そしてご挨拶を交わすと、カズさんはその日 新聞で読んだ記事の話やフロアーの方々の近況を教えてくれます。でも、時にはちょっと首を傾げるお話や思い違いも含まれております。
『今は国会中(予算委員会)でしょう。たいへんね!あなたも忙しいでしょう。』 と。
わたし? 「ポカーン。」
カズさんは私のことを安倍晋三総理の秘書だと思い込んでいるのです・・・。
母も認知症でした。
当時、自宅に来て下さっていたヘルパーさんからこんな話をききました。
或る日のこと、母はヘルパーさんに 『(今はこんな風だけど・・)私だって昔はきれいな着物をきて、いろんな所に出かけたのよ。』 と言い、お嫁入り道具に母の長兄から買ってもらった自慢の桐箪笥から、自分の着物をすべて出して、テーブルに広げて見せたそうです。
(驚きました!痩せ細った母のどこからそんな力が湧いたのでしょうか。)
『娘時代 ( 若くて元気だった頃 ) にはこれを着て、お茶会にも行ったのよ。』 と誇らしげに話したそうです。
悲しくもあり愛おしくも感じました。娘の私には一度も見せたことのない姿でした。
「認知症の方への理解と配慮。そしてその方のプライドを守ることの大切さ。自尊心を傷つけないように丁寧に接する。」 それ以来しっかり心に刻んでおります!
(実施日:2016年10月9日(日) 14:00~15:00)
蘭 |