2019年12月25日水曜日

86)上皇后さまのご学友?

今日はK有料老人ホームでの敬聴です。2階フロアでの敬聴を依頼されました。

お相手は‘仲良しこよし’(このブログの81)参照。)でお会いしたサチさん (84才 女性)です。サチさんとは二度目ですが、とても慎ましやかでお優しい方です。

ソファに座り 対面での敬聴でした。サチさん (84才 女性)は群馬のお生まれで、戦時中、美智子上皇后さまが館林市の小学校に疎開されご学友になられたとのことでした。

「(美智子さまは)当時から それはそれはお綺麗で、他のクラスの子供たちも美智子さまがいらっしゃるお教室までお顔を拝見しに行ったものよ。」とうっとりと懐かしそうに、そして嬉しそうに仰いました。
「とてもお優しくてね。」とさらに続けました。

サチさんはその後 群馬から上京し、女子大の寮に4年間いたとのことでした。
「門限があり  とても厳しかったけれど、その時代が一番楽しかったわ。」と仰いました。親御さんは大切な娘さんを一人で東京に遣り 生活させるのには不安があり、その点 大学の女子寮なら安心だと思われたのだそうです。

でも、サチさんご本人は「群馬の実家にいた時よりは数段自由で、見るもの聞くものが新鮮だった。」と楽しそうに仰いました。サチさんが最も輝いていた時代なのでしょうね。


サチさんはその時に‘集団生活’を経験したため「今でも(このような施設に入居しても)誰とでも仲良くできるスキルが身に着いた。」とも仰っていました。私は、にこやかで丁寧な物言いをされるサチさんなら、どなたからも好かれるだろうと思いました。

彼女は卒業後すぐにご結婚され、お相手は大学病院に勤めていたお医者さまだったそうです。その後 暫くして借金をかかえ開業されたとの事でした。「主人は大学に勤務中には、外来の他に研究もしており 帰りも遅く、給料も安くてたいへんだったの。」と涼しいお顔で仰いました。

お姑さんやお舅さんのお話もいろいろされました。お姑さんは助産婦の資格を持つ方で、とても厳しい方だったそうです。またご自宅での開業だったので、サチさんは慣れない事務仕事を手伝い、更には当時住み込みの看護師さんもいらしたので、そのお世話もあった上に、家事も一人で全部こなし大変だったそうです。

当時、理不尽に感じても、お姑さんには〝返し口〟などは絶対に出来なかったとのこと。返し口とは〝口答え、口返答〟のことだそうです。初めて聞いた言葉でした。話が逸れますが、その〝返し口〟という言葉は‘すてき’な響きに聞こえました。

お話をされているうちに・・、サチさんは辛かった思い出が懐かしさに変わっていくようでした。良かったです!

敬聴終了後には、またエレベーターまで送って下さいました。そして仰いました。「ごめんなさいね。私ばかり喋ってしまって。」と。

         ( 2019年10月21日(月) 16:00~17:20 )


photo: (c) Hiro K
http://ganref.jp/m/md319759/portfolios

2019年12月15日日曜日

85)『うちの娘の傾聴もよろしくね!』

106才カズさんからの提言を聴いていた時、「何で俺が気持ちよく寝ていたのに、肩を揺すって起こすんだよ! あんなに強く 痛いほど。」「もう 驚いたよ、ビックリだよ!」と憤慨した声がきこえてきました。

声のする方に目を遣ると、その声の主は 最近 入居されたコウゾウさん(85才 男性)でした。

「本当にビックリしたよ!気持ちよく寝てたのにさ・・。俺がどんな悪いことをしたって言うんだよ。」「こんなこと(肩を揺すって起こした)をされるなんて・・。(あんたは)人間じゃないよ!心臓が止まっちゃうよ!」と何度もくり返し悪態をつき、やがて・・ コウゾウさんは涙まで流し始めました。

(落語家さんの噺をきいているようで、不謹慎ですが私は思わず吹き出しそうになりました。実際、声も語り口調も落語家のようでした。)

その介護士さん(40代の女性)は、「いま寝てしまうと、夜中に目が覚めて眠れなくなるでしょ。」と宥め(なだめ)ましたが、コウゾウさんの怒りは収まりませんでした。介護士さんは同意を求めるように私の顔をみました。

私も両親の介護経験があるので分りますが、確かに 長時間 昼寝をしてしまうと夜は眠りが浅くなります。夜勤の介護士さんにとっては負担が増えるのでしょう。

ただ、長時間の昼寝をコントロールするのは仕方ない(大事)とは思いますが・・。気持ちよく眠っていらっしゃる方への起こしかた(目の覚まさせ方)に少々 問題があったのではないかと思いました。双方どちらもお気の毒でしたが・・。暫く そのやり取りは続きました。

敬聴を終え8階の喫茶ルームに行くと、カズさんの姪御さんのTさん(このブログの 28)  『えっ、総理秘書?』 と 29) 『わたくし 150才まで生きたい!』 に登場。)がいらしてました。「いつも伯母がお世話になっております。」とご丁寧なご挨拶を頂きました。

そして「いつも伯母が元気なのは、あなた様のおかげね。話を聴いてくださって!」と労って下さいました。私はたいへん恐縮いたしました。

私にとっても〝カズさんとの出会い〟は貴重な得難いものでした。カズさんがいらしたから、より敬聴に対する思いが深くなり、また楽しくなった気がします。

Tさんは更に「今度はうちの娘の傾聴もお願いしようかしら。」「よろしくお願いしますね。」等と上品で丁寧な言葉遣いで仰いました。

お嬢さんは50才だそうです。そう言えば、以前お会いしたことがありました。
「悩みをきいて、いろいろと相談にのって頂きたいの。」と。(えっ、私に?)とんでもないです。冷や汗ものでした!

        ( 2019年10月 8日(火) 14:00~15:00 )


清津峡渓谷トンネル パノラマ 1

清津峡渓谷トンネル パノラマ 2