2023年12月15日金曜日

180) 【徒然に】吉野山(金峯山寺)と高野山(金剛峯寺)その2

今回は高校時代の友人を誘っての旅でしたが、高めの旅行代の上に 宿泊施設と料理が楽しみだった彼女にとっては、宿坊や精進料理は期待はずれだったようです。(可哀想なことをしました。)お母さまの介護問題で疲弊している彼女の気分転換になればと思い、聖地に誘ってみたのですが。

高野山の宿坊は(高野山に限らないかも知れませんが)外国人目当てのところが多く、なんと一泊198,000円というお宿もあるようです。まさに外国人ファースト。ご時世とはいえ釈然としませんでした。友人には食事に関しての修行となってしまいました。 

私はパンフレットの記載はともかく あまり料理には期待をしておりませんでした。吉野の老舗旅館(芳雲館)では国産の松茸の天婦羅も出ましたし、そこそこの料理だったと思います。

しかし高野山の宿坊(赤松院)の精進料理には正直 私もガッカリしました。本来の精進料理の意図から外れ 全ての料理が冷たく天婦羅はカピカピで冷めていました。冷凍料理をそのまま自然解凍したように思えました。

観光でいえば、吉野山ではグループごと(私たちは二人)に3時間 自由なタクシー観光が組み込まれており、普段はあまり訪れないであろう※吉野町の史跡、西行庵に行けたので私は満足しました。そこはまさに侘び寂びの世界でした。

※歌人である西行法師が出家後、三年間 侘び住まいをした場所、奥の千本。内部には西行像が置かれている。

「蔵王権現」さまへの参拝については前回記載した通りです。
高野山の宿坊(赤松院)でも朝のお勤めがありましたが、こちらは略式でした。宿の本堂で行われましたので友人も参加しましたが、ここでは僧侶のみで我々はお経を唱えませんでした。ちょっと物足りなかったです。

その後、私にとって四度目の参拝となった高野山奥之院で 初めて弘法大師空海さまへの食事「※1生身供(しょうじんぐ)」の※2儀式を拝観しました。念願が叶い たいへん満足しました。

※1生身供:今なお ここで生き続けているとされる弘法大師さまへの食事のこと。

※2奥の院御廟橋(ごびょうばし)手前の御供所にて調理された食事を嘗試(あじみ)地蔵での味見を経て、2人の僧が白木の箱に納めて御廟へと運んでいく。先頭には案内人の維那(ゆいな/僧侶の職名)が歩き、御廟橋を渡って燈籠堂の中へ食事をお供えした後、読経して再び御供所へと戻ってくる。

朝食として6時、昼食としては10時半の一日2回捧げられています。何と1200年間も続いているそうです。厳かでとても感動的な儀式でした。

吉野山の「蔵王権現さま」の夜間拝観、そして高野山の「奥之院」での生身供 拝観、こうして二つの聖地への旅はおわりました。


高野山駅



生身供の儀式




広目天像 (2015年造立
仏師 松本明慶作)

壇上伽藍 六角経蔵


多聞天像(1819年造立)
持国天像(1819年造立)

増長天像(2015年造立 仏師 松本明慶作)




大塔の鐘