子供の頃から湯治に行くなど 温泉好きの私としては、緊急事態宣言下ではありますが そろそろ温泉が恋しくなってきました。一日も早いコロナの収束を祈るばかりです。
大人になってからも元職場の友人達と「秘湯の会」をつくり、毎年日本各地の秘湯巡りをしておりました。コロナ禍により中断しておりますが、もう15年余りになります。
今回はお気に入りの温泉の一つである 肘折温泉のご紹介とまつわるお話です。
肘折温泉は日本有数の豪雪地帯である山形県最上郡大蔵村にある開湯1,200年の歴史ある温泉です。地蔵権現の教えを信じ 今に伝わる長い歴史があります。
縁起書には肘を折った老僧がこの湯につかったところ たちまち傷が治ったと記されており、近郷の農山村の人々が農作業の疲れを癒す温泉場として、そして骨折や傷に有効な湯治場として賑わってきました。
私は幼稚園や小学校の頃、毎年夏に両親と共に湯治に行っておりました。空気が良く 川遊びもできる肘折は、小児喘息気味だった私には うってつけの所でした。
社会人になってから、父方の伯父夫婦と両親、そして私の五人で肘折温泉に行ったことがあります。当時は山形駅まで旅館の送迎バスが迎えに来てくれたのです。その時の庄助伯父さんとの思い出話です。
体格のよい伯父は若いころ海軍に属しており、物を書く仕事もしていたようです。晩年は自費出版で本等もを出していました。メモ魔でもあり、いろいろとスクラップもしていました。話題が豊富でした。
伯父は話好きでしたが、息子夫婦は仕事で忙しく、孫も話し相手には幼すぎました。また近くに住む甥や姪達も興味がないのか、あまり熱心に話をきくことはありませんでした。もっぱら東京から訪ねた私が話し相手であり、聴き手でした。
私は昔から人の話を聴くのが好きで、特に年配者の話を聴くのは大好きでした。伯父はとても喜んでくれました。今日(こんにち)、敬聴ボランティアをする下地があったのでしょうか。
さて、伯父夫婦と私達家族は肘折温泉に着くと 先ずひと風呂浴びました。そして伯母と母はお茶を入れ テーブルに果物やらお菓子を並べました。二人はよもやま話を楽しむと、くつろぎ横になり始めました。因みに 父は温泉に浸かり 部屋に戻ると横になってTVを見ていましたが、いつの間にか寝ておりました。
伯父は寛いでいる皆を尻目に、私を肘折の散策とお寿司屋さんに誘いました。暇を持て余していた私に 散策はグッドタイミングでした。でも・・(数十年前のこと)「こんな鄙びた山奥に、お寿司屋さんなんてあるのかしら?」半信半疑でした。
ハナイカダ |
ニッコウキスゲ |