2017年10月5日木曜日

31) 『お世話されるより、お世話する方が幸せよ!』

この日は風邪が流行っているとかで、施設では風邪ひきの方とひいていない方が遠く離れて座っていらっしゃいました。
介護士さんは気を利かせて、私にもマスクを下さいました。(有難いです!)

 一人ポツンと座っていらしたキクさん (97才女性) の傍に行き 『 いつもいろいろと教えて頂き有難うございます!』 と声をかけると、
『 あらっ、前に (あなたに) 会ったことある?』 とキクさん。
『ええ。ありますよ!』 と私がにこやかに答えると、
『そう? (わたしは) 最近、みんな忘れてしまうの。』 と悲しそうに仰いました。
そして初めてお会いしたかのように話されました。


私が 『キクさんはいろいろと物知りでいらっしゃいますよね!』 と言うと
『昔はね・・・。』 とションボリしてお答えになりました。  
『前回、お話させて頂いた時も色々とアドバイスを下さいましたよ!』 と私が言うと
『あら、そう? 何か貴女に良いこと言ったかしら?』 とちょっと嬉しそうに仰いました。


そして 『もし、貴女に何か良いことを言ったのなら、「昔そんなお婆さんがいたなぁー。」
と思い出してね!』 と付け加えました。

それから何度も 『(わたし、貴女に) 何か良いこと言ったかしら?』 という言葉を繰り返されました。
 

そのうち話は  (大袈裟ですが)  人間関係における会話術に及びました。
『他人と話をする時は断定的な物言いはせず、「○○○と私は思うのですけど・・。」 とか、下手(したで)に出るくらいの方が良いわよ。』 と。
『そして、二つくらい(相手が選べるので) 選択肢を与えて 「○○と言う方法もあるわよ。」 とかね!』 とアドバイスして下さいました。


更に 『決して自分の考えは押し付けないこと。偉そうに言わないことよ!』 と少々背筋を伸ばして仰いました。
キクさんはお話をしているうち、見る見る元気に (シッカリと) なりました。


『辛くて悲しい時には、楽しかった頃の友達を思い出しなさい!』 『私はそうしているの。』 とも。 『感情は顔に出さないことよ!』 と付け加えました。
もうキクさんの独擅場でした!


最後に私が 『 (キクさんは) 生まれ変わったら男性が良いですか、それとも女性が良いですか?』 と尋ねると、
キクさんは 『それは男性が良いわよ!』 と即座に目を輝かして仰いました。


帰りには 『話を聴いてくれてありがとうね!』 と言って、いつまでも手を振って見送って下さいました。


( 実施日:2017年2月4日(土) 14:00~15:00 )




四天王寺 万燈院(紙衣堂)の びんずる尊者