今回の愛媛の旅でもう一つ果たしたいことがありました。それは愛媛近郊の霊場巡りです。私は学生時代から神社仏閣巡りを趣味としております。
納経帳を片手に参ったのが石手寺。石手寺は日本最古といわれる道後温泉の近くにある真言宗豊山派の寺院で、本尊は薬師如来、開基は行基です。
四国八十八箇所の第51番札所で、遍路の元祖とされる衛門三郎の再来伝説ゆかりの寺でもあります。境内はとても広くて、殆どの堂塔が国宝や国の重要文化財に指定されています。
国宝の仁王門は文保2年(1318)の建立で二層入母屋造り本瓦葺き。また本堂をはじめ、三重塔、鐘楼、五輪塔、訶梨帝母天(鬼子母神)堂、護摩堂等などが重要文化財です。その上「建長3年」(1251)の銘が刻まれた愛媛県最古の銅鐘もあります。ここは四国霊場 随一の文化財寺院なのでした。
さすが真言密教の寺 石手寺はぞくぞくするような怪しいお寺でした。映画のセットのようでもあり 度肝を抜かれました。しかしご縁があり、私は二日続けて参ることになりました。
一日目は、閉門時間(納経所 受付時間)すれすれの17時10分前に参詣しました。建造物に興味を惹かれるものの、お納経時間が迫っており駆け足になり、冬なのに汗だくでした。しかし、御本堂(ご本尊様)と大師堂(お大師様)にはお参り出来ました。
そして翌日、仲間たちから「自由行動」の了解をいただき、前日は時間が少なく 心残りだった石手寺に 私はもう一度 参拝させて頂くことにしました。文化財である建造物を一通りみて、その後は地底洞窟のマントラへと足を踏み入れました。
そこは長い暗闇のトンネルを歩きながら、真言密教で説く二つの世界、すなわち胎蔵界と金剛界を体感できるというものでした。洞窟に入ると道が二つに分かれており、直進すれば 胎蔵界ゾーンから金剛界ゾーンを経て 山の裏手の車道に出ます。
一方、枝分かれしていた右側のトンネルに入ると、こちらの方が裏山方面の道よりずっと古くからあったものらしいのですが、灯りらしい灯りのない空間は ちょっと薄気味悪かったです。
壁際に 四国八十八カ所霊場の石仏(お地蔵さん)が並ぶ長い通路を経て、弘法大師が檻の向こうで、梵字をバックにたくさんの仏像に囲まれ鎮座されている 洞窟最奥部の妖しげな空間に着きました。「弘法大師修行場」とのことでしたが、そこは全くのカオスの世界。廃墟のような乱雑なエリアでした。
そして 洞窟前で掃き掃除をしていた若い僧侶によると、もう一箇所 マニアックな古い洞穴(穴地獄の祠のことでしょうか。)があるとのことです。私は怖いもの見たさで覗いてみたくなりました。
その他、石手寺には2016年2月6日放送の「ブラタモリ」で紹介された、道後温泉の優待券である石手寺制札(重文)等も石手寺宝物館に貯蔵されているそうです。
石手寺は見どころ満載でした!その古い洞穴と今回 時間の関係で回りきれなかった「弥勒堂」や「訶梨帝母天堂」そして 宝物館を訪ねに 私はもう一度 石手寺に参りたいと切に思いました。