2019年4月15日月曜日

69) 【番外編】 傾聴講習会 2019年2月26日(火)

2017年3月に講習をうけた「色カルタ ※クオリア・ゲーム」~色を通して人生の物語を聴く、色によりイメージした話を聴く~に再度 参加してきました。

※クオリア(qualia)とは、個人の感覚的、主観的な経験に基づく独特の質感のこ と。
例えば「‘青空’のような清々しい感じ」とか「‘フルートの音色’のような高く澄んだ感じ」等など。しかし リンゴを見た時に感じる「赤」(その人の感じる‘赤’がクオリア) の感覚は、人により感じる「赤み」が異なる。あくまでも個人の主観と感覚である。

今回はその実践編でした。(下記は先術ブログ ‘34)’ のまとめと復習です。)

一般的に認知症の方は症状の進行と共におしゃれ心がなくなり、服装にも気を使わなくなる。そして暮らしの中で ‘色’ に対する興味も薄れるようである。特に高齢者施設などでは環境の変化が乏しく、自分で着る服の「色」も選ぶことが無くなっている。

しかし眼から入る刺激が低下すれば脳の活性も落ち、認知機能にも悪影響が及んでしまう。つまり「色」を意識すると気持ちにも彩りが出てくるのである。

「色カルタ クオリア・ゲーム」とは「色」を見て選ぶことにより、視覚を刺激し、イメージを膨らませて「思い出」やその時の「気持ち」を蘇らせ、「話をする」きっかけ作りをすると言うゲームである。つまり傾聴活動のツールの一つとなるのです。

今回の実践編では傾聴ボランティアのメンバーがグループになり、実体験するという趣旨でした。

【一般的な実践方法】
①色カルタをテーブルに並べる。
参加者のお年寄りたちの前に、色カルタ(100色以上が望ましい)を広げる。 (お年寄りたちに色カルタを広げるのを手伝って貰ってもよい。) 

②リーダーが読み札(読み札には「初恋を色に例えると?」等とテーマが記載されている)を読む。あるいは単純に「赤いカルタを取って下さい!」とか「黒を取ってください!」等と言っても良い。
③参加者はその言葉から連想した色を取る。(「赤」でも様々な「赤色」を用意しておく。) 参加対象者はなるべく同じくらいの認知症レベルの方々でグループを作る。
④何故その色を選んだか、色のイメージについて会話をする。
参加者にはテーマ毎に色カルタの中から一枚選んで頂き、その方の「状況」や「気持ち」を想像しながら選んだ理由を聴いていくのである。
※②~④を繰り返して参加者との会話を続けていく。

【ゲームをする時の約束事】
・自分の言葉で自由に話をして頂く。
・誰かが話をしている時は最後まで聴くように促す。
・評価、批判、否定をしないで聴いてもらう。
・個々の見え方の違いは問題にしない。ex. 青と緑、赤とピンクなど。
・この場で聴いた情報(秘密)は守るように言っておく。

【注意事項】
・リーダー(読み手)は指導者でもなくまとめ役でもない。
・リーダーはひたすら話を聴く。
・心理的な分析や性格を読み取らない。
・話を誘導しない。
・自分勝手な思い込みやレッテルを貼らない。
・参加者の要介護者がカードを取っていなくても、探しているのか、止めてし

 まったのか等の様子をよく見てゲームを進める。
・話し手に身体ごと(お臍を)向けて、にこにこ笑顔で聴く。
・色カルタを選んだ方には必ず全員にお話を伺う。
・話し始めて止まらなくなってしまった方には、相手の状況により「お隣の〇〇さんのお話も聞いてみましょうね」等と言って話を終わらせるようにする。
・感情的になってしまった方には、その感情を肯定する声掛けをする。「大変でしたね」「嬉しかったですね」「素敵な思い出ですね」など等。
・常に全体を見ながら、話す際は相手に集中すること。
・また、このゲームは早さを競うものではないので、ゆっくり考え のびのびと話して頂く。

 

※興味深い例としては
①「春と言えば何色?」という問いに対して、たいていは ‘桜の花’ から連想し、「ピンク」とか「薄桃色」、または 青空の「ブルー」等を思い浮かべるが、一人「淡緑色」のカルタを選んだ方がいらっしゃいました。それは*御衣黄桜の色とのことでした。
御衣黄桜とは、ソメイヨシノが散った後、4月中旬~下旬頃に咲く桜。サトザクラの品種の1つで、開花したばかりの花は淡い緑色、徐々に黄色(萌黄色)に変化していき、やがて花びらの中心部が赤く染まっていくのが特徴。  

②「青春の色は?」では、「黒」とお答えになった方がお出ででした。 
その理由を尋ねると、「学ランの色」とお答えになりました。(納得です!)

③「お母さまの色は?」の問いでは、お母さまが 普段 お召しになっていた着物(服)の色や優しい母のイメージによる淡い色の「ベージュ」。或いは 優しいけれども厳しかったお母さまのイメージからか「赤茶色」を選んだ方もお出ででした。 

色って、それぞれの方々のイメージなんですね。あらためて合点がいきました。
大切なのは参加者との会話を楽しむこと。相手の話をよく聴き、よく話をさせてあげる事。そして参加者の様子に気を配り、話は一人ひとり丁寧に聴くこと。つまり一人ひとりの思いと尊厳を大切にすることなのです。



【効果】
①参加者のお年寄りが自ら考え、選び、説明することが出来ることで、自己満足感が得られる。
②同じ色を見ながら、話し手、聴き手がそれぞれに「状況」や「気持ち」をイメージ出来る。
③お互いに共感でき、人と人のつながりもできる。
④忘れていた記憶を取り戻すこともある。



ヒヨドリ

ヤマガラとシジュウカラ