2023年12月25日月曜日

181) 【徒然に】『文の京十八の町物語を聞く』より

「我が町」というテーマで原稿を依頼されました。とても光栄なことです。

文京アカデミア講座※『文の京十八の町物語を聞く』が六周年をむかえ その記念と、本年度で一区切りとなる『この講座』の集大成として記念誌が発行されることになりました。その原稿依頼です。

※『文の京十八の町物語を聞く』:文京の町に暮らし 町を愛している講師(語り部)が参加者に‘ご自分の経験や思い出’を語ります。むかし(子どもが)近所のお年寄りの周りに集まって地域の昔話を聞くような雰囲気の講座。そのため、机は置かず椅子だけのセッティングです。

語り部は、町会長・元大学教授・講談師・僧侶・宮司・和菓子屋さん・パン屋さん・飴細工師など等で、その内容は多岐にわたります。「生きた町の歴史と文化」を知る文京人が語るのです。

寄稿者は「語り部」としてご登壇された五十余名(実際の執筆者は三十名)の方々と講座に関わった我々スタッフ八名です。(私はこのような講座に携わることが出来て、良かったと思っております。)

さて、今の私にとって「我が町」と言えば湯島です。もう20年以上の居住となりました。私のライフワークの一つである“傾聴活動”も湯島です。ゆしまの郷やアリア文京本郷に傾聴ボランティアで伺っておりますが、大好きな町となりました。

『文の京十八の町物語を聞く』では、
講師を務められるご長老の方々に対し敬って聴かせて頂いておりますが、傾聴に伺う施設の入居者のお話をきく際にも 敬意を払って聴かせて頂いております。ゆえに「傾聴」ではなくて「敬聴」なのです。

その「傾聴活動」を通し あらためて湯島の町を見てみると「優しくて人情味あふれる良い町だなぁ。」とつくづく思うのです。因みに、湯島は老舗の名店も多く江戸の匂いがします。

湯島天満宮(湯島天神)の梅まつりの時には、入居者をお花見にお連れしたり、おみ足が不自由な方へは介護士さんが車イスを押してご案内したりされていました。観光名所が近くにある施設のご入居者は幸せだなと羨ましく思います。

湯島天神の菊まつりの時も然りです。ゆったりと美しい菊を眺めると、みんな和やかな笑顔になります。そんな町って素晴らしいと心底思うのです。

私は「湯島会」という町会に属しておりますが、毎年新年にはイベントで湯島天神初詣があります。みんな揃って本堂の内陣でお祓いをして頂くのです。厳かで身の引き締まる思いがします。湯島町会も最高です。

そして毎年五月下旬には、歴史ある「湯島天神例大祭」が開催されます。御神輿が出て、老若男女が半纏を着て威勢よく担ぎます。

祭典自体は五月二十五日に固定されていますが、鳳輦・神輿の渡御や神楽などの催し物は二十五日に近い週末に行なわれます。そして隔年ごと(西暦の偶数年)の本祭の土曜日に神幸祭として鳳輦と宮神輿(宮神輿は台車で渡御)が渡御します。また偶数年の日曜日には、宮神輿の担ぎ渡御する年と町神輿が連合宮入する年が交互に来ます。

御神輿は観ている者の気持ちまで高揚させてくれます。祭り好きの私は身体もこころも浄化されるような清々しい気持ちになります。

文京花の五大まつり(さくら・つつじ・あじさい・菊・梅)の内二つのまつりと天神祭の町、それが「我が町」湯島です。(写真は2023年 年末の湯島天神 他)

























2023年12月15日金曜日

180) 【徒然に】吉野山(金峯山寺)と高野山(金剛峯寺)その2

今回は高校時代の友人を誘っての旅でしたが、高めの旅行代の上に 宿泊施設と料理が楽しみだった彼女にとっては、宿坊や精進料理は期待はずれだったようです。(可哀想なことをしました。)お母さまの介護問題で疲弊している彼女の気分転換になればと思い、聖地に誘ってみたのですが。

高野山の宿坊は(高野山に限らないかも知れませんが)外国人目当てのところが多く、なんと一泊198,000円というお宿もあるようです。まさに外国人ファースト。ご時世とはいえ釈然としませんでした。友人には食事に関しての修行となってしまいました。 

私はパンフレットの記載はともかく あまり料理には期待をしておりませんでした。吉野の老舗旅館(芳雲館)では国産の松茸の天婦羅も出ましたし、そこそこの料理だったと思います。

しかし高野山の宿坊(赤松院)の精進料理には正直 私もガッカリしました。本来の精進料理の意図から外れ 全ての料理が冷たく天婦羅はカピカピで冷めていました。冷凍料理をそのまま自然解凍したように思えました。

観光でいえば、吉野山ではグループごと(私たちは二人)に3時間 自由なタクシー観光が組み込まれており、普段はあまり訪れないであろう※吉野町の史跡、西行庵に行けたので私は満足しました。そこはまさに侘び寂びの世界でした。

※歌人である西行法師が出家後、三年間 侘び住まいをした場所、奥の千本。内部には西行像が置かれている。

「蔵王権現」さまへの参拝については前回記載した通りです。
高野山の宿坊(赤松院)でも朝のお勤めがありましたが、こちらは略式でした。宿の本堂で行われましたので友人も参加しましたが、ここでは僧侶のみで我々はお経を唱えませんでした。ちょっと物足りなかったです。

その後、私にとって四度目の参拝となった高野山奥之院で 初めて弘法大師空海さまへの食事「※1生身供(しょうじんぐ)」の※2儀式を拝観しました。念願が叶い たいへん満足しました。

※1生身供:今なお ここで生き続けているとされる弘法大師さまへの食事のこと。

※2奥の院御廟橋(ごびょうばし)手前の御供所にて調理された食事を嘗試(あじみ)地蔵での味見を経て、2人の僧が白木の箱に納めて御廟へと運んでいく。先頭には案内人の維那(ゆいな/僧侶の職名)が歩き、御廟橋を渡って燈籠堂の中へ食事をお供えした後、読経して再び御供所へと戻ってくる。

朝食として6時、昼食としては10時半の一日2回捧げられています。何と1200年間も続いているそうです。厳かでとても感動的な儀式でした。

吉野山の「蔵王権現さま」の夜間拝観、そして高野山の「奥之院」での生身供 拝観、こうして二つの聖地への旅はおわりました。


高野山駅



生身供の儀式




広目天像 (2015年造立
仏師 松本明慶作)

壇上伽藍 六角経蔵


多聞天像(1819年造立)
持国天像(1819年造立)

増長天像(2015年造立 仏師 松本明慶作)




大塔の鐘

















2023年11月25日土曜日

179) 【徒然に】吉野山(金峯山寺)と高野山(金剛峯寺)その1

先日 二つの世界遺産、吉野山(金峯山寺)と高野山(金剛峯寺)に行って参りました。まるで修行のようでした。

吉野の金峯山寺には2回目、そして高野山の金剛峯寺には今回で4回目の参拝となります。一番の目的は金峯山寺の蔵王権現様への参拝でした。

金峯山寺では国宝の仁王門大修理勧進のため「秘仏であるご本尊金剛蔵王大権現」の特別御開帳があり、私は宿泊者限定の秋に5日間だけという「夜間拝観」にも運よく参拝させて頂くことが出来ました。

扉を閉め切った蔵王堂内で、蝋燭の灯りだけをたよりに法要に参列するのです。100名限定でした。厳かと言うか、粛然たる雰囲気の中での儀式でした。声明と暗闇に浮かぶ群青色の「蔵王権現様」は圧巻でした。息を呑みました。本当に身が引き締まりました。

日本最大の木像秘仏である「金剛蔵王権現立像」は高さが7.3メートル(中央)あり、三尊の全身は、悪魔をはらう怒りの形相を現されていますが、それは、釈迦如来、千手観音菩薩、弥勒菩薩を本来のお姿とする変化身です。三尊は向かって右側から現在、過去、未来の順に並ばれていて、三世に渡って私たちを守ってくださる守護仏でもあります。

私は翌朝 朝のお勤め(朝勤・ちょうごん)にも参加させて頂きました。お経を唱え皆のために祈るのです。「蔵王権現様」のお身体の色は前夜と異なり、朝靄に包まれ、幾分うすい青色に見えました。充実した大満足の参拝でした。

午後からは特別列車「天空」に乗り、高野山(金剛峯寺)へと向かいます。





西行
西行庵




金峯山寺 蔵王堂




金剛峯寺






2023年11月15日水曜日

178) 【徒然に】三越落語会など

今年は日本橋三越(劇場)にご縁があるようで、9月・10月の二ヵ月で何と6回も足を運びました。ビックリです。同じ劇場にこんなにも頻繁に通ったのは初めてです。新内からはじまり、演劇や落語会や二つの朗読会など等です。

『音語り 東京物語~小津安二郎映画を聞く~』(中井貴恵さん朗読)はさすが元女優、素晴らしかったです。『東京物語』の映像が目に浮かびました。笠智衆さんや原節子さん、また杉村春子さんの顔が見え 声が聞こえるようでした。まるで映画を一本みたような気分になりました。

そして10月25日は初めて三越落語会に行ってきました。三越創業350周年、三越落語会は70年だそうです。そして今回開催した落語会は第628回目とのことでした。凄い歴史です。記念の特製手ぬぐい(下記写真)が来場者にプレゼントされました。

そのせいか出演者は超豪華。「明石飛脚」の笑福亭べ瓶さん「風呂敷」の三遊亭萬橘さん「元犬」の柳家三三さん、そして「電話の遊び」の三遊亭遊雀さんと「徂徠豆腐」の立川志の輔さんでした。

今回、私は立川志の輔さんがお目当てでした。もちろん柳家三三さんは言うまでもありませんが。志の輔さんの落語は初めて聴きました。圧巻でした。素晴らしかったです。落語で泣いたのは初めてでした。

ご出演された各一門の落語家さん達の話はそれぞれに面白く、趣も其々で泣き笑いの落語会になりました。上方落語の笑福亭べ瓶さんは、見台を前にして小拍子を鳴らし、旅ネタを軽妙なトークを交えてされました。大好きだった柳家小三治さん亡き後、久しぶりに落語を堪能できました。

若くて勢いのある落語家さんも良いけれど、ベテラン方の技量は半端ないです。その上、新鮮で瑞々しい語りでした。ひとりで聴きに行ったのですが、声を出して笑って帰って来ました。

今更ながら、私って落語が好きなんだなあと再認識した次第です。今後は大御所の落語をもっともっと聴きたいと思いました。







2023年10月25日水曜日

177) 【徒然に】ビーチサンダルで三越劇場へ

先日、大事な「第二回 ひとり朗読会」前に左足の小指を骨折してしまいました。不覚でした。急いでいてベッドの脚にぶつけたのです。

その日は「新内仲三郎公演ー江戸の粋 吉原と新内舞踏ー」に行くために慌てておりました。指の痛みは尋常ではなかったのですが、仲三郎さんのご子息 ‘新内多賀太夫’ さんの艶のある美声を生で聴いてみたい一心と、やっと取れた席がもったいなくて無理して三越劇場まで参りました。(その時は打撲だと思っていたからです。)

ただ、いざ到着してみると、あろうことか私は公演日を二日も間違えておりました。小指の痛さと悔しさで踏んだり蹴ったりの日になりました。

その二日後の当日、三越劇場に電話し事情を説明しましたが、もちろんキャンセル出来るはずはありませんでした。よく考えたすえ、私は自宅前からタクシーに乗り、限りなく劇場に近い入口に向かいました。右足はスニーカー、骨折した左足小指は腫れあがって靴が履けないので、素足にビーチサンダル姿でです。

恥ずかしかったのですが、三越劇場の係の方から『ビーチサンダルでいらしても大丈夫です。構いません。』と言われたからです。(所詮、他人事ですからね。)

私は医師から「うっ血しないよう患部を高くするように」とのアドバイスを受け、係の方にお願いして 席の前に靴箱のような左足を載せる台をご用意して頂き、おかげさまで無事に鑑賞してこれました。(感謝です。)

包帯の足を箱台にのせていると、隣の席に座られた70代の粋な女性から『どうなさったの?』と心配そうな声をかけられました。そのお隣のご友人も私の足に注目なさっています。私はいきさつを説明せざるを得なくなりました。

ひと通りお話しすると、その方はよりご心配や同情して下さり、私は 大事な朗読会を控えている’ 等の話もしてしまいました。優しくて素敵な方でした。公演終了後には『くれぐれもお大事にね。朗読会のご盛況を祈ってます。』とのお言葉まで頂戴しました。

さて、肝心な新内節ですが、新内の三味線は中棹ですが 多賀太夫さんはピンマイクをつけておられました。もう少し声量のある方かと思っていた私には意外でした。それ程の感動はありませんでした。昔、ある所で聴いた ‘新内流し’ を思い出しました。情感にあふれ心を打たれたことを憶えています。

三味線は普段 私が聞きなれている ‘義太夫の太棹三味線’ の方が迫力があり、私は好きだなとあらためて思いました。勿論ジャンルが違いますし、好みの問題ですが。

今回の新内舞踏は「ひとり朗読会」の前に、江戸の雰囲気を味わっておきたいという思いもあっての鑑賞でした。



肥後細川庭園


2023年10月16日月曜日

176) 【徒然に】第二回「ひとり朗読会」など 今秋の二つの朗読会終了

第二回ひとり朗読会(9/30)をはじめ、コンパーニョ 7(10/15 朗読教室のメンバーとの会)二つの朗読会が無事に終了しました。ほっとしました。本当にほっとしたところです。

第二回ひとり朗読会は相方に恵まれ、惜しみなく協力してくれた友に恵まれ、また足を運んで下さる〝たくさんのお客様〟に恵まれての幸せな朗読会でした。支えてくださった心優しい友たちに感謝です。

今回は難しい演目『白子屋騒動』に挑戦しました。いわばチャレンジ編です。現段階での私のすべてを出した朗読でした。「映像(情景)が浮かんだ」という嬉しいお言葉も頂戴しました。今年の反省点を踏まえ、来年はあらたな切り口で頑張ろうと思っております。

私の本領は和気藹々(わきあいあい)とした朗読会です。お出で下さった方に楽しんで頂き、ほっこりするような朗読会です。それには〝笑い〟が必要だと思いました。トークには少し笑いの要素を入れています。お越し下さった方々にも〝笑い〟で参加して頂きたいのです。

突き詰めると・・、朗読も傾聴と同様に「主役は語り手ではなく 聴いて下さるお客さまではないか」と思いました。ゆえに、お出で頂いた方々に「楽しんで貰いたい」「喜んで頂きたい」それが私の願いです。

嬉しい話をひとつ。 先日の「第二回 ひとり朗読会」に来て下さった3人目の83才(たぶん)の女性から『朗読会はとても楽しかった』と言うお電話を頂きました。 『来年も(朗読会に)伺えるよう長生きします!』とのこと。 私にとっては最高の労い、最高の褒め言葉でした。

また、今回は施設のイベントと重なり、朗読会にお越しになれなかった「ゆしまの郷」のN子先生も、朗読会の翌日にお電話を下さり「来年は必ず伺うわ!とても楽しみ!」と仰ってくださいました。有難いことです。

そして更に有難いことに、現時点で来年の「第三回 ひとり朗読会」の予約が、口約束ではありますが25名になりました。感謝とともに身の引き締まる思いです。聴いて下さる方あっての朗読です。

女流義太夫の三味線方、鶴澤賀寿さんは勿論のこと、今回お手伝いをしてくれた友人達も「来年も手伝わせてね。」等と言ってくれました。何と優しくて謙虚なのだろうと私は今更ながら感心しました。とても有難いことです。

また、昨日の朗読会では 私はトークを交えて朗読をさせて頂きましたが、帰りがけにお客さまから『楽しかったわ! ありがとう。』とか『とても面白かったわ。是非エッセイをお書きになって!』等とお声を掛けて頂きました。嬉しいお言葉でした!

人の輪を大切にした温かく楽しい朗読会を目指し、また精進してまいります! 


キイジョウロウホトトギス

ヤマボウシ


2023年9月15日金曜日

175) 【徒然に】インフィニティ 「第二回 ひとり朗読会」

いよいよ9月30日は第二回「ひとり朗読会」です。着物を着て初めての時代物に挑戦します。三味線は女流義太夫の友人 鶴澤賀寿さんに頼みました。

今回は昨年(第一回 ひとり朗読会)来て下さった友人たちに加え、傾聴に伺っている文京区の高齢者施設の方々やボランティア仲間がお越し下さいます。おかげさまで満席になりました。コロナ感染者が漸増している点を踏まえ、客席を大幅に減らしましたが、最終的には40席になりました。

演目は村上元三作『白子屋騒動』です。大事にしたい作品の一つですが、自らハードルを上げてしまいました。本来であれば、じっくり一年以上かけて語りたいものです。 今回は「初回バージョン」としてお聴き頂ければと思っております。 来年も同じ演目で第三回目の「ひとり朗読会」を行う予定です。実践である朗読会は朗読を学ぶ上で必要なのです。

先日、今回の朗読会にお越し下さる80代の女性Mさん(このブログ 131)にもご登場)と電話でお話をしました。実はパソコンをお使いでない方々にはチラシを郵送させて頂いたのですが、何とご丁寧にもそのチラシをテーブルの前に飾っているとのこと。そして「とても楽しみにしています。」と言われました。私は胸が熱くなりました。

歌舞伎にも造詣が深い彼女から「戦争がなく平和な時代の江戸文化は、何でも楽しく、喜ばしく思う気持ちですよね。細かいことはともかく、すべて楽しければ良いんですよ。朗読も楽しんで下さいね。」とのアドバイスを頂きました。自由な庶民の文化。仰る通りでございます!

ともあれ気負うことなく、お越し頂いた皆さまに楽しんで貰えるような会にしたいと思います。(がんばります!)


    【記】
2023年9月30日(土)
会場: 肥後細川庭園 松聲閣
開場: 14:30
開演: 15:00
木戸銭: 1,000円


※9月25日分のブログは一回お休みいたします。次回10月15日に更新するブログをぜひご高覧下さい。







2023年8月25日金曜日

174) 【徒然に】「阿波おどり」と「よさこい祭り」

毎年8月になると私はわくわくします。その理由のひとつが※1徳島の阿波おどりです。在職中、徳島大学の脳神経外科 N教授にお声をかけて頂き、二年連続で参加させて頂いた楽しい思い出があるからです。子どもの頃から 根っからのお祭り好き 盆踊り好き(おまけに花火好き)の私にとって持って来いのイベントでした。

※1阿波おどりは徳島市で毎年8月12日 - 15日のお盆期間中に開催される盆踊りで、高知のよさこい祭り、愛媛の新居浜太鼓祭りと並ぶ四国三大祭りの一つとして広く知られる。江戸時代より約400年続く日本の伝統芸能の一つでもある。

阿波踊りでは踊りのグループを連(れん)と呼び、徳島市阿波おどりの参加連は1000組以上とのこと。街頭での飛び入り参加まで含めると総参加者数は10万人にもなると言われています。

その内 踊りの卓越した「有名連」が40 - 45組、企業の社員やその家族で構成された「企業連」や学生による「学生連」、その他 気の合う仲間が集まってできた連などもあります。

徳島大 脳外科の連は「舞連(Brain)」です。素敵、シャレてます。一日目は市内の観覧席で見学し、二日目に脳外科の先生方の夏季セミナー(勉強会)後、ホテルで軽く懇親会をし、その後半に地元の講師から踊りの指導をして頂きました。そのあとで全員が舞連の一員となり繰り出すのです。(因みに夕方になると公園などで各連のリハーサル風景を見ることができます。)

「踊る阿呆(あほう)に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らな損々」という節に合わせて踊るのです。私は気分が高揚し楽しくなりました。心も晴れるのです。踊りには男性たちが法被や浴衣姿で踊る男踊りと女性たちが頭に編笠を被り浴衣を着て踊る女踊りの2種類がありますが、私もピンクの浴衣を着て編笠を被り、下駄を履いて女踊りをおどりました・・。

そして翌年は、せっかくなので高知まで足を延ばし※2よさこい祭りも観てきました。こちらは見学だけでしたが、斬新で躍動感のある踊りでした。私は高知に一泊して、翌日は徳島の阿波おどりに再び参加させて頂きました。お祭りの掛け持ちです。

※2よさこい祭りは高知市の祭りで、毎年8月9日の前夜祭、8月10日と8月11日の本祭、8月12日の全国大会と後夜祭の4日間にわたって開催される。前夜祭の行われる9日には、約4,000発の花火を打ち上げる高知市納涼花火大会も開催され、4日間で延べ約100万人の人出がある。

祭りはパレード形式で開催されるが、地方車(じかたしゃ)と呼ばれるトラックにPA機器を搭載し、踊り子がその後ろに連なってよさこい踊りを舞い、各演舞場を順番に回っている。踊り子たちの衣装や化粧(概ね厚化粧)は凝っている。

なお、祭りの発展には作曲家の武政英策氏が大きく関係しているとのことで、彼は踊りに用いられる楽曲「よさこい鳴子踊り」を担当するだけでなく、鳴子(作物を狙う鳥を追い払う農機具)を手に持って鳴らすことを思いつき、現在でもよさこい踊りの重要なアイテムになっているそうです。

また、当初のよさこい踊りは「正調」と呼ばれる日本舞踊の振り付けを踏襲した盆踊りスタイルでしたが、武政氏が楽曲の自由なアレンジを許したために、その後 色々なバリエーションを生むことになり、現在ではサンバ、ロック、ヒップホップ、演歌、フラメンコ、フラダンスなど各々のチームが趣向を凝らした楽曲と振り付けを見せてくれ、伝統の「正調」と共に楽しませてくれています。

四国の夏祭りはとにかく楽しくて身も心もスッキリとします。掛け声も陽気でストレスが発散されます。参加も良し、見物だけでも十分に楽しめます。最高の夏のイベントだと思います。今でも深く心に残っています。


よさこい祭り









2023年8月15日火曜日

173) 【徒然に】抜く力

 『抜く力』(このタイトルだったと思うのですが)という本を探しています。或いは、サブタイトルに「・・ ~抜く力~」だったかも知れません。

十数年前のお正月、F県立医科大学の脳外科 K教授から薦められたのが『抜く力』(仮題)という本です。私はさっそく御茶ノ水の丸善に行き購入しました。

K先生からは時おりお電話を頂戴し、また学会などでお会いした時にも示唆に富む話をきかせて頂いておりました。いわば「人生の師」のような存在です。その先生からの年頭のおすすめだけあって、当時の私にとって為になる良書でした。

学会誌の編集で肩に力が入っていた私は感銘を受けました。ユニークな発想で引き込まれました。素晴らしい本でしたので、職場の同僚の何人かにお貸ししました。そして、退職の際に心あるどなたか(?)に差し上げてしまいました・・。

今になって無性に もう一度読みたくなりました。今年二回目の「Infinity ひとり朗読会」が迫っているからでしょうか。

出版書誌データベースや書籍横断検索システム、また念のため、福井県立図書館の ‘覚え違いタイトル集’ やあやふや書庫などでも探しましたが見つかりません。絶版書籍も検索してみたのですが・・。さらに単語を入れかえ「力を抜く」で検索すると『力を抜く 名言』が出てきて、斎藤茂太や村上春樹、またガンジーやカーネギー等の言葉にヒットしました。的はずれでした。

その内容は(上手く言えませんが)「完璧なことにも抜け穴が必要。人間も機械も常に張りつめた状態は良くない。」肩の力を抜くこと、機械には ‘あそび’ の部分も必要である。「ガス抜き」のようなものの大切さですかね。そんな趣旨の本でした。たしか水力発電機関係の所長か学者がお書きになった書籍でした。

記憶にある情報が少なく書籍が見つからないので、タイトルを補足すべく「抜く」に関連する言葉を私は探しはじめました。すると・・、

生き抜く、息を抜く、追い抜く、肩の力を抜く、勝ち抜く、考え抜く、気を抜く、群を抜く、すっぱ抜く、攻め抜く、耐え抜く、戦い抜く、出し抜く、手を抜く、度肝を抜く、走り抜く、引き抜く、守り抜く、見抜く、やり抜く など等。(精神性のある言葉のみピックアップ)

どんどん本題から逸れてしまいましたが、近くの図書館で尋ねるか、最終手段として国会図書館に行き、調べて頂こうかと考えております。何が何でも その本をもう一度手にしたくなりました。

ただ 今回の検索で、副産物として後記の教訓めいた言葉を見つけました。『力は抜いても手は抜かない!』そうですね。私も心身ともに力を抜き(リラックスして)、気は抜かずに9月の朗読会に臨もうと心をあらたにしました。



肥後細川庭園





2023年7月25日火曜日

172) 【徒然に】霊雲寺にて ~やさしい言葉~

一ヶ月半ほど前に ※霊雲寺で可愛らしい園児たちと出会いました。

※霊雲寺(れいうんじ)は文京区湯島にある真言宗霊雲寺派総本山の寺院。大本堂(正面階段を上がった二階部分)に仏壇を構え、両部(金剛界・胎蔵界)の大日如来像二躯を本尊として安置している。真言宗の僧 浄厳律師覚彦が柳沢吉保の帰依を受け、徳川綱吉より将軍家の武運長久を祈願するため、江戸城から見て鬼門にあたる北東(艮)の現寺地を得て開創した。

神社仏閣が大好きなので 私はよくお参りさせて頂いておりますが、霊雲寺は江戸名所図会にも載っているほどの格式の高いお寺です。境内はとても静かで広々としており、日中でもゆっくりのんびり散策ができます。コロナ禍の時には 私は開門の早朝7時くらいに散歩がてら参っておりました。

早朝の境内には殆んど人がいません。でも 時おり二階の大本堂でお坊さんが ‘朝のお勤め’ のお経をあげておられたり、境内をお掃除している檀家の方に出くわすことは しばしばありました。

6月上旬、私は歯科医院での治療のあと霊雲寺に参りました。久々でした。ひろい境内は木々が生い茂っていて爽やかでした。私は正面の階段を上り大本堂でお参りをすませ、その後大本堂の向かって左側にある寶撞閣に行きました。途中に百度石などもあります。このルートが私のお決まりのコースです。

その日は近隣の園児たちが境内で遊んでいました。広いし静かだし立派な大木もあります。四季折々に花を咲かせる草木もあります。豊かな自然。何より境内は車が通らないので安全です。保育士さんも一面見渡せて目が行き届きます。園児たちは思う存分 かけっこも泥遊びもできますしね。絶好の遊び場でした。

私が散策を終え帰ろうと山門に向かうと、そこで遊んでいた ちびっこ達が4~5人寄ってきました。男の子も女の子もいました。人懐っこいのです。何をして遊んでいるのかを聞くと、お参りごっこをしているとのことでした。さすが古刹は違うと私は思いました。

目を向けると、溝をお賽銭箱に見立て その中に小石を入れて拝む真似をしていました。暫し私もお付き合いして しゃがんで見ておりました。すると今度は、サービス精神旺盛な(?)ちびっこ達は溝を飛んだり跳ねたりして大はしゃぎし始めました。

私は次の予定もあるので、少し離れたところにいる保育士さんに会釈をし、ちびっこ達に「じゃあ、またね。転ばないようにね。」と言い帰ろうとすると、その中の一人の男の子が「うん。またね! 行ってらっしゃ~い。気をつけてね!」と笑顔で手を振ってくれました。

思いも寄らない言葉にびっくりしました。そして同時に とても嬉しく温かい気持ちになりました。天使のような笑顔と言葉でした。言霊ですね。元気を貰いました。親御さんの育て方も良いのでしょうね。きっと。

ホタルブクロ


信濃追分の御影用水




2023年7月15日土曜日

171) 【徒然に】忍野八海散策 ~Fさんと~

6月下旬に傾聴ボランティアの懇親会を兼ねた日帰り旅行があるときき申し込みました。仲間同士の意見交換も必要だと考え 私は初めて参加を決めたのです。しかも目的地が「忍野八海」その散策と聞いてこころ躍りました。

しかし・・、当日 指定されたバスの集合場所(講道館前)に着くと、傾聴ボランティアの仲間はFさん(女性)お一人だけでした。しかも初対面です。私は唖然としました。他は文京各地区の有志、殆どが高齢者で何人かは若い方(と言っても中高年)が交じっている程度でした。

旅行企画の運営会社の方に伺うと、今回の参加者は文京区内の各ボランティアグループや地域活動グループ、また趣味の会のメンバーということでした。あらためてその活動グループの多様さに驚きました。

今回、初対面の傾聴ボランティア仲間 Fさんと隣り合わせに座わり、いろいろとお話が出来て有意義でした。年齢は83歳ということでしたが、言葉遣いが綺麗で、頭もクリアでシャープ。素晴らしい方でした。見習うべき先輩に出会えて嬉しく思いました。Fさんは70歳を過ぎてから「子供心理カウンセラー」の資格もとったそうです。

高齢者施設ではそのスキルを活かし、「絵本の読み聞かせ」を軸にボランティア活動をされているとのことでした。私の目指す「敬聴」とはかたちが異なりますが、訪問した施設の高齢者の方々に心待ちにされ、喜んで頂くことを目的にするのは同じです。勉強になりました。

梅雨時の忍野八海はあいにくの雨でしたが、何と散策中は雨がやみ浅間神社にもしっかり詣でることが出来ました。