2017年6月25日日曜日

21)学会中に志望者をスカウト?

出張のため福岡 開催の学術総会に行ってきました。四泊五日の長丁場の出張です。
学会期間中は、現地のアルバイトの方々が大勢来ておりました。
 
社員総会時に名誉会員の受付を一緒にお手伝いして下さった方は、20代後半の女性でとても感じの良い方でした。
 
彼女に仕事の段取りを説明し 開場時間まで待機していた時のことです。少し早めに おみ足のご不自由な先生がお見えになりました。元理事の方です。移動にお時間がかかるため、少し早くいらしたのだと思いました。私が直ぐ駆け寄り、手を携えて会場の中(お席)までゆっくりご案内したのを、彼女は傍らで感心して見ておりました。
 
また、開場が始まると、ご高齢の先生方が私の所に来ては笑顔でお話をされ、懐かしさからか私に握手を求める姿を見ていて、『凄いですね!』と彼女は目を見張って仰いました。
 
私たちは会場に目を配りながら暫くお話をしておりましたが、たまたま私が「傾聴ボランティア」の活動をしていると話すと、『傾聴ってなんですか?』 と質問されました。
 
私は 『傾聴とは相手の話にこころを傾けて‘聴く’こと。』 また 『主役はあくまでも相手の方で、こちらは‘聞き役’に徹することが大切なの。』 とお答えしました。
 
そして 『たとえ相手の方と考え方や価値観などが異なっていても、その方自身や発言を否定せず、また相手の話の腰をおらずに聴くことが大事なの。』 とお伝えしました。


『でもね、迎合する必要はなく、‘ 共感 ’ しても ‘ 同感 ’ はしない事が基本なのよ。』 等と偉そうなことも言ってしまいました。(少々 僭越でしたが。)
 
しかし彼女は熱心に私の話に耳を傾けて ‘ 聴いて ’ くれました。興味を持たれたようでした。
彼女は『お年寄りと生活を共にしたことがないので、どのように接して良いか分らない。』また 『困っているお年寄りを見かけても、どのようにお声をかけて良いかが分らない。』 等と言っておりました。
 
核家族化の弊害でしょうか。
 
『でも、○○さん(私のこと)お話を伺っていて、お年寄りに接したいと思いました!』 と彼女は言ってくれました。


私が 『傾聴ボランティアを通して学び感じたことを、近々 ブログでお伝えする予定があるの。』 と伝えると、彼女は 『是非ブログが開設されたら教えてくだい。』 と真剣な眼差しで言ってくれました。
 
そして翌日、別の場所で受付け業務をしていた彼女は、私の姿を見つけると、ご自分の連絡先を書いたお手紙を下さいました。


私は同志(お仲間)が出来たようで、とてもとても嬉しくなりました。

  ( 2016年9月30日 )


フィナーレ
photo: (c) Hiro K
http://ganref.jp/m/md319759/portfolios

2017年6月15日木曜日

20)カメラでおすまし

本日の敬聴のお相手はカズさん(102才女性)、ヨウジさん(90才男性)、ミヨコさん(87才女性)、そしてトシコさん(92才女性)、キクさん(97才女性)、マリコさん(78才女性)。網ネットのマツさん(90才女性)と車椅子のトモコさん(92才女性)にもさせて頂きました。
 
今日はカメラを持参いたしました。もちろん職員さんのお許しを得た後です。
其々の方に 『写真を撮らせて頂いてもよろしいですか?』 と伺ったのち、カメラを向けると・・・、皆さま飛びっきりの笑顔で応じて下さいました。嬉しそうでした。楽しそうでした。
おかげ様でとても良い写真が撮れました。
 
いつもは車椅子に乗せられ、目を瞑ったままのトモコさん(92才 女性)も 『お写真を撮っても良いですか?』 とカメラを向けると、‘両目’をパッチリ開け、嬉しそうなお顔をされました。最高に美しい表情でした。とても美人さんでした!
 
マリコさんは‘カメラ’にとても興味を示され、私の傍に寄ってきて 『随分、カメラが小さいのね!?』 と仰いました。
今までマリコさんは私が話しかけても逃げ腰で、『他の方とお話をして。』 と言うばかりでした。やっと心を開いて下さったのです。私はとても嬉しくなりました。
 
そしてこの日は、月一回の院長先生の回診日でした。
ただ、間が悪いことに撮影会 (?) 後は、皆さま楽しいカラオケで盛り上がっておられ、お気に入りの 『二人は若い!』 を、平均年令90才の紳士淑女が大合唱している最中でした。Y先生が皆さまに話しかけると、シーンと静まり返ってしまいました。
先生は 『邪魔しちゃったかなぁ?』 と、頭をかいておられました。

 
帰り際には、マリコさんが 『また来てね!』 等と親しげに言葉をかけて下さいました。
他の方々も笑顔で手を振って下さいました。

そして介護士さんからも労いの言葉をかけて頂きました。

向こうの方からは、カズさんの 『敬老会
(9月19日 施設で開催)にも必ず来てね!』 と ‘おねだり’するような声が聞こえてきました。
 
(実施日:2016年8月28日(日) 14:00~15:00)

京都 六角堂


京都 六角堂の合掌地蔵

 

2017年6月5日月曜日

19)クレヨンで汚れたおじいちゃんの手 その2


102才のお姉さま(カズさん)にやんわりと諭されたヨウジさん(90才男性)は、よろけるように立ち上がり、介助されてトイレに向かいましたが、暫くしてトイレから戻ってきた時に 意を決したような面持ちで、‘ はにかみ ’ ながら  『ありがと・・・。』  と、 しわがれ声で仰いました

私は何だか申し訳ないような気になり、胸がしめつけられました。
ヨウジさんのような年代の男性は、女性に謝るとかお礼を言うのは苦手だと思われたからです。トイレで反省(?)し、考えた上での行為だったのでしょう。
 
なぜかこの時、私は絵本の『ルリユールおじさん』(いせひでこ作・絵)を思い出しました。
クレヨンを持った‘汚れ節くれだった’ヨウジさんの‘手’を見たせいでしょうか。
『ぼうず、あの木のように大きくなれ、名を残さなくてもいい。いい手を持て』という文中の言葉が脳裏に浮かびました。

 
おやつ時になると、皆さまから 『(3時のおやつのヨーグルトを)お土産に!』 と言われ続けております。名前も憶えていただき、市民権を得たような気がしております。

帰りがけには、(車椅子に乗せられ目を瞑ったまま) 介護士さんにおやつを食べさせて貰っているトモコさん(92才 女性)から 、私が車椅子の横に腰をかがめ、トモコさんの肩に軽く手を触れご挨拶をした時、 小さくかすかな声で 『いつ来たの?』 『今度はいつ来るの?』と仰いました。私の来所を待っていて下さっているのだと思いました。(感激でした。)

カズさんからは、『もう帰っちゃうの? もう少し遊んでいきなさいよ!』 『何か用事でもあるの?』 と引き留められました。

「私の方がお年寄り達に癒されている。元気と勇気を貰っている!」とあらためて思いました。
 この話を敬愛する先輩女性に伝えると、『敬聴はあなたの天職ね。』と言われました。

(実施日:2016年7月16日(土)14:00~15:00)


直島 ベネッセハウス