2019年7月25日木曜日

76)湯島天神祭 その2

6階に到着すると、M子さんは隅のテーブル席にお一人で座っていらした ハツさん(84才 女性)に目を留めて、直ぐにその方の所に行かれました。そして・・、マイペースながらも、イキイキと傾聴をお始めになりました。

言葉遣いがとても綺麗で好感が
持てました。ハツさんへ にこやかに「こんにちは。わたくしね、今日、貴方様のお話を伺いに来たんですの。湯島天神祭りはお懐かしいでございましょう。昔の立派なお神輿はご覧になられましたか?」等とお尋ねになりました。

が、ハツさんは「家が肉屋だったからね、お祭りなんて見ていられなかったよ。ずーっとコロッケを揚げていたんだからね。100個以上もだよ!」とお答えになりました。

「だからね、お神輿なんて(リアルタイムで)見たことなんかないんだよ。」と私の顔を見て仰いました。

それからも お二人で(主にM子さんが話し手でした。)会話をしてい
ましたが、少々齟齬があるようでした。ハツさんは困って、その度に救いを求めるように私の顔をご覧になります。

本来、傾聴での会話の主役は(傾聴)相手のハツさんです。我々はあくまでも聴き手であり、受け身でなくてはなりません。でも、傾聴の初心者であるM子さんは仕方がありません。時々、私の方でフォローさせて頂きました。

その後、自営のご商売ゆえ お姑さんでご苦労されたと言うハツさんに対し、お姑さんとは別居で 全くご苦労された経験がないと仰るM子さんとの会話には無理があり、噛み合いませんでした。でも 20分程 傾聴(お話)されたM子さんは、それでも満足そうに一階のホールに戻られました。

一方(残された)ハツさんは 若干ほっとしたご様子で「あなたも大変ね。一階に戻ってもいいよ。ご苦労さま!」と労ってくださいました。帰り際には、私が握手のために手を差し出すと「あなたの手は柔らかいのね!」等と仰いました。

敬聴を終え 喫茶ルームに向かおうとした時、‘いつも’のカズさん(106才 女性)が一階ホールからお戻りになられました。ご挨拶して帰ろうとすると、今度は獅子舞の登場です!一階のホールまで行けない入所者のために、各階でも舞をご披露するようです。

獅子舞をご覧になっていたカズさんから、大きな声で 「○○さん(私のこと)、こっちへいらっしゃい! あなたも頭を噛んでもらいなさいよ!」 とのお呼びがかかり、もう一度カズさんの傍に行き、私も一緒に※頭を噛んで頂きました。(‘施設の人’ではないのに申し訳なかったです。でも有難うございました。) 私もおかげさまで福を頂きました!

※獅子舞が頭を噛む:その人にとりついた邪気を食べてくれ、悪魔祓いや疫病退治の意味あいから、悪いことから守り 厄除け効果やご利益があると考えられている。ゆえに無病息災で過ごせるという言い伝えもある。また「獅子が噛みつく=神が付く」との縁起かつぎの意味もあるようだ。

頭を噛んでもらったカズさんは 「今年は踊りのお家元(女性)が獅子だから、色っぽいわね!」 などと粋なことを仰っておりました。

私は全ての敬聴を終え、前回のように「喫茶ルーム」に伺い、家族会の打ち合わせに同席させて頂きました。「ゆしまの郷」の家族会はなんと今年で15年目だそうです。歴史があるのですね。私はFさんと家族会に大いに興味を惹かれました。

         ( 2019年5月25日(土) 14:00~18:00 )



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