2017年5月25日木曜日

18)クレヨンで汚れたおじいちゃんの手 その1

汗だくで6Fフロアーに着いてみると、介護士のMさんが段ボールを切り刻み、何やら熱心に工作をしておりました。お側にはかいがいしく(?)、キクさん(97才女性)とトシコさん(92才女性)がお手伝いをしていました。

ふと見ると、ヨウジさん(90才男性)も青色のクレヨンを握り、段ボールの破片に色を塗っておりました。

フロアーの天井に吊るす‘お遊び’の 「ハエ取り リボン」 と 「ごきぶりホイホイ」、そして段ボール細工の「ゴキブリ」だそうです。なんとユーモアのある介護士さんですこと!

Mさんはフロアーに集まっている其々の方に役割をふり、一緒に楽しんでおりました。
皆さんの笑い声がひびき、和気藹々とした楽しい雰囲気でした。

その内 キクさんは別の介護士さんから、ご自分の上っ張りで 取れかかったボタンを付けるように言われ、上手に繕っておられました。
 
ヨウジさんは介護士さんに命じられるまま、青色のクレヨンで段ボールの破片に色を塗ってましたが、手に付着したクレヨンの汚れを気にしており、介護士さんに手を拭いて貰っても、しきりに指を見ておりました。

軍人をへて高校教師になったヨウジさんは、几帳面なご性格のようで、まだ指に汚れが残っていることが気になって仕方ないようでした。
私がティッシュを濡らし、ヨウジさんの手を丁寧に拭いてあげると、ビックリされポカンとしておられました。

それからヨウジさんは、私に軽く目であいさつ(お礼のつもり?)しましたが、傍で見ていたカズさん(102才女性)は、『ヨウジ!それだけ? ○○さん(私のこと)に何か言うこと(お礼)はないの?』と窘め(タシナメ)ました。 さすが102才のお姉さまは厳しいです。

 (実施日:2016年7月16日(土)14:00~15:00)


直島(青い猫の像)

2017年5月15日月曜日

17) 『 ゆしまの郷祭り 』

本日は、前回の訪問時に介護士さんにお話を通しておいた「ゆしまの郷祭り」に特別参加させて頂きました。
もちろん、当日も施設長さんや1Fの事務の方にお断りを入れての参加です!

係の方から、ピンクの半纏を着せて頂きました。
そして、お祭りの様子や入所者の写真を撮影する件も ‘公表しない’ 条件でOKを頂きました。

1Fのホールではボランティアによる盆踊りや太鼓の演奏が行われ、その周りを囲むように入所者とそのご家族の方が取り巻いておりました。
職員さんによる模擬店もありました。
 
焼きそばやお好み焼き、そしてアイスクリームもありました。(どれも美味しそうです!)
飲み物は一律100円。なんとアルコールフリーのビールもありました!
また、別の場所には刻み食も用意してありました。感激でした。

6Fのキクさん(97才女性)は、娘さんと一緒に盆踊りをご覧になっており嬉しそうでした。カメラを向けると最高の笑顔をつくって下さいました。

その後、いつもの6Fフロアーに行ってみると、カズさん(102才女性)とヨウジさん(90才男性)、そしてトシコさん(92才女性)とタキさん(90才女性)が ‘普通に’ いらっしゃいました。ご家族がお出でになっているのはお一人だけでした。

フロアーにも「東京音頭」や「東京五輪音頭」、そして「炭坑節」「北海盆歌」等がラジカセから流れておりました。ヨウジさんは歌に合わせて手踊りをされておりました。
とても楽しそうでした!

模擬店にある食べ物は、職員さんにお願いし購入してきてもらうそうです。
私はカズさんからお好み焼きを頂きました。(薄味でしたが、柔らかくてとても美味しかったです。)

介護士さんたちも半纏を着ており、なかなか素敵でした。折角なので、いつも敬聴させて頂いている方々や介護士さんの写真も撮らせて頂きました。そして記念にカズさんとのツーショット写真も撮って頂きました。

帰りに、エレベーターに乗り合わせたご家族の方(60代 女性)から、『(あなたのご家族の)どなたが入所されているのですか?』 とお尋ねになりました。
私が 『傾聴ボランティアとして伺っています。』 とお答えすると、こちらが恐縮するほど 『ご苦労さま。立派ですね。』 と褒められました。

彼女はお一人でご自身の両親とご主人の両親の4人を介護しているとのことでした。
やっとお姑さんをゆしまの郷に入所させ、ご自分の両親は実家で看ているとのこと。
また、お舅さんは現在入院中で、この後、病院に着替えを届けに行くとのことでした。
とても大変そうでした。心からそう思いました。

私が 『10年あまり仕事をしながら一人で両親の介護をしていた。』と告げると、感心なさいました。

彼女は私が同じ介護経験者という事でこころを許し色々とお話をされました。
胸の内を語ったことで、多少なりとも心の憂さを晴らし浄化されたのでしょうか。
 『あなたに話を聴いて頂いてスッキリしたわ。ありがとう!』 と言って下さいました。 そして・・・涙ぐまれました。
短い時間ではありましたが、少しは彼女のお役に立てたのでしょうか。

盛りだくさんな一日でしたが、とても有意義な時間でした。

(実施日:2016年6月25日(土)11:15~12:10)



季節の和菓子

2017年5月5日金曜日

16)『言葉でのコミュニケーションが難しくなった方にも敬聴は出来る!』

今回、敬聴させて頂いた方々は、カズさん(102才女性)、ヨウジさん(90才男性)、キクさん(97才女性)、そしてトシコさん(92才女性)。
また、ミヨコさん(87才女性 いつもお洋服の毛玉を取っている方)やサチコさん(92才女性 おとなしい美人)、タキさん(90才女性 歌が大好きな可愛い方)と黒い網ネットをかぶっているマツさん(90才位の女性)。
そしてミツオさん(80才位 車椅子の男性)と車椅子で常に目を瞑っているトモコさん(92才女性)等です。

カズさんから 『○○さん(私のこと)、あなたにお願いがあるの! ( ご病気で半身不随 言葉が発せられない ) ミツオさんにも是非 声をかけてあげて!』 と言われました。『でも、傾聴が出来るのかしら?』 と、内心 私は思いました。
そして・・・ミツオさんにお声がけをしてみました。

すると、ミツオさんはジッと私の目をみつめました。声にはなりませんでしたが反応はありました。私は今まで、お声をかけても反応は期待できないだろうと思い込んでおりました。(反省です。) 思い込みは禁物ですね。

人は誰でも気にかけて貰いたい! そして (自分に) 向き合い寄り添って欲しいものだからです。たとえ、言葉を介しての意思疎通が図りにくくなった方にでも、お声掛けはすべきだと思いました。その方に向き合い笑顔をむけることの大切さです。

一方、カズさんは日赤病院での看護師時代を経て、晩年は日本赤十字社本部の人事部にいたと言うお話をされておりました。さすがです! 『我々ナースは・・・。』 等と、時々英語単語を交えながらお話を聴かせて下さいました。

ヨウジさんは若い頃、野球が大好きでキャッチボールをよくしていたとの事でした。 『でも、今はもう (友達たちが) みんな亡くなり、キャッチボールも出来なくなった。若い人は相手にしてくれないし・・・。』 と寂しそうに仰っておりました。現在、歩行器は使用されていますが ‘やる気’ は満々のようです。

タキさんが ‘君恋し’ を楽しそうに歌ってくれました。網ネットの女性も可愛い方で、タキさんが歌うと一所懸命に後について歌っておりました。

トシコさんも途中までは一緒に口ずさんでおりましたが、お隣に座っているキクさんと顔を見合わせて、お昼ご飯を食べたかどうかを頻りに思い出そうとしておりました。

そして、私に 『ねえ、私たちお昼ご飯は食べたのかしら?』 とお聞きになりました。私が壁に貼ってある献立表をみて 『今日はとろろ丼のようでしたよ。』 と答えましたが、トシコさんは首を傾げて 『あれが・・? 味がないから柔らかいご飯だと思ったわ・・。』 等と仰っておりました。 

また、ほぼ寝たきり状態で常時 車椅子のトモコさんにも、帰りがけにご挨拶をしてみたら、何と目を開けにこやかに笑みを返して下さいました。(ビックリでした!)

帰りには、初めてタキさんから 『気をつてね!』 と笑顔で手を振られました。
また半身不随のミツオさんも、私が 『また来ますね。お大事に!』 と声をかけると嬉しそうな表情で反応して下さいました。
 
6Fの雰囲気が和気藹々としてきたように感じました。私も皆さんの一員になった気がしました。

6月25日(土)には恒例の 『ゆしまの郷祭り』 があるそうです。私も参加させて頂くことにしました。友人や親類に会いに来る感じです。

敬聴する相手を好きになり、愛情を持って接すると、相手の方もこころを許して下さり、心を開いて下さいます。私は単に 「お年寄り」 とか 「おじいちゃん、おばあちゃん」 ではなく、それぞれの方の人生に関心を持ちはじめました。
若い頃にはどんなお仕事をされ、どんな思いを持って生きてこられたのか、興味がつのりました。

(実施日:2016年6月12日(日)14:00~15:00)


唐招提寺 瓊花(けいか)
 【 鑑真和上の故郷である「江蘇省揚州市の名花」で、
ガクアジサイに似た白い可憐な花を咲かせる。
4月中旬~5月上旬頃】