2018年1月25日木曜日

40) ちぎり絵の「クリスマスツリー」

6Fフロアーに到着すると、いつになく閑散としておりました。
目を遣るとマリコさん(79才 女性)が一人でポツンと座っておりました。
あらっ、どうかしたのかしら?
 

すると、お馴染みの介護士Fさんが『今日は健康診断で、みんな疲れて部屋で休んでいるのよ。』とそのわけを教えてくれました。

早速 マリコさんの傍に行きご挨拶すると、とびっきりの笑顔で『あのね、先生(昨年の「観月祭」(このブログの 22)に掲載)以来、私のことを ‘お花の先生’ と呼びます。)にお見せしたいものがあるの。 一緒に来て!』とおねだりされました。初めてです、マリコさんから強請(ねだ)られたのは。


『見て欲しいものがある!』と軽快に車椅子でわたしを誘導し、エレベーター前の掲示板に貼ってある、クリスマスツリーの ‘ちぎり絵’ を指さしました。 どのちぎり絵がマリコさんの作ったものか、私は目を凝らして探しました。・・ありました! シンプルに一色だけの飾りをつけたツリーが。


しばらく眺めていると、マリコさんは『わたしのツリーは寂しいでしょう?』と(私の)様子を窺うように上目遣いに見上げて言いました。
私が『すっきりした素敵なツリーですね!』と言うと、マリコさんは満面の笑みを浮かべました。


そしてフロアーに戻ると、今度は
ご自分のお部屋から、上半分が塗り絵になっているカレンダーを3~4枚持ってきて見せてくれました。多色使いのごちゃごちゃした色合いがお嫌いらしく、こちらも2色の色鉛筆だけで塗られておりました。

それから、私の顔をまじまじと見て、『先生(私のこと)が活けたお花の写真をまた見せて欲しい!』とお願いされました。マリコさんは本当にお花が好きなのだと思いました。
もしかしたら、マリコさんも 昔 お花を習っていたのかもしれないと思いました。或いは「お花関係のお仕事」でもしていらしたのしら?


     ( 実施日:2017年12月9日(土) 14:00~15:00 )



バンクーバー 蒸気時計

ローズヒップ





2018年1月15日月曜日

39) 「お人柄」

とても久しぶりな気がしました。
私は朗読の会や長期の出張、旅行などで1ヵ月ほど施設に伺えませんでした。
皆さま、私のことを覚えていて下さるでしょうか。ちょっと・・心配でした。

いつものように6Fでエレベーターを降り、フロアーに目をやると皆さまお集まりでした。
カズさん(103才女性)は・・?   大丈夫、息災でした!
皆さまにご挨拶してカズさんの傍に行くと、『○○さん(私のこと)、久しぶりね。忙しかったの?』 『北朝鮮にでも行っていたのかと思ったわ!』とカズさん。

私は戸惑いを感じました。冗談でもなさそうな物言いで、『安倍総理も忙しいからね。』と続けた からです。そうです!カズさんは未だ私を「安倍総理の秘書」と頑なに信じているのです。

この日は介護士のFさん(彼女ともお馴染みとなり、最近は私を名前で呼んで下さいます)が 物置きにかかっている‘紺無地のカーテン’にリボンで飾りを作っておりました。
無地では淋しいので、明るく可愛らしくする為との事でした。ステキですね。

それを側にいた何人かのお年寄り達が見ておりました。几帳面なキクさん(98才 女性)は Fさんがリボン飾りを作るごとに、切り離されたリボンの切れ端を丁寧に束ねておりました。何度も。お人柄が出ますね。 私は暫し見とれてしまいました。

一方 カズさんは『最近(施設の代表者で理事長の)Y院長先生が回診にお見えにならないの。』 と心配そうに仰いました。『ご病気かしら?』と少し不安そうでした。面倒見の良い、もと従軍看護婦さんだったカズさんらしいです。

無意識のうちに、その方の ‘人柄’ というものが出るものだ とつくづく私は思いました。

でも・・、Y院長先生は大丈夫かしら?

 
 ( 実施日:2017年11月19日(日) 14:00~15:00 )



          
オーロラ 上: カナダ ラバージ湖 下:カナダ ホワイトホース