I さんはパーキンソン病を患っているという事で、言葉は不自由でしたが、懸命に話され、また画集の何冊かを私に見せてくれました。そしてハガキ大の写真に収めた、ご自分の作品を私に手渡しました。現在、施設1Fのロビーに飾ってある絵と掛け替えるものだそうです。セピア色の可憐な草花の絵でした。60号サイズ位はありそうでした。
その後も時間が大幅にオーバーする程、たくさんのお話を聴かせてくれました。
一所懸命に話される I さんのお話を、私は全身を ‘耳’ にして伺いました。
そして・・、I さんは私を見据えると 『 あなたも ‘わがまま’ に生きなさい! そして自分がしたい事はしておきなさい!』 と仰いました。
『 (生きるってことは) キレイ事ではないのだから。』 等と・・。
重みがあります、言葉の一つ一つに。I さんもいろいろとご苦労されたのでしょうか・・。
私は返す言葉もなく、I さんを力づける為に 『まだ、お若いです。母(生母)と比べれば・・。』 と言うと、 I さんは 『 病気(パーキンソン病)でなければね・・。 』 と静かに仰いました。余計なことを言ってしまったと後悔しました。(まだまだです、私は。)
それから I さんは、同じパーキンソン病で一年半くらい前に亡くなった、永六輔氏とは大の仲良しだったそうで 『よく お食事に行ったものよ。』 と懐かしむように話して下さいました。( ・・驚きました。実は永六輔氏とは私も些かご縁がありました。)
私が 『 母はもう87才ですが、いま闘病中で・・、でも頑張ってます!』 と伝えると、I さんは目を潤ませました。
彼女は私との ‘会話’ に満足されとても喜んで下さいました。そして私も学ぶところの多い時間を過ごさせて頂きました。
今度また、3Fにも是非に敬聴に伺いたいと心から思いました。
帰りがけに、I さんから教えられた 1Fのロビー真ん中の壁を見やると、見事な50号サイズの I さんの絵が飾ってありました。
清々しく凛とした、まるで I さんそのもののような白いコブシの花の絵でした!
早春に他の木々に先駆けて白い花を梢いっぱいに咲かせるコブシの花です。
別名 「田打ち桜」 とも言うそうな。
( 実施日:2018年1月21日(日) 14:00~15:30 )
岡本三丁目の夕陽 |
世田谷区岡本三丁目の坂から望む富士山 |