定刻の14時に、S氏及び傾聴の会のメンバーと共にフロアーに到着すると、なんと!いつもの倍以上の方々が、既に椅子に背すじを伸ばしシャンとして(?)座っておられました。
そして、S氏がテーブルの上に蓄音機をセッティングする間、皆さん 何事が始まるのかと興味津々のご様子でした。
演奏が始まると、お年寄りたちの目が輝き、お顔の表情も生き生きとし出して一緒に歌をうたいだしました。盆踊りの定番曲 『東京音頭』 になると、手踊りまでされる方もいらっしゃいました。 皆さんとても嬉しそうでした。
普段 おとなしいミヨコさん(87才 女性)も、リラックスして優雅に足なんか組み、指先で リズムを刻んで、S氏が持参したレコードの曲目を見て、積極的にリクエスト等しておりました。
他にも、曲目のメニューを握りしめ、食い入るように見ている方もいらっしゃいました。なかには、私が知らない古い歌の歌詞を1番から3番まで ‘そら’ で口ずさむ方もお出ででした。
更には、ご自分からは殆ど話などされないマツさん(90才 女性)まで、歌詞のなかの ‘屋形船’ に反応し、『あたしも若い頃には屋形船に乗ったものだよ。』 『美味しいご馳走も食べたよ!』 等と舌をもつれさせながら、昔話をし始めました。在りし日を懐かしむような眼差しでした。
みんな ‘自由’ でした! お年寄りたちの全盛期、華やかなりし頃の姿を垣間見たような気がしました。
ほんとうに 「蓄音機の演奏」 を皆さんに聴いていただき、喜んで頂けて何よりでした。アレンジした甲斐がありました! この 「蓄音機の演奏会」 が施設でも続けられれば良いのですがね・・・。何処からもお金 (補助) が出ないようで歯がゆい限りです・・・。
その頃に 6Fへ回診にいらしたY院長先生は、殊のほか蓄音機にご興味を示され、S氏へ盛んにご質問をされていました。また 若い介護士さんたちも、初めて見る 「蓄音機」 やその演奏に 好奇心に満ちた目を向けて聴いていました。タブレットで写真を撮っている介護士さんもいました。
私なりの満足感に浸っていると、傍らにいたカズさん(103才 女性)が 『○○さん(私のこと)が、この企画をしてくれたんですって?』 と仰いました。 茶目っ気たっぷりに私を見つめ、そのお顔がほころびました。
あらためて ‘音楽の力’ を実感した一日でした。
( 実施日:2017年8月13日(日)14:00~15:00 )