2020年5月25日月曜日

96) 幼稚園での朗読ボランティア

ここ千代田区立K幼稚園は、同敷地内に小学校があるため 小学生との交流が盛んで、そのまま小学校に上がる場合には 環境の変化によるストレスが少なくて良いとの評判でした

また 遊びを中心とした教育のため子供たちが伸び伸びと楽しめる環境、さらに図書館も充実しており 生徒数が少ないこと等も魅力だそうです。初めての幼稚園訪問なので いろいろ下調べをしました。

朗読の先輩たちと小学校入口で待ち合わせをし、園児等のもとへと急ぎました。最近 園舎もきれいになったそうで、園庭やプールもあり素晴らしい環境でした。2階にあがると、可愛らしい園児たちが 今や遅しと私たちを待ちかねていました。とっても可愛いです!

先輩のところには顔なじみの園児たち3人が寄ってきました。とても人懐っこいです。私はよく動き回る そのおチビちゃん達から目が離せなくなりました。
その後 幼稚園の先生に案内して頂いた 朗読(読み聞かせ)の部屋は、清潔でさっぱりとした教室でした。すでに総勢25名くらいの園児たちが、きちんとカーペットや小さなイスに座って待っていました。

打ち合わせ通り、最初は我々3人が園児らの前に立ち『はじまるよ はじまるよ』という定番(らしい)の歌をうたいましたが・・、私はまったくダメでした!それこそ ‘初めて’ きく歌で、しかも「手遊び うた」だったのです。

うたは先輩を横目で見て何とか真似をしましたが「手遊び」は論外です。出来るはずがありません。二つの新しいことを同時に出来るほど 私は器用ではありません。完全にアウエー状態でした。

訪問前に「読み聞かせ 幼稚園訪問の手引!」的なものをネット検索すべきでした。後悔しても 時すでに遅しです。次回の訪問までには、この手遊びを「何が何でも習得しなければ!」と固い決意をいたしました。

冷や汗もので そんなことを考えていると、ふと強い視線を感じました。その視線の先を見やると、なんと 前列の可愛いらしい3才位の男の子が、じっと私を清い目で見つめているではありませんか。その子と目があいました! 

男の子は私から目線を外しません。困りました。私は心の中で「おねがい! 私ではなく、隣の先輩の手遊びを真似て!」と願いましたが・・、だめでした。ずっと私を見たままです。こころの中でため息が漏れました。(もしかして あやふやな振りの私を責めて・・ますか?)

その後は、先輩のIさんが『ふしぎなおるすばん』という絵本をよみ、次に私が絵本の『おなら』(長新太作)を読もうと・・、題名を言うと、今度はおしゃまな おさげ髪の女の子が、「えっ!おなら? ふけつ!」と言い出しました。(オナラの ‘しくみ’ の話なんだけどなぁ。)

またもや難関! 私はまるで園児たちに洗礼を受けているようでした。でも・・この絵本は読み聞かせをしているうちに、園児らも興味を持って聴いてくれました。途中で質問までされました。セーフです。(ふうっ!)

そしてO先輩が絵本『ほしをさがしに』をよみ、続けて先程のI先輩が紙芝居『やさしいまものバッパー』をよみました。素晴らしいです。紙芝居の絵はご自分で描かれたそうです。そして最後に、皆で『とけいのうた』(こちらは童謡ダンスだそうですが)を手遊びを交えてうたい 読み聞かせ終了となりました!

なお、今回の園児は「預かり保育」の子供たちで 週に3日程度 幼稚園に来ているそうです。ここは私が普段 伺っている高齢者施設にはない、萌えたつエネルギーを感じました。私も ‘不思議の国のアリス’ になったような気分で 気持ちもウキウキ、とても楽しいひと時でした。

     ( 2020218() 14:0015:00






2020年5月15日金曜日

95) 傾聴フォローアップ研修 その3 二人の心理学者「アドラー」編

次にアドラーです。
※2アドラーは フロイト、ユングと並び「心理学の三大巨頭」の一人であり、アドラー独自の「個人心理学」は 日本ではその創始者の名をとり「アドラー心理学」と呼ばれている。日本でも2014年の「嫌われる勇気」(岸見一郎・古賀史健の共著による“アドラー心理学”の解説書)をきっかけに広く知られるようになった。「自己啓発の父」とも呼ばれ社会現象になり 今も注目を集めている。

その学説には介護にも役立つ部分があるとのことで私も 早速 読んでみました。
アドラー心理学の基本的な考え方(理論)の概略は以下のとおりです。
*アドラー心理学は広汎にわたりますので、ここでは入門編をご紹介致します。

①人間の行動には目的がある(目的論):
人は過去の経験に囚われ 自分が傷つかないように解釈して自分を納得させている。アドラー心理学はこの過去の原因となった出来事を問題から切り離し、意識を未来志向(目的)に変えることで前向きな行動が出来るという理論。
②人間を分割できない全体の立場から捉えなければならない(全体論):
全体論とは「意識と無意識」「感情と理性」「心と体」は分離出来ないものという考え方。
③人間は自分流の主観的な意味づけを通して物事を把握する(認知論):
認知論とは同じ出来事を経験しても感じ方は人それぞれ違うという考え方。独自の解釈で多様性がある。つまり考え方次第で結果を変えられるという事。「事実」と独自に感じた「認知(感情)」を区別するのが大切。
人間は自分の行動を自分で決められる(自己決定性):
アドラー心理学の自己決定性とは自分の人生は自分で決められるという考え方。「出来事をどのように捉え、解釈し 受け止め 行動するかは 自分次第。」自己啓発によって自分を高めるとする教え。
人間のあらゆる行動は対人関係である(対人関係論):
人の行動・感情はいつも特定の誰かに向けられ影響しあっているという考え方。全ての悩みは対人関係の悩みであるとする。孤独や寂しさを感じたり、他者と比較して劣等感を持ったり コンプレックスに悩んだり。また自分を大きく見せたり卑屈になったり等など。何か行動を起こした時に「周り(相手)にどう思われるか」等と余計な考え方が邪魔をして正しい判断が出来なくなる。この余計な考えを取り払うことが大切。

上記のうち高齢者の介護や傾聴において最も心に留めておきたい項目は⑤です。研修では「勇気が高まる基本の言葉」として「ありがとう(感謝)」「嬉しい(感情)」「助かる(貢献感)」の3つの言葉が挙げられていました。これらは高齢者が「あなたは大切な人!」と感じる言葉だそうです。

人間は他人から「ありがとう」という感謝の言葉をもらうと「自分は役に立った」「貢献できた」と感じ、自らの価値を実感でき勇気が持てるのだそうです。

そう言えば、ゆしまの郷のキクさん(101才 女性)は〝おしぼりたたみ〟(このブログ の77)参照。)が得意ですが、お褒めすると とても嬉しそうなお顔をなさいます。「人の役に立っている」という貢献感なのでしょうかね。

アドラーの説によると、人に必要とされるのは他者への貢献であり、喜びと幸福感をもたらすそうです。また貢献できなくても価値が無いということではなく、人は生きているだけで価値があり 他者への貢献になるそうです。従って目に見える貢献でなくても「*貢献感」を持てれば良いのだそうです。


*貢献感とは「自分は誰かの役に立っている」という自分の感覚であり、貢献感を持てれば自分に価値があると思える。そして自分に価値があると思えれば対人関係の中に入っていく勇気が持てる。それが幸せにつながると言うのですが。
(この部分は今一つ私には分かり難いところでした。)


因みに、アドラーは欧米での評価に比べ 日本では知名度が低かったようですが、近年になり 伊坂幸太郎氏が小説『PK』で また石田衣良氏が小説『美丘』でアドラーの教えに言及するなどで 多方面からの支持を集めているようです。

そしてアドラー心理学を解説した『嫌われる勇気』(岸見 一郎/古賀 史 著, ダイヤモンド社)はベストセラーとなり ドラマにもなったそうです。

       (2020年 2月11日(火) 13:30~16:30)

ナズナ

photo: (c) Hiro K
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