赤’がクオリア)の感覚は、他の人が感じる 「赤み」 とは限らない。あくまでも個人の主観と感覚なのである。
実践方法:
①色カルタをテーブルに並べる。
参加者のお年寄りたちに、色カルタ(色の種類は少なくとも100色以上が望ましい)を広げる。 (お年寄りたちに色カルタを広げるのを手伝って貰ってもよい。)
②リーダーが読み札 ( 読み札には 『初恋を色に例えると?』 等とテーマが記載 ) を読む。あるいは単純に 『赤いカルタを取って下さい!』 とか 『黒を取ってください!』 等と言っても良い。
③参加者はその言葉から連想した色を取る。 ( 「赤色」 でも様々な 「赤色」 を用意しておく。 )
④何故その色を選んだか、色のイメージについて会話をする。
※②~④を繰り返して参加者との会話を続けていく。
大切なのは参加者との会話を楽しむことで、相手の話をよく聴き、よく話をさせてあげる事。そして参加者の様子に気を配り、話は一人ひとり丁寧に聴くこと。
またその際、必ず一人ひとりの名前を呼んでから話しかけるようにする。
このゲームは早さを競う必要がないので、ゆっくり考えてのびのび話して頂く事。
具体的には、ゲームの参加者にテーマ毎に100色位ある色カルタ(カード)から一枚選んで頂き、その方の「状況」や「気持ち」を想像しながら選んだ理由を聴いていくのである。
この講習を通して勉強になった事は、私が今まで 「 ‘色’ は共有できるもの」 と思っていたことが、色の見え方や感じ方には個人差があり、また 「色」 にまつわる様々な経験によっても大きく異なる事を知ったことです。
例えば 『青春時代』 というテーマでも、楽しい思い出がある人は 「明るくキレイな色」 を選び、イジメや嫌な思い出ばかりだと 「暗く濁った色」 を選ぶ傾向があるという事でした。
つまり、その時の状況により 「色」 に対する認識やイメージは千差万別で、かなり異なってくるという事です。
たしかに 『青春時代』 を 「黒」 と例えた方もお出ででしたが、その理由を尋ねると 『学ランの 「黒」 です。』 というお答えでした。
「黒」 は暗くて悪いイメージというのは、余りにもステレオタイプ過ぎますね。 (反省です!)
主な効果:
①忘れていた記憶を取り戻すことがある。
②認知症の方の表情がイキイキとしてくる。
③認知症の方の状態も安定してくる。
④参加者の 「人生ものがたり」 を知ることにより、介護者のケアの質も変わってくる。
以上でした。
| 京都造形芸術大 はな緒付きスニーカ― |
2017年10月25日水曜日
33) 『今を楽しめ!』
カズさん(103才女性)から、15年以上もこの施設で掃除婦として働いているOさんを紹介されました。
彼女は現在70才で途中で大病を患たにも拘らず、ずっとこのお仕事を続けているそうです。
家では80代のご主人が留守番をされており、身体がご不自由にもかかわらず、簡単なお食事の支度をし待っていて下さるそうです。
そして彼女は毎朝5時起きして6時30分には施設に到着。帰宅は毎晩8時半過ぎになると仰っておりました。
ご夫婦ともすごいです!ご立派だと思いました。
わたしは彼女から元気をもらった気になりました。
会話の中でOさんは、『各階の入所者さんを見ていると、よく食べる方は長生きしますね。』 と言っておりました。やはり食欲は生命力に繋がるのですね!
その後はカズさんの ‘リクエスト’ に応じ、彼女のお部屋に再訪問させて頂きました。
例の‘変色した銀盃’とも再会を果たしました!
一方、キクさん(97才女性)ですが、
『何か為さりたい事や食べたい物はありますか?』 と私が質問をすると
『今はもう何もないわ。年をとると、したい事などみんな無くなってしまうの・・・。』
『(そして) 何にもいらなくなるの・・・。』 とうつろなお顔で仰いました。
それから私を見据え、『あなたも今のうちに‘食べたいもの’は食べて、‘したい事’はしておきなさいね!』 と返って励まされてしまいました。
そしてマリコさん(78才女性)ですが、私を見るなり、『草月の先生!』 とまたお呼びになりました。・・・私は機会があればこのフロアーで生け花をお教え出来たら良いなと思いました。
帰りがけにはカズさんから 『身体に気をつけて元気でね!』 と労われてしまいました。 本来は逆ですよね!?
余談ですが、 映画 『レナードの朝』 (1990年 ロバート・デ・ニーロ主演) を思い出しました。 医師であるオリバー・サックス著作の医療ノンフィクションの映画化です。
内容は、1960年代に開発されたパーキンソン病向けの新薬 「L-ドーパ」 を投与し、患者らを覚醒させたが、耐性により効果が薄れていった状況が描かれております。
【最初は、ボールや音楽など様々なものを使った訓練により、患者たちは生気を取り戻すことに成功する。更なる回復を目指した医師セイヤーは、パーキンソン病の新薬を使うことを考える。それは顕著な効果をうむ。この成功を踏まえセイヤーは、他の患者たちにも同じ薬を使用してみる。 そうすると期待通り、全ての患者が機能を回復する。そして目覚めた患者たちは ‘生きる幸せ’ を噛み締める。 しかし、その後は病状が悪化し、最後は、レナードをはじめ同じ薬を使った患者たちは、全て元の状態に戻ってしまう。】
ここの皆さまも私が帰った後は、また‘静かな日常’に戻ってしまうのかなと思いました。
( 実施日:2017年3月19日(日)14:00~15:00 )
彼女は現在70才で途中で大病を患たにも拘らず、ずっとこのお仕事を続けているそうです。
家では80代のご主人が留守番をされており、身体がご不自由にもかかわらず、簡単なお食事の支度をし待っていて下さるそうです。
そして彼女は毎朝5時起きして6時30分には施設に到着。帰宅は毎晩8時半過ぎになると仰っておりました。
ご夫婦ともすごいです!ご立派だと思いました。
わたしは彼女から元気をもらった気になりました。
会話の中でOさんは、『各階の入所者さんを見ていると、よく食べる方は長生きしますね。』 と言っておりました。やはり食欲は生命力に繋がるのですね!
その後はカズさんの ‘リクエスト’ に応じ、彼女のお部屋に再訪問させて頂きました。
例の‘変色した銀盃’とも再会を果たしました!
一方、キクさん(97才女性)ですが、
『何か為さりたい事や食べたい物はありますか?』 と私が質問をすると
『今はもう何もないわ。年をとると、したい事などみんな無くなってしまうの・・・。』
『(そして) 何にもいらなくなるの・・・。』 とうつろなお顔で仰いました。
それから私を見据え、『あなたも今のうちに‘食べたいもの’は食べて、‘したい事’はしておきなさいね!』 と返って励まされてしまいました。
そしてマリコさん(78才女性)ですが、私を見るなり、『草月の先生!』 とまたお呼びになりました。・・・私は機会があればこのフロアーで生け花をお教え出来たら良いなと思いました。
帰りがけにはカズさんから 『身体に気をつけて元気でね!』 と労われてしまいました。 本来は逆ですよね!?
余談ですが、 映画 『レナードの朝』 (1990年 ロバート・デ・ニーロ主演) を思い出しました。 医師であるオリバー・サックス著作の医療ノンフィクションの映画化です。
内容は、1960年代に開発されたパーキンソン病向けの新薬 「L-ドーパ」 を投与し、患者らを覚醒させたが、耐性により効果が薄れていった状況が描かれております。
【最初は、ボールや音楽など様々なものを使った訓練により、患者たちは生気を取り戻すことに成功する。更なる回復を目指した医師セイヤーは、パーキンソン病の新薬を使うことを考える。それは顕著な効果をうむ。この成功を踏まえセイヤーは、他の患者たちにも同じ薬を使用してみる。 そうすると期待通り、全ての患者が機能を回復する。そして目覚めた患者たちは ‘生きる幸せ’ を噛み締める。 しかし、その後は病状が悪化し、最後は、レナードをはじめ同じ薬を使った患者たちは、全て元の状態に戻ってしまう。】
ここの皆さまも私が帰った後は、また‘静かな日常’に戻ってしまうのかなと思いました。
( 実施日:2017年3月19日(日)14:00~15:00 )
| 皇居外苑の白鳥 |
2017年10月15日日曜日
32)番外編 「ユマニチュード」
「ユマニチュード」とは、フランス語で『人間らしさをとり戻す』という意味で、今から約35年前に体育学を専攻する二人のフランス人、イブ・ジネストとロゼット・マレスコッティによって作り上げられた新しい認知症ケアの手法である。
特別な治療もなく、うつ状態や暴力的になった人へもユマニチュードを通すと、穏やかになることから「魔法のよう」と紹介されることも多い。勿論、ユマニチュードは魔法等ではなく、具体的な技術に裏付けられた誰にでも習得できる介護方法である。
基本は「見る」「話す」「触れる」「立つ」というコミュニケーションを4つの柱とし、150を超える技術から成る。現在フランスでは400を超える医療機関や施設がユマニチュードを導入しており、今ではドイツやカナダなどでも導入され世界中に広まっており、日本にも2011年から導入された。
「見る」
ユマニチュードでも特に大事とされているのは「見る」こと。認知症になると人よりも視野が狭くなるため、先ずは相手の視界内に入り存在を認識してもらうことが大切。
正面(20cmほどの近距離)から、相手と同じ高さの目線で、親しみをこめた視線を送る。ユマニチュードの考案者、ジネスト氏曰く「見ないのは‘居ない’事と同じ」。視線を合わせることで、言葉で説明するよりも早く確実に「私はあなたの味方です」「あなたを大切に思っています」という事が伝えられる。
「話しかける」
ユマニチュードでは、たとえ反応が返ってこない方(但し3秒~3分間位は待つ)に対しても、積極的に聞き取りやすい(大きな)声で話かけ、常にポジティブな言葉を加える。ケアをする時も『今からお口の中を綺麗にしますね』『お口を開きます。さっぱりしますよ。』『綺麗になりましたね、気持ちいいですね。』等と、実況するように優しくゆっくりと声がけをする。そうすることで単なる「作業」ではなく、心の通った「ケア」になる。
「触れる」
人間関係を親密にさせる上で、ボディタッチは非常に効果的と言われているが、ユマニチュードでも触れることを推奨している。ケアをする時、相手の背中や手を優しく包み込むように手の平を使い、声をかけながら触れることで安心感を与える。
なお、この時 腕などをつかんだり、無言で触れてしまうと逆効果で、相手に不信感を与えかねない。優しく声を掛けながらそっと触れることが大切。
「立つ」
ユマニチュード考案者のジネスト氏が「自分の足で立つことで人間の尊厳を自覚する。」と語っている通り、ユマニチュードでは最低1日20分は立つことを目指している。立つことで、筋力の維持向上や骨粗鬆症の防止など、身体機能を保つ効果があるのと、他の人と同じ空間にいることを認識することで「自分は人間なのだ」という実感にもつながる。
ユマニチュードケアで「やってはいけない行動」とは
・腕などを突然「つかむ」
・視界に入りにくい「横」や「後ろ」から声をかける
・無理やりに立たせようとする
介護をする立場からすると何気なく行うことでも、認知症を持つ本人にとっては不安や恐怖を煽る行動として捉えられる。ゆえに意識して避ける必要がある。
ユマニチュードの効果とは
認知症の方を「病人」ではなく、あくまで「人間」として接することで、認知症の人と介護者に信頼関係が芽生え、周辺の行動が改善する効果があると言われている。
「人は見つめてもらい、誰かと触れあい、言葉を交わすことで存在する」というユマニチュード。認知症の方々だけではなく、子供から大人まで全年齢のコミュニケーションでヒントになる部分も多いと言われる。
| 旧芝離宮恩賜庭園 |
![]() | ||
| 新宿フィールドミュージアム2017 ~朗読と蓄音機と~ 「漱石山房 -硝子戸の中- 」 |
2017年10月5日木曜日
31) 『お世話されるより、お世話する方が幸せよ!』
この日は風邪が流行っているとかで、施設では風邪ひきの方とひいていない方が遠く離れて座っていらっしゃいました。
介護士さんは気を利かせて、私にもマスクを下さいました。(有難いです!)
一人ポツンと座っていらしたキクさん (97才女性) の傍に行き 『 いつもいろいろと教えて頂き有難うございます!』 と声をかけると、
『 あらっ、前に (あなたに) 会ったことある?』 とキクさん。
『ええ。ありますよ!』 と私がにこやかに答えると、
『そう? (わたしは) 最近、みんな忘れてしまうの。』 と悲しそうに仰いました。
そして初めてお会いしたかのように話されました。
私が 『キクさんはいろいろと物知りでいらっしゃいますよね!』 と言うと
『昔はね・・・。』 とションボリしてお答えになりました。
『前回、お話させて頂いた時も色々とアドバイスを下さいましたよ!』 と私が言うと
『あら、そう? 何か貴女に良いこと言ったかしら?』 とちょっと嬉しそうに仰いました。
そして 『もし、貴女に何か良いことを言ったのなら、「昔そんなお婆さんがいたなぁー。」
と思い出してね!』 と付け加えました。
それから何度も 『(わたし、貴女に) 何か良いこと言ったかしら?』 という言葉を繰り返されました。
そのうち話は (大袈裟ですが) 人間関係における会話術に及びました。
『他人と話をする時は断定的な物言いはせず、「○○○と私は思うのですけど・・。」 とか、下手(したで)に出るくらいの方が良いわよ。』 と。
『そして、二つくらい(相手が選べるので) 選択肢を与えて 「○○と言う方法もあるわよ。」 とかね!』 とアドバイスして下さいました。
更に 『決して自分の考えは押し付けないこと。偉そうに言わないことよ!』 と少々背筋を伸ばして仰いました。
キクさんはお話をしているうち、見る見る元気に (シッカリと) なりました。
『辛くて悲しい時には、楽しかった頃の友達を思い出しなさい!』 『私はそうしているの。』 とも。 『感情は顔に出さないことよ!』 と付け加えました。
もうキクさんの独擅場でした!
最後に私が 『 (キクさんは) 生まれ変わったら男性が良いですか、それとも女性が良いですか?』 と尋ねると、
キクさんは 『それは男性が良いわよ!』 と即座に目を輝かして仰いました。
帰りには 『話を聴いてくれてありがとうね!』 と言って、いつまでも手を振って見送って下さいました。
( 実施日:2017年2月4日(土) 14:00~15:00 )
介護士さんは気を利かせて、私にもマスクを下さいました。(有難いです!)
一人ポツンと座っていらしたキクさん (97才女性) の傍に行き 『 いつもいろいろと教えて頂き有難うございます!』 と声をかけると、
『 あらっ、前に (あなたに) 会ったことある?』 とキクさん。
『ええ。ありますよ!』 と私がにこやかに答えると、
『そう? (わたしは) 最近、みんな忘れてしまうの。』 と悲しそうに仰いました。
そして初めてお会いしたかのように話されました。
私が 『キクさんはいろいろと物知りでいらっしゃいますよね!』 と言うと
『昔はね・・・。』 とションボリしてお答えになりました。
『前回、お話させて頂いた時も色々とアドバイスを下さいましたよ!』 と私が言うと
『あら、そう? 何か貴女に良いこと言ったかしら?』 とちょっと嬉しそうに仰いました。
そして 『もし、貴女に何か良いことを言ったのなら、「昔そんなお婆さんがいたなぁー。」
と思い出してね!』 と付け加えました。
それから何度も 『(わたし、貴女に) 何か良いこと言ったかしら?』 という言葉を繰り返されました。
そのうち話は (大袈裟ですが) 人間関係における会話術に及びました。
『他人と話をする時は断定的な物言いはせず、「○○○と私は思うのですけど・・。」 とか、下手(したで)に出るくらいの方が良いわよ。』 と。
『そして、二つくらい(相手が選べるので) 選択肢を与えて 「○○と言う方法もあるわよ。」 とかね!』 とアドバイスして下さいました。
更に 『決して自分の考えは押し付けないこと。偉そうに言わないことよ!』 と少々背筋を伸ばして仰いました。
キクさんはお話をしているうち、見る見る元気に (シッカリと) なりました。
『辛くて悲しい時には、楽しかった頃の友達を思い出しなさい!』 『私はそうしているの。』 とも。 『感情は顔に出さないことよ!』 と付け加えました。
もうキクさんの独擅場でした!
最後に私が 『 (キクさんは) 生まれ変わったら男性が良いですか、それとも女性が良いですか?』 と尋ねると、
キクさんは 『それは男性が良いわよ!』 と即座に目を輝かして仰いました。
帰りには 『話を聴いてくれてありがとうね!』 と言って、いつまでも手を振って見送って下さいました。
( 実施日:2017年2月4日(土) 14:00~15:00 )
| 四天王寺 万燈院(紙衣堂)の びんずる尊者 |
2017年9月25日月曜日
30) キクさん語録! (傾聴の極意?)
新年第一弾のお相手はキクさん(97才女性)です。
この日のキクさんは少々気だるそうでした。おそばに行き 『お元気でしたか?』 とご挨拶すると、『まあまあね・・。でも・・ ね、年をとるとつまらないわ。』 と仰いました。
頭 (記憶力) や体が言うことをきかなくなり、何事にも自信が持てなくなるとの事です。
『キクさんが一番楽しかった時代っていつですか?』 と尋ねると、『山登りをしていた頃かしらねぇ。』 と少し明るいお顔になってお返事を下さいました。
『 (登山道ですれ違うときなど) 見ず知らずの方々とご挨拶を交わすのが嬉しかった!』 とのことでした。
それから暫し ご挨拶や会話についてお喋りをしました。
キクさん曰く 人間関係で大事なことは、
『いつも自分が ‘中心となって’ 会話をするのではなく、相手に話をさせて自分は聞き役に回ること。』 だそうです。
また 『 「じぶんが、自分が・・・。」 ではなくて、お互いに (相手が ) 気持ち良く話が出来るように持っていく (配慮する) ことが大切 』 とのことでした。
それが‘話に花を咲かせる’と言うことだそうです。 (すごく含蓄のある言葉です!)
そして 『 相手やその話を否定的に考えず、なるべく好意的にみること。』
『 (腹が立っても) きつく言わず、にこにこと優しく言うこと。 』 など等。
つねに柔らかな物腰で、しなやかな人になることが大切との事でした。
私は 「敬聴」 にもつながると思いました。極意とも言えそうです。
更に私が 『 (相手の話の中で) どうしても譲れない時など、どうしたら良いでしょうか?』と尋ねると (結構、わたしは‘マジ’でした!)
キクさんは 『 「(そういう時は) もう少しお互いに考えてみましょう。」 等と言ったらどうかしら。』 とアドバイスを下さいました。
完璧です。以上、キクさん語録でした!
キクさんは私に ‘様々なアドバイス (?) ’ を下さると、生き生きしだし心なしか毅然とし始めて、自信を取り戻したかのように見えました。
人の役に立っているという自負、訓えているという誇りからでしょうか。
一方、マリコさん (78才女性) は相変わらず私のことを 『草月の先生!こんな所に来て頂いて勿体ない!』 等と仰います。
また、カズさん (103才女性) はこの日が入浴の日だったようで、介助の介護士さんに 是非 私を紹介したいと言い張りました・・・。
ただこの日も、中堅の介護士さん (女性) の言葉使いや態度がきつく感じられました。
お年寄りたちがピリピリしておりました。
大変なのは解りますが・・・、ご自身もお年寄りたちも、また私のような部外者も居心地が悪くなり、重苦しいムードになります。
深呼吸などをして、気持ちの切り替えを試みるのは無理なのでしょうか。
お役に立てない私自身にも情けなくなりました。
( 実施日:2017年1月7日(土) 14:00~15:00 )
この日のキクさんは少々気だるそうでした。おそばに行き 『お元気でしたか?』 とご挨拶すると、『まあまあね・・。でも・・ ね、年をとるとつまらないわ。』 と仰いました。
頭 (記憶力) や体が言うことをきかなくなり、何事にも自信が持てなくなるとの事です。
『キクさんが一番楽しかった時代っていつですか?』 と尋ねると、『山登りをしていた頃かしらねぇ。』 と少し明るいお顔になってお返事を下さいました。
『 (登山道ですれ違うときなど) 見ず知らずの方々とご挨拶を交わすのが嬉しかった!』 とのことでした。
それから暫し ご挨拶や会話についてお喋りをしました。
キクさん曰く 人間関係で大事なことは、
『いつも自分が ‘中心となって’ 会話をするのではなく、相手に話をさせて自分は聞き役に回ること。』 だそうです。
また 『 「じぶんが、自分が・・・。」 ではなくて、お互いに (相手が ) 気持ち良く話が出来るように持っていく (配慮する) ことが大切 』 とのことでした。
それが‘話に花を咲かせる’と言うことだそうです。 (すごく含蓄のある言葉です!)
そして 『 相手やその話を否定的に考えず、なるべく好意的にみること。』
『 (腹が立っても) きつく言わず、にこにこと優しく言うこと。 』 など等。
つねに柔らかな物腰で、しなやかな人になることが大切との事でした。
私は 「敬聴」 にもつながると思いました。極意とも言えそうです。
更に私が 『 (相手の話の中で) どうしても譲れない時など、どうしたら良いでしょうか?』と尋ねると (結構、わたしは‘マジ’でした!)
キクさんは 『 「(そういう時は) もう少しお互いに考えてみましょう。」 等と言ったらどうかしら。』 とアドバイスを下さいました。
完璧です。以上、キクさん語録でした!
キクさんは私に ‘様々なアドバイス (?) ’ を下さると、生き生きしだし心なしか毅然とし始めて、自信を取り戻したかのように見えました。
人の役に立っているという自負、訓えているという誇りからでしょうか。
一方、マリコさん (78才女性) は相変わらず私のことを 『草月の先生!こんな所に来て頂いて勿体ない!』 等と仰います。
また、カズさん (103才女性) はこの日が入浴の日だったようで、介助の介護士さんに 是非 私を紹介したいと言い張りました・・・。
ただこの日も、中堅の介護士さん (女性) の言葉使いや態度がきつく感じられました。
お年寄りたちがピリピリしておりました。
大変なのは解りますが・・・、ご自身もお年寄りたちも、また私のような部外者も居心地が悪くなり、重苦しいムードになります。
深呼吸などをして、気持ちの切り替えを試みるのは無理なのでしょうか。
お役に立てない私自身にも情けなくなりました。
( 実施日:2017年1月7日(土) 14:00~15:00 )
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安倍文殊院(金閣浮御堂霊宝館)
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