誰も文句など言えません。だってフロアー 一のご長寿、‘100年もの’(このブログの35)に掲載)の103才ですもの。
カズさんは ‘健康診断’ によるお疲れのため、暫くの間、自室で休まれていたようですが、車イスに乗り気だるげにフロアーに現れました。私を見つけると 『ああ、良かった! ○○さん (私のこと) 無事だったのね。』 『北朝鮮にでも行っていたのかと思っていたのよ。 毎日毎日 「○○さんを守って下さい!」 とあなたの無事を祈っていたのよ!』 と仰いました。
「ええっ?!」 私は返す言葉が見つかりませんでした。
(カズさんは私のことを ‘安倍晋三総理の秘書’ と未だ頑なに信じているのです。
詳しくはこのブログ 28) 29) に掲載)
でも・・、「まっ、いっか!」 お年寄りの ‘勘違い(妄想)’ など たいして罪にもならないでしょう。内容はともかく、私は ‘無事’ を祈って頂いて有難いと思いました。
・・・さらに続きました。 『虎屋の羊羹を持って行ったの?』 と・・。なかなか具体的です!
そしてカズさんは 『今日はね、年一回の健康診断の日で、さっきレントゲンと血液検査、そして尿検査もしたのよ。』 と教えてくれました。さすが元看護師さんです。受けた検査内容を正確に教えてくれました。
他の方々は 『血を採られた!』 とだけ仰っておりましたが。
最近 新しくカツコさん(80才 女性)と言う方が入所されました。毎日ご家族の方がお土産を持ってお出でになるそうです。(カズさん談)
そして、カズさんは 『(カツコさんの)お部屋はとても綺麗だから、あなたも見せてもらいなさい。』 としきりに私に勧めました。言い出したら聞かないカズさんです。
私は改めてカツコさんにご挨拶し、どうしたものか・・困惑し、お互いに顔を見合わせるよりほかはありませんでした。
でも・・、結局 私はカツコさんのお部屋にお邪魔することになりました。
カツコさんにご案内して頂き なかに入ると、そこには無駄なものが何も無く、さっぱりとした素敵なお部屋でした。
壁際のチェストの上には、サンスベリア(トラノオ)とクンシラン(君子蘭)、ドラセナ等の観葉植物の小さな鉢植えが置いてありました。
なるほど! 爽やかでスッキリとしたお部屋です。
一方 キクさん(99才 女性)は、白寿のお祝いに、施設から名前の入った ‘ひざ掛け’ を頂いたそうで、介護士さんから私も見せて貰いました。キクさんの元にその ‘ひざ掛け’ をお届けすると、とても嬉しそうに膝にかけておられました。
敬聴終了後、この日は今年最後の敬聴訪問日でしたので、お一人ひとりのお名前をお呼びして、年末のご挨拶と握手をさせて頂きました。
そしてエレベーターに向かう途中、いつの間にか エレベーター寄りのテーブルに一人 ぽつんと座ってらした、ミヨコさん(88才 女性)を見つけました。
ミヨコさんのお傍に行き、お名前をお呼びしてご挨拶すると、ミヨコさんはちょっと驚いて、 『あらっ、私の名前を覚えていてくれたの? ありがとう!』 『でも、ごめんなさい。私はあなたの名前を覚えていないの。』 と悲しそうに仰いました。
私は鼻の奥がツンとしました・・・。
奥のフロアー テーブルからは 『またね!』 と叫ぶ、カズさん達の声がきこえ、いつまでも笑顔で手を振って下さっておりました。
( 実施日:2017年12月9日(土) 14:00~15:00 )
水滴に閉じ込めて photo: (c) Hiro K http://ganref.jp/m/md319759/portfolios |