「我が町」というテーマで原稿を依頼されました。とても光栄なことです。
文京アカデミア講座※『文の京十八の町物語を聞く』が六周年をむかえ その記念と、本年度で一区切りとなる『この講座』の集大成として記念誌が発行されることになりました。その原稿依頼です。
※『文の京十八の町物語を聞く』:文京の町に暮らし 町を愛している講師(語り部)が参加者に‘ご自分の経験や思い出’を語ります。むかし(子どもが)近所のお年寄りの周りに集まって地域の昔話を聞くような雰囲気の講座。そのため、机は置かず椅子だけのセッティングです。
語り部は、町会長・元大学教授・講談師・僧侶・宮司・和菓子屋さん・パン屋さん・飴細工師など等で、その内容は多岐にわたります。「生きた町の歴史と文化」を知る文京人が語るのです。
寄稿者は「語り部」としてご登壇された五十余名(実際の執筆者は三十名)の方々と講座に関わった我々スタッフ八名です。(私はこのような講座に携わることが出来て、良かったと思っております。)
さて、今の私にとって「我が町」と言えば湯島です。もう20年以上の居住となりました。私のライフワークの一つである“傾聴活動”も湯島です。ゆしまの郷やアリア文京本郷に傾聴ボランティアで伺っておりますが、大好きな町となりました。
『文の京十八の町物語を聞く』では、講師を務められるご長老の方々に対し敬って聴かせて頂いておりますが、傾聴に伺う施設の入居者のお話をきく際にも 敬意を払って聴かせて頂いております。ゆえに「傾聴」ではなくて「敬聴」なのです。
その「傾聴活動」を通し あらためて湯島の町を見てみると「優しくて人情味あふれる良い町だなぁ。」とつくづく思うのです。因みに、湯島は老舗の名店も多く江戸の匂いがします。
湯島天満宮(湯島天神)の梅まつりの時には、入居者をお花見にお連れしたり、おみ足が不自由な方へは介護士さんが車イスを押してご案内したりされていました。観光名所が近くにある施設のご入居者は幸せだなと羨ましく思います。
湯島天神の菊まつりの時も然りです。ゆったりと美しい菊を眺めると、みんな和やかな笑顔になります。そんな町って素晴らしいと心底思うのです。
私は「湯島会」という町会に属しておりますが、毎年新年にはイベントで湯島天神初詣があります。みんな揃って本堂の内陣でお祓いをして頂くのです。厳かで身の引き締まる思いがします。湯島町会も最高です。
そして毎年五月下旬には、歴史ある「湯島天神例大祭」が開催されます。御神輿が出て、老若男女が半纏を着て威勢よく担ぎます。
祭典自体は五月二十五日に固定されていますが、鳳輦・神輿の渡御や神楽などの催し物は二十五日に近い週末に行なわれます。そして隔年ごと(西暦の偶数年)の本祭の土曜日に神幸祭として鳳輦と宮神輿(宮神輿は台車で渡御)が渡御します。また偶数年の日曜日には、宮神輿の担ぎ渡御する年と町神輿が連合宮入する年が交互に来ます。
御神輿は観ている者の気持ちまで高揚させてくれます。祭り好きの私は身体もこころも浄化されるような清々しい気持ちになります。
文京花の五大まつり(さくら・つつじ・あじさい・菊・梅)の内二つのまつりと天神祭の町、それが「我が町」湯島です。(写真は2023年 年末の湯島天神 他)