先日、大事な「第二回 ひとり朗読会」前に左足の小指を骨折してしまいました。不覚でした。急いでいてベッドの脚にぶつけたのです。
その日は「新内仲三郎公演ー江戸の粋 吉原と新内舞踏ー」に行くために慌てておりました。指の痛みは尋常ではなかったのですが、仲三郎さんのご子息 ‘新内多賀太夫’ さんの艶のある美声を生で聴いてみたい一心と、やっと取れた席がもったいなくて無理して三越劇場まで参りました。(その時は打撲だと思っていたからです。)
ただ、いざ到着してみると、あろうことか私は公演日を二日も間違えておりました。小指の痛さと悔しさで踏んだり蹴ったりの日になりました。
その二日後の当日、三越劇場に電話し事情を説明しましたが、もちろんキャンセル出来るはずはありませんでした。よく考えたすえ、私は自宅前からタクシーに乗り、限りなく劇場に近い入口に向かいました。右足はスニーカー、骨折した左足小指は腫れあがって靴が履けないので、素足にビーチサンダル姿でです。
恥ずかしかったのですが、三越劇場の係の方から『ビーチサンダルでいらしても大丈夫です。構いません。』と言われたからです。(所詮、他人事ですからね。)
私は医師から「うっ血しないよう患部を高くするように」とのアドバイスを受け、係の方にお願いして 席の前に靴箱のような左足を載せる台をご用意して頂き、おかげさまで無事に鑑賞してこれました。(感謝です。)
包帯の足を箱台にのせていると、隣の席に座られた70代の粋な女性から『どうなさったの?』と心配そうな声をかけられました。そのお隣のご友人も私の足に注目なさっています。私はいきさつを説明せざるを得なくなりました。
ひと通りお話しすると、その方はよりご心配や同情して下さり、私は 大事な朗読会を控えている’ 等の話もしてしまいました。優しくて素敵な方でした。公演終了後には『くれぐれもお大事にね。朗読会のご盛況を祈ってます。』とのお言葉まで頂戴しました。
さて、肝心な新内節ですが、新内の三味線は中棹ですが 多賀太夫さんはピンマイクをつけておられました。もう少し声量のある方かと思っていた私には意外でした。それ程の感動はありませんでした。昔、ある所で聴いた ‘新内流し’ を思い出しました。情感にあふれ心を打たれたことを憶えています。
三味線は普段 私が聞きなれている ‘義太夫の太棹三味線’ の方が迫力があり、私は好きだなとあらためて思いました。勿論ジャンルが違いますし、好みの問題ですが。
今回の新内舞踏は「ひとり朗読会」の前に、江戸の雰囲気を味わっておきたいという思いもあっての鑑賞でした。
肥後細川庭園 |