介護士さんは気を利かせて、私にもマスクを下さいました。(有難いです!)
一人ポツンと座っていらしたキクさん (97才女性) の傍に行き 『 いつもいろいろと教えて頂き有難うございます!』 と声をかけると、
『 あらっ、前に (あなたに) 会ったことある?』 とキクさん。
『ええ。ありますよ!』 と私がにこやかに答えると、
『そう? (わたしは) 最近、みんな忘れてしまうの。』 と悲しそうに仰いました。
そして初めてお会いしたかのように話されました。
私が 『キクさんはいろいろと物知りでいらっしゃいますよね!』 と言うと
『昔はね・・・。』 とションボリしてお答えになりました。
『前回、お話させて頂いた時も色々とアドバイスを下さいましたよ!』 と私が言うと
『あら、そう? 何か貴女に良いこと言ったかしら?』 とちょっと嬉しそうに仰いました。
そして 『もし、貴女に何か良いことを言ったのなら、「昔そんなお婆さんがいたなぁー。」
と思い出してね!』 と付け加えました。
それから何度も 『(わたし、貴女に) 何か良いこと言ったかしら?』 という言葉を繰り返されました。
そのうち話は (大袈裟ですが) 人間関係における会話術に及びました。
『他人と話をする時は断定的な物言いはせず、「○○○と私は思うのですけど・・。」 とか、下手(したで)に出るくらいの方が良いわよ。』 と。
『そして、二つくらい(相手が選べるので) 選択肢を与えて 「○○と言う方法もあるわよ。」 とかね!』 とアドバイスして下さいました。
更に 『決して自分の考えは押し付けないこと。偉そうに言わないことよ!』 と少々背筋を伸ばして仰いました。
キクさんはお話をしているうち、見る見る元気に (シッカリと) なりました。
『辛くて悲しい時には、楽しかった頃の友達を思い出しなさい!』 『私はそうしているの。』 とも。 『感情は顔に出さないことよ!』 と付け加えました。
もうキクさんの独擅場でした!
最後に私が 『 (キクさんは) 生まれ変わったら男性が良いですか、それとも女性が良いですか?』 と尋ねると、
キクさんは 『それは男性が良いわよ!』 と即座に目を輝かして仰いました。
帰りには 『話を聴いてくれてありがとうね!』 と言って、いつまでも手を振って見送って下さいました。
( 実施日:2017年2月4日(土) 14:00~15:00 )
四天王寺 万燈院(紙衣堂)の びんずる尊者 |