ここは都内でも屈指の超豪華なK介護付き有料老人ホームです。
この施設にはファミリー向けのゲストルームが用意されており、希望すれば
(もちろん有料のオプションだそうですが)ご家族と一緒にお正月を迎えることができるそうです。もちろんお正月の特別料理にて。凄いですね。
さて、今回の敬聴も‘ご自身のお部屋は3階にある’と言う お喋りなサトさん(82才 女性)の独断場でした。一通りご自分の苦労話を終えると、今度は4階の方々のお名前のほか 年齢や出身地、また家族構成やバックボーンまで教えて(?)下さいました。(個人情報の極みでした。)
そして側にいらした カツコさん(85才 女性)に「あなたはいくつ(何歳)だったっけ?」等とラフに訊き始めました。すると・・、普段おとなしくて物静かなカツコさんは、サトさんを窘(たしな)め始めました。「自分の年を言わずに、他人に年を尋ねるのはルール違反よ。」と。
そして・・、私に向かって頭(かぶり)を振りながら「いろんな人がいるのね。」と小声で仰いました。
(大きな会社の会長夫人である)カツコさんは「(生きていて)辛いことが全く無かった人など いないわけで、それをわざわざ人様に言うのはいただけない!」と毅然として仰いました。
一方、お隣に座っていらした‘元本郷小町’のトキさん(83才 女性)は、私を見てにこにこと微笑んで下さいました。
見渡してみると、先日お話を伺ったサチさん(84才 女性)のお姿がみえません。すると・・、察したかのように サトさんが「サチさんは いま 入院中よ。」と教えてくれました。何でもご存知です、サトさんは。それにしても、サチさんが心配です。
また、J大学病院に通院するため入居されたという コウタロウさん(78才 男性)のお顔も見えません。介護士さんにお尋ねすると、コウタロウさんは 最近ご病気になり、都内の病院ではご家族の看病が難しいので、施設を退去し地元の病院に移られたとのことでした・・・。
少しづつ・・ですが、入居者さんが変わっていくのには寂しいものがあります。感傷にふけっていると、3階のご自分のお部屋に戻る カツコさんから握手を求められました。
K有料老人ホームでの敬聴を終えて帰宅すると、ゆしまの郷のカズさん(106才 女性)の姪御さん Tさんからお電話を頂きました。ビックリしました。ちょうど、カズさんを思い出していたからです。
Tさんは12月2日に開催され私が初出演した「第12回 朗読アラカルト」にも、お足元の悪いなか お越し下さいました。その時のご感想やいろいろなお話をされた後、
「伯母がいつも元気なのはあなたのせいね! ありがとう。」「あなたが(伯母の)話を聴いて下さるから、長生きしているのね。感謝しています。」とのお言葉を下さいました。
「いいえ、私の方こそ カズさんに出会えて有難かったです。感謝しています。」とお応えしました。カズさんとの邂逅は 私にとり とても意味のある“出来事”でした!
( 2019年12月11日(水) 16:00~17:00 )
帝釈天騎象像 東寺 |