2019年10月25日金曜日

82) ガッツポーズ!

今日もK有料老人ホームでの敬聴です。 四回目となりました。
1階の事務の方より「今日は4階で行って欲しい。」と言われました。エレベータに向かっていると、先程の事務員さんが追いかけてきて「すみません。2階フロアでお願いします。」と変更されました。

2階に着くと、車椅子に座り カウンター席に一人ポツンとされている コウタロウさん(78才 男性)という方がお出ででした。男性入居者と一対一での敬聴は初めてでした。(大丈夫かな・・。)少々、わたくし 緊張してきました。

先ずはご挨拶と自己紹介をいたしました。コウタロウさんも‘やむ無く’介護士さんに紹介され頷きました。富山ご出身だそうです。J大学病院に通うための入居だそうでした。(凄い!)

少しお話をしましたが、コウタロウさんは(さっきまでお傍にいらしたと言う)もう一人の男性を探し始めました。お尋ねするとその方は40才くらいの入居者(?)だそうですが・・。その方を探しに行きたいので、車椅子を押して欲しいと頼まれました。しかし入居者さんの車椅子を押し移動するのは、傾聴ボランティアの禁止行為です。

結局、介護士さんが宥め(なだめ)賺(すか)して彼の車椅子を押しながら出ていきました。(因みに、その探していた男性とはリハビリの先生でした。)

その後、別の介護士さんから「この方と一緒に4階に行って頂けますか」と頼まれました。この方とは・・、前回 敬聴させて頂いた カツコさん(85才 女性)でした。(このブログの79)参照。)

カツコさんは私を見るとニッコリとなさいました。覚えていて下さったようです。介護士さんに車椅子を押されたカツコさんと一緒に4階に行き、フロア隅のカウンター席に移動しました。

あらためてカツコさんに向き合うと、薄ピンク色のマニキュアをした爪が目に留まりました。今日も素敵なメタルパーツが付いていました。そして指には豪華なルビーの指輪! 私が爪のマニキュアをお褒めすると、カツコさんは「本当はもう少し濃い色の方が好きなの。」と仰いました。そして・・、ファッションの話に花が咲きました。

カツコさんは私の着ていた服(濃いオレンジ色の麻のセーターと白いバミューダパンツ)を褒めて下さいました。そして私が着けていた馬のペンダントに手を伸ばされ触れました。

「あなた、センスが良いのね!」と。そして・・ 「それはどこのブランド?」とお尋ねになりました。「いえいえ、大したブランドではありません。」とお答すると、カツコさんは目を丸くされました。私は 前回 尋ねられた「そのパールのネックレスはミキモト?」を思い出しました。あの時も困惑いましたけれど・・。

カツコさんへの敬聴終了後、4階の皆さまにもご挨拶をして帰ろうとすると、(4階に入居の)マサさん(85才 女性、少々‘辛口’な方)から「次は(私にも?)話を持って来てね!」と言われました。

私がお一人の方とだけ話をしていたので、お淋しかったのでしょうか。羨ましかったのでしょうか。私は複雑な気持ちになりました・・。

でも、私が皆さまに力こぶを作ってみせると、あのマサさんからガッツポーズを返されました!
         ( 2019年  9月  10 日(火)16:00~17:00 )


紅葉と高揚
photo: (c) Hiro K
http://ganref.jp/m/md319759/portfolios


2019年10月15日火曜日

81)仲良しこよし

今日は介護付き有料老人ホームでの敬聴です。 ここも三回目となりました!

施設の方から今日は2階で行って欲しいと言われました。2階フロアに到着すると、エレベーターで同乗のヨシコさん (88才 女性) も一緒に降りられました。
(この階の方だったのですね。)ヨシコさんに導かれ、私はフロア中ほどのソファに着席いたしました。

すると、このフロア担当の介護士さんが 「サチさんもお呼びして、ご一緒にお話されたらどうかしら。」 と提案なさいました。お二人は大の仲良しだそうです。この施設で初めてお会いした方同士なのに・・です。(良い方に巡り合えてお二人はお幸せです。)ヨシコさんは頷き 私と向い合せの席に座られました。

ヨシコさんに日常の過ごし方などを伺っていると、
「ごめんなさい! 遅くなってしまって。」と申し訳なさそうにサチさん (84才 女性) がフロアに現れ、話の仲間に加わりました。

初めは お二人とも緊張(?)なさっているせいか、会話も弾みませんでしたが、施設でのお食事について話をふると、お二人ともにこやかな笑みを浮かべ 話し始めました。

お二人はお肉が大好きだそうで、「(ここの施設では)食事にステーキが出ないのが少し不満だけど、食べたい時には自分で近くのお店に買いに行けば問題はないわ。」とヨシコさんは仰っていました。
(なるほど、それくらい積極的に行動できるなら お元気だということですよね。素晴らしいです! ‘ご自分がしたい事や出来る事はご自身で’ですね。)

そして極めつけは〝お酒〟の話でした!ヨシコさんは更に饒舌になり、お話しが盛り上がりました。(お酒が大好きのようです!) 施設でも夕食時にはアルコールは召し上がっても良いのだそうです。そしてヨシコさんのお部屋の冷蔵庫には常にビールが入っており、ブランデーも常備しているとのことでした。晩酌と寝酒用のためとか。(これまた素晴らしい!)

私は亡き母を思い出しました。
母はお酒が大好きでしたが、施設に入ってからは お花見の時に小さな缶ビールをあげても「苦い!」等と言って 飲めなくなりました。食事も肉料理(特に牛肉のステーキ)を食べたがりました。(お鮨が大好物だった母が・・です。)施設の食事は鶏肉や豚肉が多く しかも ひき肉料理がよく出ると言っていました。

当時 私は、お年寄りには ‘噛みやすくて食べやすい’ ひき肉料理が無難なのだと思っていました。でも今思うに お年寄りだって たまには牛肉料理も食べたかったのだと察します。身体が欲していたのだと思います。それだけ食欲があるのは元気の証のような気がしました。

因みに、その証拠にヨシコさんはお丈夫で、なんと50才から病気知らずとのことでした。(好き嫌いがなく、なんでも美味しく召し上がるからでしょうか。凄いです!)

その後、ヨシコさんは ますます フレンドリーになり、「貴方もここにいらっしゃれば(入居すれば?)良いのに!」と仰いました。(私、ポカーン・・・。)
サチさんはすかさず「この方は まだお若いから 無理よ。早いわよ。」とフォローして(?)下さいました。
「あら、そうだわね。ちょっと若いわね。残念!」とヨシコさん。(ホッとしました。私も)

敬聴終了後には、お二で一緒にエレベーターのところまで送って下さり、名残惜しそうにいつまでも手を振って下さいました・・。お揃いの金(ゴールド)と銀(シルバー)のステキな室内履きシューズで。

私は何だか幸せな気持ちになりました。「敬聴をさせて頂いて良かった!」と思いました。

           ( 2019年  8月  8 日(木)16:00~17:00 )

円成寺 大日如来

円成寺