最近、わたしの周りで難しい言葉や英語を使う人が増えてきました。気になります。英語ではアサイン、ブレインストーミング、インライン(IT用語ですが)など等。アサインなどは、使い方を間違っている方さえいます。
哲学書や専門書でしかお目にかからないような語句を使われると、私は煙に巻かれた気さえします。どうして誰でもわかるような ‘普通の言葉’ をお使いにならないのでしょうか。「普段も友達や家族間でそんな言葉を使っているの?」と訊きたいくらいです。
大学時代、東京芸術大学からの非常勤講師の授業を受けたことがあります。その先生はご自分のことを「先生」とお呼びになること以外は素敵な方でした。
その先生は私の心に残る ‘素敵な言葉’ を下さいました。
「(先生は)難しい言葉を使わなくても、やさしい言葉で分かりやすく皆さんにお伝え(表現)することが出来ます。難しい言葉を使わず、如何にやさしい言葉に置き換えて、お伝え出来るかが大事です。」と仰ったのです。みんな 鼻をへし折られました。
この言葉には本当に感動しました。難しい言葉をやさしく誰にでも分かる言葉で話せる人こそ、知識・教養のある方だと思った次第です。
10年位前に、札幌での学術総会で両極端なお二方、高名なO氏(国際法学者)と将棋の羽生善治氏(現在は日本将棋連盟会長)の講演を聴いたことがあります。
O氏は国際法の話ばかりで、 専門用語を連発していらっしゃいました。 私は全くちんぷんかんぷんでした。周りを見渡すと(80大学の教授たちが聴講されていましたが) 半数以上は寝ていらっしゃいました。隣席のA教授は、なんと私の肩にもたれかかる程の爆睡状態でした。
講演後、顔馴染みのI医大の教授と話をしました。 O氏の話の内容が理解できたかどうかです。すると「 全然わからなかったよ。」と仰いました。私はほっとしました。
そして一言。「 僕たち医者は患者さんには専門用語をあまり使わず、 分かりやすい言葉で説明するようにと言われている。 そういう授業もある。」と仰っていました。納得です。
一方、翌日は羽生善治氏の登壇でした。こちらは全ての会員向けでしたが、 将棋を知らない方でも楽しめる素晴らしい講演でした。 専門用語は殆ど使わず分かりやすい話でした。しかも話は理路整然。さすが、頭の良い誠実な方だと思いました。
私は羽生さんのファンでしたから、 事前に彼の著作を数冊読んで臨みました。本も面白く分かりやすい ものでしたので、最初は(ひょっとしたら ゴーストライター?)等と失礼な憶測をしながらお話を聴かせて頂きました。(羽生さん、すみません。)
ところがびっくりです。話がとても上手なのです。面白いのです。 私は少しだけ将棋を指せますが、将棋を知らない方でも、 話にどんどん引き込まれるほどの話術をお持ちでした。著書は間違いなく、ご自身が書かれたのだと確信しました。
専門用語を使わないからこそ、そしてご自分の言葉で話されているから 人の心に直に伝わったのだと思います。さすがだと思い さらに大ファンになりました。









