旅館で借りた下駄をはき、※銅山川沿いをゆっくり散策しました。暫くすると・・在りました!レトロな佇まいのお寿司屋さんが。風情があります。もちろん肘折には一軒だけでした。
※銅山川(どうざんがわ):最上川水系の支流で山形県最上郡大蔵村を流れる河川。鳥川とも呼ばれる。源流地には、かつて「日本三大銅山」と呼ばれた永松銅 山があり、銅山川の名はこれに由来している。(Wikipediaより)
お寿司屋さんは平日の15時のせいか 閑散としており、もちろんお客は私達二人だけでした。お酒も飲まない伯父が山奥の温泉町でお寿司屋さんを知っているのは意外でした・・。
ただ、思い起こすに 伯父はグルメでした・・。父が怪我をし入院した際、お見舞に上京した伯父は、母と私を労って新宿のフランス料理店に連れて行ってくれたことがありました。
当時は母も私もまだフレンチのフルコースなど頂いたことがありませんでした。ナイフとフォークさばきが見事な伯父に 目を見張ったことを憶えています・・。
肘折のお寿司屋さんで 伯父は海軍時代の若かりし頃の青春物語や軍港都市 舞鶴での思い出話をたくさん聴かせてくれました。戦時中で辛いことがたくさんあったはずですが、遠くを見つめ 懐かしそうに語る伯父は次第に浄化されていくようでした。
今でも青年に戻ったかのように生き生きと話す その時の ‘伯父の顔’ が忘れられません。肘折温泉と言えば、私は必ず庄助伯父さんを思い出します。
ついでながら、その時 泊った旅館は目前に朝市が立つ*斎藤茂吉逗留の宿「松井旅館」です。素朴なあたたかい旅館でした。
*斎藤茂吉:山形県上山市生まれの医師であり 雑誌『アララギ』の中心的歌人。
・肘折のいで湯浴(あ)みむと秋彼岸の狭間路とほくのぼる楽しさ
・のぼり来し肘折の湯はすがしけれ眼(まなこ)つぶりながら浴ぶるなり
【茂吉が詠んだ歌 「肘折温泉と斎藤茂吉」より抜粋】
今年こそ あの肘折温泉へ湯治に行きたい! 行こうと思うのですが・・。
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