新年第一弾のお相手はキクさん(97才女性)です。
この日のキクさんは少々気だるそうでした。おそばに行き 『お元気でしたか?』 とご挨拶すると、『まあまあね・・。でも・・ ね、年をとるとつまらないわ。』 と仰いました。
頭 (記憶力) や体が言うことをきかなくなり、何事にも自信が持てなくなるとの事です。
『キクさんが一番楽しかった時代っていつですか?』 と尋ねると、『山登りをしていた頃かしらねぇ。』 と少し明るいお顔になってお返事を下さいました。
『 (登山道ですれ違うときなど) 見ず知らずの方々とご挨拶を交わすのが嬉しかった!』 とのことでした。
それから暫し ご挨拶や会話についてお喋りをしました。
キクさん曰く 人間関係で大事なことは、
『いつも自分が ‘中心となって’ 会話をするのではなく、相手に話をさせて自分は聞き役に回ること。』 だそうです。
また 『 「じぶんが、自分が・・・。」 ではなくて、お互いに (相手が ) 気持ち良く話が出来るように持っていく (配慮する) ことが大切 』 とのことでした。
それが‘話に花を咲かせる’と言うことだそうです。 (すごく含蓄のある言葉です!)
そして 『 相手やその話を否定的に考えず、なるべく好意的にみること。』
『 (腹が立っても) きつく言わず、にこにこと優しく言うこと。 』 など等。
つねに柔らかな物腰で、しなやかな人になることが大切との事でした。
私は 「敬聴」 にもつながると思いました。極意とも言えそうです。
更に私が 『 (相手の話の中で) どうしても譲れない時など、どうしたら良いでしょうか?』と尋ねると (結構、わたしは‘マジ’でした!)
キクさんは 『 「(そういう時は) もう少しお互いに考えてみましょう。」 等と言ったらどうかしら。』 とアドバイスを下さいました。
完璧です。以上、キクさん語録でした!
キクさんは私に ‘様々なアドバイス (?) ’ を下さると、生き生きしだし心なしか毅然とし始めて、自信を取り戻したかのように見えました。
人の役に立っているという自負、訓えているという誇りからでしょうか。
一方、マリコさん (78才女性) は相変わらず私のことを 『草月の先生!こんな所に来て頂いて勿体ない!』 等と仰います。
また、カズさん (103才女性) はこの日が入浴の日だったようで、介助の介護士さんに 是非 私を紹介したいと言い張りました・・・。
ただこの日も、中堅の介護士さん (女性) の言葉使いや態度がきつく感じられました。
お年寄りたちがピリピリしておりました。
大変なのは解りますが・・・、ご自身もお年寄りたちも、また私のような部外者も居心地が悪くなり、重苦しいムードになります。
深呼吸などをして、気持ちの切り替えを試みるのは無理なのでしょうか。
お役に立てない私自身にも情けなくなりました。
( 実施日:2017年1月7日(土) 14:00~15:00 )
|
安倍文殊院(金閣浮御堂霊宝館)
|
カズさん(102才女性)は、私のことを安倍晋三総理の秘書だと思い込んでいるようなのです。『大変だったでしょう、この間の外遊は・・・。』 とか 『国会はいま揉めているしね。』 ・・・。など等。
私が否定するも、いつもカズさんは 「大丈夫よ、心得ているわ!」 的な ‘めくばせ’ をしてきます。(困っております、私。)
『伯母さま、○○さん (私のこと) は総理秘書ではないそうですよ!』 と姪御さんがやんわりと打ち消すると、カズさんは姪御さんを手招きして、小声で 『こんなところで、本当のことが言える訳ないでしょ。』 と窘(たしな)めておられました。
102才の女性は頑な(かたくな)です。姪御さんも私もあきらめました・・・。(ふーっ。)
そして話題を変えるように、姪御さんはカズさんに 『伯母さまは、いくつ (何才) まで生きたい?』 と尋ねると、カズさんは、即 『150才まで!』 と明快にお返事をなさいました。
姪御さんは腰を抜かしたような仕草をし、大げさにコケてみせました。そして『それでは、私の方が先に逝ってしまうわ!』 と呆れていました。でも・・・、私は 「カズさんなら生きるかも!」 と思いました。
この日は本ブログをプリントアウトして皆さまにお見せいたしました。すると、皆さまこのブログを食い入るように見て下さり、そして喜んで下さいました。とくに ‘お猿さん親子の写真’ ( 「ごあいさつ」 及び 「第4回目に掲載」 ) は大好評でした!
帰り際 皆さまに年末のご挨拶をしたら、何人かの方々から 『良いお年をね!』 とお返しのご挨拶をいただきました。
(実施日:2016年12月17日(土) 14:00~15:00 )
|
飛鳥寺( 飛鳥大仏)
|
この日(2016年 12月17日)は施設開催の「クリスマス会」の日で、1Fのフロアーには多くの入居者とそのご家族らしき方々が 集まっていらっしゃいました。
介護士さんたちもサンタクロースや白雪姫などのコスチューム姿で、浮き浮きしながら対応におわれていました。
そしてお昼も豪華版だったようで「オムライスにハンバーグ。そしてサラダと果物」等、私もご相伴にあずかりたくなるようなメニューでした。
更に3時のおやつには「ショートケーキ」(美味しそうでした!)というように至れり尽くせりでした。皆さん、それはそれは嬉しそうで、みな 顔文字の ‘にこにこマーク’ 状態でした。ヨウジさん(90才男性)は鼻の頭とお口の周りに生クリームをつけて頬張っていました。
『長年 見ていると、やっぱり食欲旺盛な人が生き残るのよ。』と介護士さんが仰いました。 「長生きの秘訣は食欲にあり!」 と私は確信しました。
この日、カズさん(102才女性)の所には姪御さん (本当は従弟の娘さんとのこと。) がいらしてました。
姪御さんは 『子供の頃から伯母には、すごくお世話になったので訪ねているの。』 と言っておりました。(ご立派ですね!頭が下がります。)
『昨年までは、毎月外出してコンサート等にも連れて行っていたのよ。』 とも仰っておりました。然しながら、姪御さんは未だに ちょくちょく怒られている (指導されている) とのことでした。
そしてカズさんは姪御さんに 『○○さん (私のこと) に、きちんとご挨拶して!』 と仰ったらしく、私は彼女からご丁寧なお礼を言われました。 『あなたの事は、いつも伯母からきいておりますよ。いろいろとありがとう!』
『ところで、伯母はあなたのことを ‘安倍晋三総理’ の秘書だと言ってきかないのだけど・・。本当?』 と半信半疑なご様子でお尋ねになりました。
姪御さんに『いえいえ、違います!否定しても なぜか信じて頂けないのです。』と、冷や汗もので答える 私でした。
(実施日:2016年12月17日(土) 14:00~15:00 )
|
粟 ならまち店
|
今日は待ちにまった「蓄音機の演奏会」です! S氏のご厚意により、6Fのお年寄り達に蓄音機の演奏をお聞かせすることが出来ました。
定刻の14時に、S氏及び傾聴の会のメンバーと共にフロアーに到着すると、なんと!いつもの倍以上の方々が、既に椅子に背すじを伸ばしシャンとして(?)座っておられました。
そして、S氏がテーブルの上に蓄音機をセッティングする間、皆さん 何事が始まるのかと興味津々のご様子でした。
演奏が始まると、お年寄りたちの目が輝き、お顔の表情も生き生きとし出して一緒に歌をうたいだしました。盆踊りの定番曲 『東京音頭』 になると、手踊りまでされる方もいらっしゃいました。 皆さんとても嬉しそうでした。
普段 おとなしいミヨコさん(87才 女性)も、リラックスして優雅に足なんか組み、指先で リズムを刻んで、S氏が持参したレコードの曲目を見て、積極的にリクエスト等しておりました。
他にも、曲目のメニューを握りしめ、食い入るように見ている方もいらっしゃいました。なかには、私が知らない古い歌の歌詞を1番から3番まで ‘そら’ で口ずさむ方もお出ででした。
更には、ご自分からは殆ど話などされないマツさん(90才 女性)まで、歌詞のなかの ‘屋形船’ に反応し、『あたしも若い頃には屋形船に乗ったものだよ。』 『美味しいご馳走も食べたよ!』 等と舌をもつれさせながら、昔話をし始めました。在りし日を懐かしむような眼差しでした。
みんな ‘自由’ でした! お年寄りたちの全盛期、華やかなりし頃の姿を垣間見たような気がしました。
ほんとうに 「蓄音機の演奏」 を皆さんに聴いていただき、喜んで頂けて何よりでした。アレンジした甲斐がありました! この 「蓄音機の演奏会」 が施設でも続けられれば良いのですがね・・・。何処からもお金 (補助) が出ないようで歯がゆい限りです・・・。
その頃に 6Fへ回診にいらしたY院長先生は、殊のほか蓄音機にご興味を示され、S氏へ盛んにご質問をされていました。また 若い介護士さんたちも、初めて見る 「蓄音機」 やその演奏に 好奇心に満ちた目を向けて聴いていました。タブレットで写真を撮っている介護士さんもいました。
私なりの満足感に浸っていると、傍らにいたカズさん(103才 女性)が 『○○さん(私のこと)が、この企画をしてくれたんですって?』 と仰いました。 茶目っ気たっぷりに私を見つめ、そのお顔がほころびました。
あらためて ‘音楽の力’ を実感した一日でした。
( 実施日:2017年8月13日(日)14:00~15:00 )