10月末に初めて大正大学へ行って参りました。天台宗主催の「※一隅を照らす」という運動の一つです。
※「一隅を照らす者、これ国の宝なり」は最澄の有名な言葉です。一隅とは、今自分がいる場所のこと。自分が置かれている場所や立場で、ベストを尽くして照らすことで『周囲も光ってくる』という意味。
私の家は天台宗ではありませんが、母の実家が天台宗だったときいておりました。天台宗といえば、総本山が比叡山延暦寺で宗祖は伝教大師最澄です。私はどちらかと言えば、真言宗宗祖、弘法大師空海の方に興味があります。因みに、真言宗の総本山は、昨年の秋に友人と参った「高野山真言宗 総本山金剛峯寺」です。
今回のイベントは、昨年春のお彼岸法要をして頂いた際に、霊園のチラシでその活動を知りました。残念ながら 昨年はイベントに参加出来ませんでしたが、今年もご案内を頂いたので参加して参りました。
当日は声明や雅楽、御詠歌での「特別法要」から始りました。安らぎのある、心地よい空間でした。もともと声明が大好きなので、天台宗の声明も ぜひ聴いてみたいという思いから参加いたしました。お気に入りの醍醐寺の声明とは差違がありますが、また別の味わいもありました。
法要の最後には、導師として「東叡山輪王寺門跡門主 寛永寺貫首」の浦井正明 大僧正が講話をされました。御年87歳とのことですが、矍鑠とされ、そのお話しは心にひびき、感銘を受けました。素晴らしい方でした。
イベントは盛り沢山で、体験教室では下記の写真にあります「匂い香づくり」と「腕輪念珠づくり」に挑戦しました。匂い香づくりは、京都に本店がある ‘香老舗 松栄堂’ のお店の方からご説明をうけ作りました。
用意された‘香りのタブレット’ から、自分の好きな香りを数種類(ラベンダー、桂皮、丁子、甘松、竜脳など)選び、組み合せて作りました。自分だけの「オリジナル匂い袋」です。結構、気に入っています。
更に 大正大学仏教学部准教授の木内堯大師による『落語と仏教って面白い!』という特別授業は、面白くて60分があっと言う間に過ぎてしまいました。
木内堯大師によると、落語の起源は戦国時代であり、武田信玄や豊臣秀吉などの戦国武将の話し相手をした 曾呂利新左衛門等が書いた『御伽衆』という面白本や浄土宗の僧侶 安楽庵策伝の『醒睡笑』などの書物が、その雛形と言われているそうです。
また、実際には江戸時代になってから 京都・江戸(東京)・浪花(大阪)の三都において、人前で辻噺(つじばなし)という形で 今の ‘落とし噺’ のようなものをやったものが、現在の※職業落語家の始まりとされているとのお話でした。
※京都の露の五郎兵衛(元日蓮宗の談義僧)、大坂の米沢彦八、江戸の鹿野武左衛門などが有名。
とても勉強にもなり、満足した一日でした。大正大学は、もちろん昔から名前だけは知っていましたが、校内に入ったのは今回が初めてです。
思い起こせば、大正大学の存在を知ったのは私が大学二年生の時でした。当時、神保町のスキーショップでアルバイトをしていましたが、不慣れなスキー用品の説明に苦慮していた時、親切に優しく教えてくれたのが大正大学の学生さんでした。
私より二学年先輩の男の人でしたが、とても良くして頂き 優しいお兄さんという感じでした。たしか・・彼は西新井の有名なお寺のご子息でしたが。今頃はきっと 立派なご住職さんになられていることでしょうね。
そんなことを思い出しながら、西巣鴨にある 大正大学の広い敷地内を散策しながら帰路につきました。