2021年3月15日月曜日

115) 【徒然に】まず傾聴! -カズさんは ‘わたあめ’ を持って-

こんな時代だからこそ たくさんの人々が傾聴を必要としている気がします。

傾聴とは本来「こころを傾けて聴く」ことです。
対面でのコミュニケーションが取れない昨今、耳ではなく「こころで聴く」のが敬聴だと思い至りました。その方の心に寄り添い ‘おもい’ を聴くのです。

以前、ゆしまの郷のカズさん(106才 女性)から 同じフロアに入居されている、ご病気で言葉が不自由になった方への敬聴を依頼されたことがありました。(このブログの 16)「言葉でのコミュニケーションが難しくなった方にも敬聴は出来る!」参照。)

対面し直接 話(言葉)を聴くより、相手に寄り添って心の声をひろうのは時間がかかります。相手を思いやり 相手の立場にたって伺う。共感することの大切さを痛感しました。

そして 少々 苦手な方に対しても構えず 相手の話を否定せず聴くこと。鉄則ですね。優しい眼差しと好意的な態度は相手にも伝わります。

先日、東日本大震災の復興支援に関するNHKのTV番組で、長崎大学原爆後障害医療研究所教授(2020年より東日本大震災・原子力災害伝承館の館長)の高村昇先生の話をお聴きしました。

長崎大学の高村教授らによる福島の復興支援は、2012年に 全村避難し役場機能と住民の多くが郡山市に身を寄せていた川内村で始まりました。高村先生は震災直後から福島県内の各地を巡回し講演をされていたそうですが、川内村の村長から帰還のために「土壌や水の放射線量」を調べて欲しいと相談されたそうです。

データで放射線被曝による疾病の確率を述べても説得力に欠け、住民たちの「放射線被曝=死」という不安や怯えがなくならず、最初は住民たちに話を聞いて貰えなかったとのこと。その後、川内村に復興推進の拠点を置き、寝泊まりし同じものを食べたそうです。住民に寄り添い 話を聴くことが大切だと思うようになったと述べておられました。

一方的な講演ではなく、住民の現実問題として「一番何が不安で心配なのか」や「この地で安全に暮らせるのか」など、住民たちの声を「先ず聴くこと」の大事さを語っておられました。

たとえ講演であっても、聴衆が求めている事柄に、耳を傾けて話すことが大切なのです。それからは、住民たちの表情が柔らかくなり、講演にも耳を傾けてくれるようになったと発言しておられました。まさに傾聴の大切さですね。


先日「ゆしまの郷」の家族会の方から送られてきた便りに、カズさんのお元気な姿がありました。2月のイベントで ‘わたあめ’ が配られたらしく、わたあめを手に、お澄まし顔で得意気な いつものカズさんです。(変わっていません。)

私はホッとすると共に、とても嬉しくなりました。 早くお会い出来る日が来ますように!

本郷弓町のクスノキ