私には数多くのお気に入り脚本家がいます。例えば、池端 俊策氏、市川 森一氏、大西 信行氏、鎌田 敏夫氏、宮藤 官九郎氏、倉本 聰氏、野島 伸司氏、早坂 暁氏、三谷 幸喜氏、そして向田 邦子氏などです。その中でも大好きな脚本家の一人が、山田 太一氏です。彼は小説家としても素晴らしい作品を残されています。
山田氏は人々の日常生活での哀歓や心の揺れを描くことで知られています。松竹で木下惠介監督に師事し、監督の映画をテレビドラマに脚色する仕事を始めました。そして1973年『それぞれの秋』で、平凡な家庭が崩壊の危機に直面するさまをシリアスに描き芸術選奨新人賞を受賞しました。
その他、忘れられない作品は『男たちの旅路』『岸辺のアルバム』『沿線地図』『想い出づくり』『ながらえば』『早春スケッチブック』、そして何と言っても『ふぞろいの林檎たち』です。
小説としては『異人たちとの夏』が私は一番好きですが、この作品で1988年に山本周五郎賞も受賞しています。今や英語だけでなく、フランス語やドイツ語、タイ語など10以上の言語に翻訳されています。他には『終りに見た街』や『飛ぶ夢をしばらくみない』そして『冬の蜃気楼』等の小説もあります。
『異人たちとの夏』は1988年に映画化されましたが、何と36年ぶりの2023年にイギリスの名匠アンドリュー・ヘイ監督によりリメイクされました。『異人たち』というタイトルです。現在日本でも公開中です。(チラシ添付)
邦画『異人たちとの夏』:
妻子と別れ 孤独な日々を送るシナリオ・ライターが、ある日浅草で幼い頃に死別した若い父母そっくりな二人に出逢う。そして・・・。
山田太一氏の自伝的要素がつよいファンタジー映画です。不思議な時間と非現実な空間。懐かしくて情緒たっぷりの昭和の浅草と主人公の両親を演じた*鶴太郎さん、秋吉久美子さんが素晴らしく、今でも感動が残っています。
*キャストは風間杜夫さん、片岡鶴太郎さん、秋吉久美子さん等です。第一回山本周五郎賞を受賞した小説を市川森一さんが脚色し、大林宣彦さんが演出した異色作です。
そして、この作品は第12回日本アカデミー賞最優秀賞2部門受賞のほか、優秀賞11部門受賞、また第43回毎日映画コンクールの脚本賞・助演男優賞受賞のほかに1988年度の映画賞を独占しました。
私は公開中のイギリス リメイク作品『異人たち』をまだ観ておりません。時間がなく観に行けないのです。もどかしい思いをしています。
実は数年前、友人の一人に「山田太一氏には『異人たちとの夏』という素晴らしい小説があり、それが映画にもなった。一度 読むか 観てみてね。」と勧めました。
そして昨年、私は偶然にもNHKのニュースで、イギリスで『異人たちとの夏』がリメイクされるという情報を知りました。早速 その友人に伝えたところ、今年になって彼女から『異人たち』が現在 公開中であると教えて貰ったのです。
彼女は既に鑑賞してきたそうです。先を越されました。彼女から「鑑賞後の感想を言い合うのが楽しみ。」と言われました。私はどうしても、邦画の『異人たちとの夏』が また観たくなりました。それで・・AmazonでDVDを購入してしまいました。
私としては、先に公開中の『異人たち』を観に行くか、先日購入した邦画『異人たちとの夏』のDVDを観てから、イギリスのリメイク映画を映画館で鑑賞するか、迷えるところです。