すると私を見つけたマリコさん(80才 女性)が『先生、(私のこと。いつも ‘華道の先生’ という意味でこう呼びます。)珍しいですね、おズボンなんて。』と仰いました。(あらっ、ちょっと ‘ラフ’ すぎたかしら?)
そして、指のマニュキュアに目を止め『キレイな色!』と言って指をさわりました。私は連休中なので、ワインレッドのマニュキュアを落とさずに施設訪問をしてしまいました。
それにしても凄い観察力です。マリコさんは ‘ファッション’ とか ‘お洒落’ にご興味があるらしく反応が早いです。
一方、キクさん(99才 女性)は『年をとるとね、何でも忘れちゃうの。』と心許なげに仰いました。
『昨日までは覚えていたのよ。でも・・今日は何も覚えていないの。どうしてかしら?』と私に尋ねました。お返事に困りました・・私。
『でもね、誰でも皆、何れはそうなるのよ。私だけじゃないから仕方ないわよねぇ?』と半ば私に同意を求めました。
そして、今度はしっかりと私を見据え『あなたも ‘今’ を楽しみなさいね!』と真顔で仰いました。
暫し キクさんやお隣に座っていたトシコさん(94才 女性)等と歓談していると、真向かいの席で、興味深く私達の話に聞き耳を立てていた男性が、私を見て意味ありげに頷きました。 ・・・?
その方は、新しい入所者のサトシさん(70才 男性)と言う、文京区内の元小学校の先生という事でした。背筋がシッカリ伸び、分別のある穏やかな紳士風で・・、とても入所されるような方には見えませんでした。
サトシさんは我々の話に、時おり相槌を打ちながら、熱心に耳を傾けておりました。『そうですかぁ。ふむふむ、なるほどね!』等と言いながら。
しかし・・、突然立ち上がり『皆さま、いやぁ、今日は楽しかった。でも、私はこれで失礼いたします。これから会議がありましてね。』と仰いました。「・・・・。」私は・・絶句でした!
( 実施日:2018年5月4日(金) 14:00~15:00 )
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