今日もカズさん(103才 女性)がお出迎えをしてくれました。
お元気そうで、私を見て破顔一笑しました。
私はフロアーに集まっている皆さんに一通りご挨拶し、カズさんのお部屋へ三度目の訪問をいたしました。銀杯との再会も三度目です!
今回はカズさんのお許しを得て、甘酒を入れ青濁色に変色した「100歳の長寿祝い」の「銀杯」を写真(下記)に収めさせて頂きました。(このブログの 7) と 8) に掲載)
そして皆さんがいらっしゃるフロアーに戻ると、キクさん(98才 女性)がしきりに『わたし、近頃、頭が変なの。』と仰っておりました。
『なにがなんだか、わからないの・・・。』と。
「頭が変」に関連し、また新たなキクさん語録が生まれました!
キクさん曰く『(人に)‘バカ!’ 等と言われたら、(あなたは)‘ 頭がよくて良いですね。’ と言ましょう。それで相手が喜ぶのなら、それで良いじゃないの。』と。
『人に嫌な事を言われても、良いほうに(解釈し)善意にとればうまくいくわよ。』とも仰いました。
そして ひとしきり話を終えると、キクさんは先程の 「何が何だかわからないのよ」に節をつけて歌いだしました。驚きました! 歌になっていたのです。
つられてトシコさん(92才 女性)も、ニコニコしながら一緒に歌いだしました。相変わらず歌が大好きですね、お年寄り達は。
この日も他に『東京行進曲』や『籠の鳥』(大正時代のデュエット曲)等を熱唱されました。
因みに、先程のキクさんの口癖 「何が何だか わからないのよ」 は 『*愛して頂戴ね』と言うれっきとした歌でした。 (そんな歌が本当にあったのです!)
と言うのは、その日の夕方 この話を「蓄音機の会」のメンバーにした際、『何が何だか わからないのよ~・・・、愛して頂戴ね!』を基に、T氏がネット検索をしてわかりました。
*作詞:西條八十
作曲:中山晋平
【歌詞】
ひと目見たとき 好きになったのよ
何が何だか わからないのよ
日暮れになると 涙が出るのよ
知らず知らずに 泣けてくるのよ
ねえ ねえ 愛して頂戴ね
ねえ ねえ 愛して頂戴ね
キクさんはどうもこの ‘恋の歌’ をご自分の最近の状態「何が何だかわからない」 (もの忘れ、少々の痴呆)と混乱しているようでした。
複雑な心境です、実に!
その後もお年寄りたちは、次々に『ふるさと』や『四季の歌』などを披露し始めました。
ついに私も一緒に交ざって、合唱に参加してしまいました!
私の敬聴も終了時間となりましたが、皆さん 興奮冷めやらぬといった雰囲気でしたので、私が『宴もたけなわではございますが、今日はこれにて失礼させて頂きます。』とおどけてご挨拶すると、皆さま大笑いし大爆笑の渦に包まれました!
( 実施日:2017年7月22日(土) 14:00~15:00 )
2017年11月25日土曜日
2017年11月15日水曜日
35) 『100年もの』
カズさん(103才女性)は私の6Fフロアー到着を ‘ 満面の笑み ’ で迎えてくれました。
そして私の手を取り、(この日は月一回の回診日だったようで)施設の代表理事長でもあるドクターY先生と看護師さんに ‘ 再度 ’ 私を紹介して下さいました。
先生達は苦笑いし困惑しておりましたが、カズさんはとても満足そうでした。
その後 カズさんは6Fフロアーの近況を話して下さり、新しく入所されたお二方のお名前も教えてくれました。
あまりにも正確に新しい入所者の名前を覚えていらっしゃるのには、ビックリでした。
私が思わず 『すごいですね! 何でもよく覚えていらして。』 と褒めると、カズさんは自慢げに 『だって、わたしは100年ものよ!』 と仰いました。
お見事! 何ともユーモアのある103才です!
一方、ヨウジさん(91才男性)の所には一人息子さんがお出でになっておりました。
私がお会いするのは初めてでした。それから色々なお話を伺いました・・・。
娘さん(ヨウジさんにとってはお孫さん)はB医大出身のドクターだそうです。
そして、そのご主人も同大出身で現在はリトアニアに派遣されているそうです。
非常に危ない所ですよね。
ヨウジさんは私が施設に訪問するようになって以来、一番嬉しそうにみえました。
でも・・ひたすら『(千葉県佐倉市の)第64連隊は(*佐倉と言えば歩兵第57連隊の筈ですが)たいへんだった(辛かった)大変だった。』と繰り返しておられました。
『若くなくちゃ出来ないよ、あんなこと。若かったからできたんだ!』 とも。
私には何のことかはっきりとは分りませんでしたが、嫌な思いをたくさんされたのでしょう・・。
それにしても、青春の絶頂期に ‘ 軍隊 ’ に余儀なく入隊させられ、思い出したくないほど辛く、『たいへんだった!』を連呼するヨウジさんのお孫さんが、B医大を出てアメリカに留学中で、またそのお婿さん(義理のお孫さん)がリトアニアに派遣されているとは・・・。
なんとも皮肉な話です。何の因果でしょうか。私はとても複雑な気持ちになりました。
そんな時、介護士さんに車イスを押され、トモコさん(普段は殆ど声を出さず、目を瞑っている92才の女性)がフロアーにいらっしゃいました。
(身体が不自由な辛さからか)泣きべそをかいておられましたが、私が声をかけると微笑んでくれました。嬉です・・。
敬聴の終了後には、フロアーにいらした皆さまから『 ご苦労さま! 』と労われました。
そして、その中でひときわ大きな声で『 ご苦労さん! 』と労って下さったのは、あの ‘ ヨウジさん ’ でした。
(実施日:2017年4月23日(日)14:00~15:00)
そして私の手を取り、(この日は月一回の回診日だったようで)施設の代表理事長でもあるドクターY先生と看護師さんに ‘ 再度 ’ 私を紹介して下さいました。
先生達は苦笑いし困惑しておりましたが、カズさんはとても満足そうでした。
その後 カズさんは6Fフロアーの近況を話して下さり、新しく入所されたお二方のお名前も教えてくれました。
あまりにも正確に新しい入所者の名前を覚えていらっしゃるのには、ビックリでした。
私が思わず 『すごいですね! 何でもよく覚えていらして。』 と褒めると、カズさんは自慢げに 『だって、わたしは100年ものよ!』 と仰いました。
お見事! 何ともユーモアのある103才です!
一方、ヨウジさん(91才男性)の所には一人息子さんがお出でになっておりました。
私がお会いするのは初めてでした。それから色々なお話を伺いました・・・。
娘さん(ヨウジさんにとってはお孫さん)はB医大出身のドクターだそうです。
そして、そのご主人も同大出身で現在はリトアニアに派遣されているそうです。
非常に危ない所ですよね。
ヨウジさんは私が施設に訪問するようになって以来、一番嬉しそうにみえました。
でも・・ひたすら『(千葉県佐倉市の)第64連隊は(*佐倉と言えば歩兵第57連隊の筈ですが)たいへんだった(辛かった)大変だった。』と繰り返しておられました。
『若くなくちゃ出来ないよ、あんなこと。若かったからできたんだ!』 とも。
私には何のことかはっきりとは分りませんでしたが、嫌な思いをたくさんされたのでしょう・・。
それにしても、青春の絶頂期に ‘ 軍隊 ’ に余儀なく入隊させられ、思い出したくないほど辛く、『たいへんだった!』を連呼するヨウジさんのお孫さんが、B医大を出てアメリカに留学中で、またそのお婿さん(義理のお孫さん)がリトアニアに派遣されているとは・・・。
なんとも皮肉な話です。何の因果でしょうか。私はとても複雑な気持ちになりました。
そんな時、介護士さんに車イスを押され、トモコさん(普段は殆ど声を出さず、目を瞑っている92才の女性)がフロアーにいらっしゃいました。
(身体が不自由な辛さからか)泣きべそをかいておられましたが、私が声をかけると微笑んでくれました。嬉です・・。
敬聴の終了後には、フロアーにいらした皆さまから『 ご苦労さま! 』と労われました。
そして、その中でひときわ大きな声で『 ご苦労さん! 』と労って下さったのは、あの ‘ ヨウジさん ’ でした。
(実施日:2017年4月23日(日)14:00~15:00)
ナスカの地上絵 はちどり |
2017年11月5日日曜日
34)【番外編】 傾聴講習会 2017年3月21日(火)
「色カルタ(※クオリア・ゲーム)体験」 ~相手の話を色でイメージしてみよう~ に参加してきました。
一般的に認知症の方は、症状の進行と共におしゃれ心がなくなり、外出せずに薄暗い部屋でぼんやりとする時間が次第に増え、服装を気にすることなく過ごすようになりがちとのこと。
そして全体的に暮らしの中で‘色’に対する興味も薄くなるようである。更に高齢者施設等では環境の変化が乏しく、自分で服などの「色」を選ぶことが無くなっているようである。
しかし眼から入る刺激が低下すると、脳の活性も落ち、認知機能にも悪影響が及んでしまうとの事。「色」を意識することは、気持ちにも彩りが出てくるようである。
今回の講習は「色」を見て選ぶことにより、視覚を刺激しイメージを膨らませ 「思い出」やその時の 「気持ち」 を蘇らせて 「話をする」 きっかけ作りをすると言う内容であった。
※クオリア(qualia)とは、個人の感覚的、主観的な経験に基づく独特の質感のこと。
例えば 「‘青空’のような清々しい感じ」 とか 「‘フルートの音色’のような高く澄んだ感じ」 等など。
然しながら自分がリンゴを見た時に感じる 「赤」 (その人の感じる‘赤’がクオリア)の感覚は、他の人が感じる 「赤み」 とは限らない。あくまでも個人の主観と感覚なのである。
実践方法:
①色カルタをテーブルに並べる。
参加者のお年寄りたちに、色カルタ(色の種類は少なくとも100色以上が望ましい)を広げる。 (お年寄りたちに色カルタを広げるのを手伝って貰ってもよい。)
②リーダーが読み札 ( 読み札には 『初恋を色に例えると?』 等とテーマが記載 ) を読む。あるいは単純に 『赤いカルタを取って下さい!』 とか 『黒を取ってください!』 等と言っても良い。
③参加者はその言葉から連想した色を取る。 ( 「赤色」 でも様々な 「赤色」 を用意しておく。 )
④何故その色を選んだか、色のイメージについて会話をする。
※②~④を繰り返して参加者との会話を続けていく。
大切なのは参加者との会話を楽しむことで、相手の話をよく聴き、よく話をさせてあげる事。そして参加者の様子に気を配り、話は一人ひとり丁寧に聴くこと。
またその際、必ず一人ひとりの名前を呼んでから話しかけるようにする。
このゲームは早さを競う必要がないので、ゆっくり考えてのびのび話して頂く事。
具体的には、ゲームの参加者にテーマ毎に100色位ある色カルタ(カード)から一枚選んで頂き、その方の「状況」や「気持ち」を想像しながら選んだ理由を聴いていくのである。
この講習を通して勉強になった事は、私が今まで 「 ‘色’ は共有できるもの」 と思っていたことが、色の見え方や感じ方には個人差があり、また 「色」 にまつわる様々な経験によっても大きく異なる事を知ったことです。
例えば 『青春時代』 というテーマでも、楽しい思い出がある人は 「明るくキレイな色」 を選び、イジメや嫌な思い出ばかりだと 「暗く濁った色」 を選ぶ傾向があるという事でした。
つまり、その時の状況により 「色」 に対する認識やイメージは千差万別で、かなり異なってくるという事です。
たしかに 『青春時代』 を 「黒」 と例えた方もお出ででしたが、その理由を尋ねると 『学ランの 「黒」 です。』 というお答えでした。
「黒」 は暗くて悪いイメージというのは、余りにもステレオタイプ過ぎますね。 (反省です!)
主な効果:
①忘れていた記憶を取り戻すことがある。
②認知症の方の表情がイキイキとしてくる。
③認知症の方の状態も安定してくる。
④参加者の 「人生ものがたり」 を知ることにより、介護者のケアの質も変わってくる。
以上でした。
一般的に認知症の方は、症状の進行と共におしゃれ心がなくなり、外出せずに薄暗い部屋でぼんやりとする時間が次第に増え、服装を気にすることなく過ごすようになりがちとのこと。
そして全体的に暮らしの中で‘色’に対する興味も薄くなるようである。更に高齢者施設等では環境の変化が乏しく、自分で服などの「色」を選ぶことが無くなっているようである。
しかし眼から入る刺激が低下すると、脳の活性も落ち、認知機能にも悪影響が及んでしまうとの事。「色」を意識することは、気持ちにも彩りが出てくるようである。
今回の講習は「色」を見て選ぶことにより、視覚を刺激しイメージを膨らませ 「思い出」やその時の 「気持ち」 を蘇らせて 「話をする」 きっかけ作りをすると言う内容であった。
※クオリア(qualia)とは、個人の感覚的、主観的な経験に基づく独特の質感のこと。
例えば 「‘青空’のような清々しい感じ」 とか 「‘フルートの音色’のような高く澄んだ感じ」 等など。
然しながら自分がリンゴを見た時に感じる 「赤」 (その人の感じる‘赤’がクオリア)の感覚は、他の人が感じる 「赤み」 とは限らない。あくまでも個人の主観と感覚なのである。
実践方法:
①色カルタをテーブルに並べる。
参加者のお年寄りたちに、色カルタ(色の種類は少なくとも100色以上が望ましい)を広げる。 (お年寄りたちに色カルタを広げるのを手伝って貰ってもよい。)
②リーダーが読み札 ( 読み札には 『初恋を色に例えると?』 等とテーマが記載 ) を読む。あるいは単純に 『赤いカルタを取って下さい!』 とか 『黒を取ってください!』 等と言っても良い。
③参加者はその言葉から連想した色を取る。 ( 「赤色」 でも様々な 「赤色」 を用意しておく。 )
④何故その色を選んだか、色のイメージについて会話をする。
※②~④を繰り返して参加者との会話を続けていく。
大切なのは参加者との会話を楽しむことで、相手の話をよく聴き、よく話をさせてあげる事。そして参加者の様子に気を配り、話は一人ひとり丁寧に聴くこと。
またその際、必ず一人ひとりの名前を呼んでから話しかけるようにする。
このゲームは早さを競う必要がないので、ゆっくり考えてのびのび話して頂く事。
具体的には、ゲームの参加者にテーマ毎に100色位ある色カルタ(カード)から一枚選んで頂き、その方の「状況」や「気持ち」を想像しながら選んだ理由を聴いていくのである。
この講習を通して勉強になった事は、私が今まで 「 ‘色’ は共有できるもの」 と思っていたことが、色の見え方や感じ方には個人差があり、また 「色」 にまつわる様々な経験によっても大きく異なる事を知ったことです。
例えば 『青春時代』 というテーマでも、楽しい思い出がある人は 「明るくキレイな色」 を選び、イジメや嫌な思い出ばかりだと 「暗く濁った色」 を選ぶ傾向があるという事でした。
つまり、その時の状況により 「色」 に対する認識やイメージは千差万別で、かなり異なってくるという事です。
たしかに 『青春時代』 を 「黒」 と例えた方もお出ででしたが、その理由を尋ねると 『学ランの 「黒」 です。』 というお答えでした。
「黒」 は暗くて悪いイメージというのは、余りにもステレオタイプ過ぎますね。 (反省です!)
主な効果:
①忘れていた記憶を取り戻すことがある。
②認知症の方の表情がイキイキとしてくる。
③認知症の方の状態も安定してくる。
④参加者の 「人生ものがたり」 を知ることにより、介護者のケアの質も変わってくる。
以上でした。
京都造形芸術大 はな緒付きスニーカ― |
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