前回 126)の「パンチョ先生」を書いている時に思い起こした Ⅰ先生の素敵な言葉があります。今回はそのお話です。
私は在職中に一ヶ月ほど入院し 手術を受けたことがあります。学会誌の編集担当者は私 ただ一人で、入院中も気が気ではありませんでした。月刊誌ですので休刊は出来ず、術後も直ぐに 病院内の公衆電話から職場(事務局)や出版社等への連絡は欠かしませんでした。
それにしても 主治医の先生や職場(学会)の先生方、また友人達にはたいへんお世話になりました。本当に有難いです。兄弟や従姉妹は(みな地方在住)病院近くにウイークリーマンションを借り、交替で看病をしてくれました。感謝しかありません。
さて、その中のお一人 A先生はつい最近まで J大学の学長で、当時は脳外科の教授でした。A先生はⅠ先生(このブログ 27) 番外編「回想法」【 余談 2 】をご参照)の愛弟子であり、脳外科学会の役員でもありました。そのA先生とは私がJ大学にて学会誌の編集に携わって以来の長いご縁です。
ある時、何度か検温にいらっしゃる看護師さん(女優の山本陽子さんによく似た 超美人でした)から「A先生は毎日 あなたのカルテチェックや様子を診にいらしているけど、どんな関係?」と唐突に尋ねられました。
私は真意が分かりかね、言葉に詰まりました。とにかく誤解を生まないように、A先生が講師時代に、私はお隣の教授室 (当時はⅠ先生が教授) で編集業務を行っていた等、細かくご説明しました。冷や汗がでました。
後日、その経緯を恩師 Ⅰ先生にお話しすると一笑に付した後 「バカだなぁ。そんなこと、いちいち真面目に答えんでもよろしい。」と言われました。私は「そうですかね・・。でも、A先生は看護師さん達に評判が良く おモテになるので、へんに誤解されないようにと思って(ご説明したのですが)・・。」と返答しました。
そして、逆に私はI先生に訊ねました。「そのような場合、どのように答えれば よろしいのでしょうか?」と。
I先生曰く「そうだなぁ。まあ、シャレた関係とでも言っておけ!」とのお返事。さすがです・・! 数々の有名人をお相手にされているスター教授は違います。野暮ったい私の頭には浮かばない言葉でした。洒落っ気たっぷり 遊び心満載 のI先生です。
私はこのエピソードとその言葉を友人達に伝えましたが、ついでながら、母や兄にも話して聞かせました。すると、同じ血筋の兄は大いに感動しました。「なるほどなー。我々には言えない言葉だなぁ。」と兄。そして「おしゃれな関係か・・。」と。(・・・?私。)
「シャレた関係」と「おしゃれな関係」は全然違います。やっぱり我が兄、見事な野暮天です・・。ともあれ たくさんの方々にお世話になった 感慨深い思い出と言葉です。
ニコライ堂 |