2020年10月25日日曜日

106) しーちゃんへの読み聞かせ その2

zoom画面に向けて絵本をめくりながら、同時に文章を読み聞かせるのは、想像以上に困難でした。少なくとも 幼児の反応を見ながら絵本をめくる人と読み手の二人は必要でした。zoom画面内に絵が的確に映らなければアウトです。

(絵の後ろに文章が書いてあり、一枚一枚めくれる紙芝居ならもっと上手くいっただろうと内心思いました。)

悪戦苦闘の末 私が絵本を読み終えると・・しーちゃんは神妙な顔をしていました。次女のはるちゃんは、いつの間にか奥のテーブル席で末っ子のななちゃんを抱いた姪と一緒にいました。 

「どうだった? しーちゃん、面白かった?」と尋ねると、小さな観客は困ったような顔をして「うん、・・・。」 そして「ちょっと怖かった。」と申し訳なさそうに答えました。   

私はハッとしました。奇想天外なストーリーとは言え、確かに ひよこが次々と おおかみやライオンを飲み込んでしまうのは怖いことでした。そして ひよこの足を一本を切り取ってしまい、その足を取り返しに来たひよこに逆襲する王様も・・。

やはり男の子向け、或いは大人向けの絵本だったのかもしれません。読み手の力量もあるでしょうが、子どもの感性も様々です。もっとユーモアを交えるなど、工夫して読むべきだったと思いました。

しーちゃんの隣に座り、絵本をじかに見せながら反応を伺って読み聞かせるのがベストでした。絵に集中してもらいながら、内容を爽やかに表現する必要があったのです。(反省し勉強にもなりました。そしてzoomの限界も感じました。)

それからはしーちゃんのオンステージでした。「読み聞かせのお返しに!」と言わんばかりにサービス精神満開で、自分の「変顔」をzoom画面いっぱいに見せてくれたり、お宝グッズの ‘キャラクターが描かれた定規’ や ‘消しゴム’、 ‘お気に入りのポーチ’ などを解説入りで一つ一つ丁寧に見せてくれました。

そして最後に、秋田のおばあちゃん(姪の義母)に買ってもらったという ピンクの花柄のかみ留めを前髪に留めてお披露目です。「可愛いね! とても良く似合うわ。」と褒めると

しーちゃんは急いでママ(姪)のところに行き、姪が留めていた 何の変哲もない普通の ‘黒のパッチン留め’ をねだり、それを自分の前髪に留めて 私に得意そうに見せました。

「あらっ、さっきのピンクのかみ留めの方が素敵よ。可愛かったわよ。」と私が言うと、ママのシンプルな黒パッチン留めの方が好きだと言います。私が理由を尋ねると、5歳のしーちゃんは「だって、この方が大人っぽいでしょ。」と真顔で答えました。


ホトトギス









2020年10月15日木曜日

105) しーちゃんへの読み聞かせ その1

しーちゃんは宇都宮に住んでいる 姪のおしゃまな長女です。今年で5歳になりました。そして ご当地ダンス「ギョーザダンス」がとても上手な女の子です。

そのしーちゃんに zoomで絵本の読み聞かせをすることになりました。幼児への読み聞かせの練習と今年1月に三女を産み、3児(3姉妹)の母となった 育児に奮闘している姪への 暫しのお手伝いのためでもありました。

さて、「読み聞かせ」と「朗読」の違いですが、

読み聞かせとは、乳幼児から小学校年齢の子供に対して、話し手が絵本などを一緒に見ながら音読することです。目の前に相手がいます。 絵が主役。読む技術より暖かい雰囲気が大切です。

一方、朗読の方は 目の前の複数の人に対して 心に響くように 朗々と感情を込めて 詩歌や文章を読むことです。読み手が主役です。

自分がその本を読んでどう思ったか、どこの部分に一番心が動いたか等 自分の感覚を相手に共有してもらうもので、表情や立ち居振る舞いの雰囲気も大切です。また きちんと届く声のための腹式呼吸が欠かせません。

今回は目の前(画面)にいるしーちゃんが、どんな絵本を読んだら喜ぶのか、どんな読み方をしたら笑顔になってくれるのか、彼女を中心に考えました。

数ある絵本の中から私は「*かたあしのひよこ」(文:水谷章三作 絵:いとうひろし)を選びました。NHK Eテレの「てれび絵本」で室井滋さんが朗読されていたのを観てすごく感動したからです。

おじいさんとおばあさんに可愛がられていた ひよこは金の足を持っていました。そして欲張りな王様に1本の足を取られてしまいましたが、大きくなって王様の城へ(道中で出会った狼やライオンや川を飲み込み口に入れ)片足を取り戻しに出かけます。(スペイン民話)

男の子にお勧めの絵本のようでしたが、絵も原色で単純な感じでしたので小さな子供にもうけると私は思いました。

金の足を持つひよこが王様に片足を取られてしまったことから始まるこの物語は、ひよこがとても逞しく、どんな困難も乗り越えて自分の片足を取り返しに行く話です。途中で出会った おおかみやライオンや川までも 自分の味方にして進んでいくのです。その姿は痛快でした。

当日、zoomの新規ミーティングを開始すると、既にしーちゃんが待ち構えていました。その上 3歳の次女、はるちゃんまでスタンバっているではありませんか。二人はPCの画面が良く見える席(場所)をめぐり、小さなバトルを繰り広げていました。

私は zoom 画面に合わせて絵本を開き読み始めました。しーちゃん達は読み聞かせの途中で、きっと騒ぐか お喋りを始めると思っていましたが・・、なんと しずかに静かに聞き入っていました。意外でした。私は急にプレッシャーを感じはじめました!