彼女は現在70才で途中で大病を患たにも拘らず、ずっとこのお仕事を続けているそうです。
家では80代のご主人が留守番をされており、身体がご不自由にもかかわらず、簡単なお食事の支度をし待っていて下さるそうです。
そして彼女は毎朝5時起きして6時30分には施設に到着。帰宅は毎晩8時半過ぎになると仰っておりました。
ご夫婦ともすごいです!ご立派だと思いました。
わたしは彼女から元気をもらった気になりました。
会話の中でOさんは、『各階の入所者さんを見ていると、よく食べる方は長生きしますね。』 と言っておりました。やはり食欲は生命力に繋がるのですね!
その後はカズさんの ‘リクエスト’ に応じ、彼女のお部屋に再訪問させて頂きました。
例の‘変色した銀盃’とも再会を果たしました!
一方、キクさん(97才女性)ですが、
『何か為さりたい事や食べたい物はありますか?』 と私が質問をすると
『今はもう何もないわ。年をとると、したい事などみんな無くなってしまうの・・・。』
『(そして) 何にもいらなくなるの・・・。』 とうつろなお顔で仰いました。
それから私を見据え、『あなたも今のうちに‘食べたいもの’は食べて、‘したい事’はしておきなさいね!』 と返って励まされてしまいました。
そしてマリコさん(78才女性)ですが、私を見るなり、『草月の先生!』 とまたお呼びになりました。・・・私は機会があればこのフロアーで生け花をお教え出来たら良いなと思いました。
帰りがけにはカズさんから 『身体に気をつけて元気でね!』 と労われてしまいました。 本来は逆ですよね!?
余談ですが、 映画 『レナードの朝』 (1990年 ロバート・デ・ニーロ主演) を思い出しました。 医師であるオリバー・サックス著作の医療ノンフィクションの映画化です。
内容は、1960年代に開発されたパーキンソン病向けの新薬 「L-ドーパ」 を投与し、患者らを覚醒させたが、耐性により効果が薄れていった状況が描かれております。
【最初は、ボールや音楽など様々なものを使った訓練により、患者たちは生気を取り戻すことに成功する。更なる回復を目指した医師セイヤーは、パーキンソン病の新薬を使うことを考える。それは顕著な効果をうむ。この成功を踏まえセイヤーは、他の患者たちにも同じ薬を使用してみる。 そうすると期待通り、全ての患者が機能を回復する。そして目覚めた患者たちは ‘生きる幸せ’ を噛み締める。 しかし、その後は病状が悪化し、最後は、レナードをはじめ同じ薬を使った患者たちは、全て元の状態に戻ってしまう。】
ここの皆さまも私が帰った後は、また‘静かな日常’に戻ってしまうのかなと思いました。
( 実施日:2017年3月19日(日)14:00~15:00 )
皇居外苑の白鳥 |