2022年4月15日金曜日

141) 【徒然に】文京区の老舗和菓子店 その2 江戸あられ 竹仙

次なる文京区の老舗は 江戸あられの竹仙です。

江戸 ‘あられ’ の竹仙も和菓子店です。私は和菓子とは「練り切り」や「羊羹」など 和風の甘いお菓子のことだと勝手に思い込んでおりました。

しかし 文京区の『文の京 お茶のいまむかし』という企画展で 区内の老舗和菓子店を調べている際に、その間違いに気づきました。ちなみに「ところてん」や「お赤飯」なども和菓子の中に入ります。

竹仙は春日通りを挟んで本富士警察署の斜め前にあり、レトロなガラスのショーケースが特徴です。店内ではそれが木枠扉付きの(ガラス)ケースなっています。ケース毎に様々な江戸あられが入っています。またケース棚の上には、今では珍しいガラス製の角猫瓶や丸猫瓶、地球瓶などがありました。

商品は全て量り売りで、其々のショーケースの中には、ビニール袋に小分けされたあられが入っています。これが概ね100gです。100g単位で買う人が多いのでしょう。私もその一人ですが、何種類かのあられを100gづつ買い 味わいたいのです。

注文すると、御年(おんとし)96才のお父さん(店主)がショーケースからあられを取り出し、秤に載せて重さを確認し、あられの入ったビニール袋を小さな輪ゴムで器用にとめてくれます。いつも私は見とれてしまいます。

その後、丁寧なキャラメル包みをしてくれます。とても手際が良くお見事です。紙が重なる部分は端を合わせて折り返し輪ゴムで留めるのです。職人さんの技術とプライド、そして心意気を感じる素晴らしい包装なのです。

その種類は「満月」や「小菊」、「雁金」「玉屋」(小さな円盤形なので 打ち上げ花火のイメージか)等など、粋な名前のあられに目に留まります。またお父さん(ご主人)のお勧めの白醬油を使った「笹舟」や変わり種の「山椒のあられ」(さわやかな辛味がクセになる)にも心惹かれます。

さらに、海苔巻きあられも数種類あり固さや海苔が異なります。たとえば「元禄」や「東男」、「のり羽衣」や私の大好きな「江戸錦」等など。焼き海苔と焼いてない海苔のあられもあります。これだけ種類があると選ぶだけでワクワクします。

また、本郷には東京大学医学部附属病院や順天堂大学医学部附属病院等など、大きな病院がたくさんあるので、塩分制限のある方ように「塩を使っていないあられ」を置いているそうです。自分で味つけをしたり、お茶漬けに入れても良いと仰っていました。

竹仙のあられは、保存料や化学調味料などを使っていないシンプルな製法で、もち米のため腹持ちがよくて とても美味しいのです。お父さん曰く「もち米(新潟の指定農家だそうです)が原料なので、煎餅(うるち米)じゃなくて、うち(竹仙)のは ‘あられ’ だよ。」と仰っていました。

あられで ‘江戸の伝統と粋’ を今に伝えているのです。「お父さん」「お母さん」と呼ばせて頂き、親しくさせて頂いている ご夫妻には もっともっと長生きをして、お店を続けて頂きたいです。そう私は心から願っています。


ベニヒワ
photo: (c) Hiro K
http://ganref.jp/m/md319759/portfolios


左:のり羽衣 右:かぶき好み