2019年11月25日月曜日

84)『マカン マカン スダ?』

ゆしまの郷のいつもの6階フロアに着くと、既にカズさん(106才 女性)は右手奥のテーブル席近くに陣取っておられました。そして隣のテーブル席にはキクさん(101才 女性)と、リツコさん(83才 女性)も座っておられました。大きな声でご挨拶すると、皆さまにこやかに応じて下さいました。

さっそくカズさんのお傍に行くと、「あなたも大変ね。総理の秘書ってお忙しいでしょ。」と開口一番、私に仰いました。

まだ  私を安倍総理の秘書だと思い込んでおられるのです。更にカズさんは「総理はあんなに激務なのに、いつもきちんとネクタイを締め、ピシッとしたスーツ姿で決めていて偉いわ! あなたのおかげね!」とも仰いました。(私・・?)困りました。何度 訂正しても、カズさんはこの件だけは分って下さらないのです。

そこへ インドネシア人の介護士 エドさんが我々の前を横切りました。するとカズさんはエドさんを呼び止めて私を紹介し始めました。エドさんは苦笑しながら「前に紹介してもらったよ。」と片言で答えました。

その後、カズさんはもう一人のインドネシア人介護士 リオさんを見つけると「※マカン マカン スダ?」と声をかけました。リオさんは笑いながら「スダ」と答えました。
私はびっくりしました! カズさんはインドネシア語まで話せるのです。なんと・・、カズさんはトリリンガルだったのです!

リオさんに尋ねると「マカンマカンスダ?」とはインドネシア語で『食事は済んだの?』と言う意味だそうです。英語のみならずインドネシア語まで話せる「106才のカズさんは凄い!」と思いました。

※「マカンmakan」とは食事のこと。そして「マカンマカン」とはインドネシア語で「食べて食べて」という意味だそうです。また 「スダ(sudah)」とは「もう~した。もう~である。」という(完了)を表す助動詞です。

リオさん曰く、マレーシア(マレー語)とインドネシア語はとてもよく似ているそうです。ゆえに、従軍看護婦時代にマレーシアに行ったことのあるカズさんは インドネシア語(マレー語)が話せるのだろと教えてくれました。

それにしても80年近く前の言葉を覚えていて 話せるなんて凄すぎます。

話題は今日の昼食に移りました。カズさんは「最近、お粥食になっちゃったのよね。」と今度はいつになく神妙に仰いました。
私が「食べやすいし消化が良いからではないですか。」と言うと
カズさんは「でも、お粥のカレーライスよ。」と不満そうに訴えました。

「食べたい物を食べて、言いたい事を言って生きたいの! ワタクシは。」と付け加えました。そうです! そう来なくっちゃ いつものカズさんではありません。「・・・を食べて、言いたい事を言って死にたい。」ではなくて 『・・・生きたい!』が前向き(?)なカズさんらしいと思いました。
106才からの提言でした! 

          ( 2019年10月 8日(火) 14:00~15:00 )

安田講堂

安田講堂

東大 三四郎池